【アメリカNOW!】AI関連以外の業績上方修正銘柄:ハウメット、ロスストアーズ、イーライリリィ、スターバックス、アップラビン

投資情報部 榮 聡
2026/06/01
先週の米国株式市場は、米国とイランの停戦交渉進展に対する期待から原油価格が下落、長期金利も続落となって、押し上げられました。今週の株価材料として、米国とイランの停戦交渉、地区連銀経済報告(ベージュブック)、コンピュテックス台北(5日まで)が注目されます。
今回はアナリストが通期の予想EPSを上方修正した銘柄で、AI関連、情報技術セクター以外の銘柄から、ハウメット エアロスペース(HWM)、ロス ストアーズ(ROST)、イーライ リリィ(LLY)、スターバックス(SBUX)、アップラビン A(APP)を選んでご紹介いたします。
図表1 S&P500指数のローソク足(日足、6ヵ月)
年初来から3月にかけての下落幅の「倍返し」を達成しつつあり、テクニカル的には、一旦達成感が出やすいところと見られます。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率(「5日」は5/21(木)終値~5/29(金)終値によります。)
| S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
| 情報技術 | 5.1% | 14.3% | 30.9% |
| S&P500 | 1.8% | 4.8% | 10.2% |
| 一般消費財・サービス | 1.7% | 2.0% | 8.0% |
| 素材 | 1.6% | -0.5% | -5.4% |
| 資本財・サービス | 1.5% | 0.0% | -2.3% |
| ヘルスケア | 0.9% | 2.8% | -6.7% |
| 金融 | -0.4% | -0.8% | 0.3% |
| コミュニケーションサービス | -0.7% | -0.9% | 8.7% |
| 不動産 | -1.3% | -0.9% | 0.3% |
| 公益事業 | -1.3% | -4.9% | -6.9% |
| 生活必需品 | -3.3% | -3.2% | -8.1% |
| エネルギー | -5.0% | -4.8% | 0.0% |
| 騰落率上位(5日) | 騰落率 |
| マイクロン・テクノロジー | 27.4% |
| サービスナウ | 24.8% |
| オラクル | 19.0% |
| IBM | 17.7% |
| クアルコム | 17.6% |
| 騰落率下位(5日) | 騰落率 |
| コストコホールセール | -9.0% |
| GEベルノバ | -7.2% |
| エクソンモービル | -6.5% |
| フィリップ・モリス・インターナショナル | -5.9% |
| アルトリア・グループ | -5.6% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で0.9%、ダウ平均は2.1%、ナスダック指数は0.5%の上昇でした。
米国とイランの停戦交渉進展に対する期待から原油価格が下落、長期金利も低下となって、相場を押し上げました。5/27(水)には米国とイランが停戦を60日間延長し、その間にイランの核開発問題など難航している課題の解決に取り組むとの覚書を交わすことで合意したと報じられました。
また、企業決算では、好決算を発表したクラウドデータウェアハウスサービスを提供するスノーフレイク インク(SNOW)、AI半導体を製造するマーベルテクノロジーグループ(MRVL)、AIサーバーの売上が急増しているデル テクノロジーズ C(DELL)などがテクノロジー株に対する物色を刺激しました。
経済指標では、1-3月期実質GDPの改定値が前期比年率+1.6%と、速報値の同+2.0%から下方改定されました。4月個人消費支出物価指数は前年比+3.8%と市場予想に一致、3月の同+3.5%からは上昇しました。いずれも株式相場を抑える指標でしたが、影響は限定的でした。
業種指数(「5日」は5/21(木)終値~5/29(金)終値)では、情報技術が5.1%と大幅に上昇しました。フィラデルフィア半導体株指数が7.2%上昇したほか、ソフトウェア・サービス業種の銘柄も上昇しました。個別銘柄で上昇トップのマイクロン テクノロジー(MU)は、UBSなどの米国の証券アナリストが目標株価を引き上げたことが刺激となり、大幅な株価上昇となりました。
今週の米国株式市場
「株式相場は不安の壁をよじ登る(Stock market climbs a wall of worry)」と言います。市場に先行き不安や悲観的な材料が多い状況下であっても、投資家がその懸念を克服しながら株価が結果的に上昇していくという相場格言です。
年初来、AI過剰投資の可能性、プライベートエクイティ問題、消費の先行き不安、イラン戦争による原油価格上昇などの懸念材料をこなして上昇してきました。そういう意味では、相場はかなり仕上がって、上昇余地は限られてきている可能性がありそうです。
今週の株価材料として、米国とイランの停戦交渉、地区連銀経済報告(ベージュブック)、コンピュテックス台北(5日まで)が注目されます。
米国とイランの停戦交渉では、先週60日間の停戦延長を含む覚書に合意したと報じられました。両国トップによる承認を待っている段階です。これまで何度も交渉終結の期待は裏切られてきましたので、波乱なく承認されるのか注目です。
地区連銀経済報告(ベージュブック)では、インフレによる消費への下押し圧力について、どのようなコメントが出るか注目されます。ウォルマートなど大手小売企業からは、消費の先行きに慎重な見方が出ていました。
台北で開催されるIT見本市のコンピュテックス2026は「AI Together」がテーマで、インテル、マーベルテクノロジー、クアルコム、NXPセミコンダクターズのCEOが基調講演を行います。
経済指標では上記のほか、6/1(月)に5月ISM製造業景気指数(前月の52.7から53.0に改善の予想)、6/3(水)に5月ADP雇用統計(前月比11.8万人増の予想)、5月ISM非製造業景気指数(前月の53.6から53.9に改善の予想)、5月雇用統計(非農業部門雇用者数は前月比8.9万人増の予想)などの発表が予定されています。
企業イベントでは、パロアルトネットワークス、ダラーゼネラル、ブロードコム、クラウドストライクホールディングス、メドトロニック、ルルレモンアスレティカなどの決算発表が予定されています。
今週の5銘柄
本レポートの5/18(月)号、5/25(月)とも今期予想EPSの上方修正率が大きい銘柄をご紹介しましたが、ほとんどがAI関連銘柄でした。今回は、AI関連、情報技術セクターの銘柄を除いた中で業績の上方修正率が高い銘柄をご紹介いたします。
【スクリーニング条件】
・今期予想EPSの修正率(過去3ヵ月)が3%以上
・来期予想EPSの増加率が10%以上
・AI関連および情報技術セクターの銘柄以外
・時価総額が500億ドル以上
図表3の銘柄から、ハウメット エアロスペース(HWM)、ロス ストアーズ(ROST)、イーライ リリィ(LLY)、スターバックス(SBUX)、アップラビン A(APP)を選んでご紹介いたします。
図表3 通期予想EPSの修正率が大きい銘柄(S&P500指数採用銘柄対象、5/26(火)のデータによる)
注:ハイライトした銘柄を「今週の5銘柄」として取り上げています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4 今週の5銘柄の投資指標
注:予想PERは今期予想EPSに基づいて計算しています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
今週の注目銘柄
| 取引 | チャート | 銘柄 | 株価 (5/29) |
予想PER (倍) |
ポイント |
| 買付 | ハウメット エアロスペース(HWM) | 258.25ドル | 51.4 | 【製品需要の好調が続く】 ・旧Alcoaの下流部門が源流で、航空機エンジンや産業用ガスタービンの部品が主力です。航空機エンジンは商業用、軍用とも需要は堅調で、産業用ガスタービンはデータセンター向けに需要が拡大しています。売上、利益とも10%台前半での成長が続けられるポジションにあると期待されています。 ・1-3月期に売上の54%を占めるエンジン製品部門(航空機エンジン、産業用ガスタービンを含む)の売上は前年同期比29%増、調整後EBITDAが同44%増と好調です。 | |
| 買付 | ロス ストアーズ(ROST) | 231.73ドル | 29.7 | 【トレードダウンの波に乗る】 ・オフプライス品ストアの大手です。百貨店や専門店の衣料、靴、雑貨などを定価の2~7割引きで販売します。物価高を受けた消費者のトレードダウン(低価格消費志向)の波に乗っています。 ・2-4月期の既存店売上は、前年同期比17%増と驚くような高水準でした。春物の品揃えが成功したとコメントしています。5-7月期、2027年1月期とも既存店売上のガイダンスは6-7%の伸びを見込んでいます。来店客数の増加が好調の要因になっているため、ガイダンスを上回る好業績を収める可能性は高いとみられます。 | |
| 買付 | イーライ リリィ(LLY) | 1,105.00ドル | 30.7 | 【肥満治療薬が順調に伸びる】 ・肥満治療薬の売上拡大が順調です。1-3月期決算は、ゼップバウンド(肥満治療薬)、マンジャロ(糖尿病治療薬)の販売価格引き下げの影響を数量増が相殺して、売上が前年同期比56%増、調整後EPSが同2.6倍となり、それぞれ市場予想を11%、25%上回って好調でした。 ・5/28(木)には薬剤給付管理(PBM)大手のCVSヘルスがゼップバウンドの保険適用を10月1日から再開するとして好感されました。同社は昨年7月1日より保険適用をストップしていましたが、価格条件が改善されたことで再開を決めました。 | |
| 買付 | スターバックス(SBUX) | 99.16ドル | 41.5 | 【経営改革の効果が出始める】 ・2024年9月にCEOが元チポトレのニコル氏に交代して、経営改革を進めています。1-3月期の既存店売上は前年同期比6.2%増と、市場予想の同3.7%増を大きく上回って改革の成果が出つつあるのではとの期待が高まっています。通期の既存店売上見通しも前年比5%増として市場予想の同3.7%増を上回りました。 ・経営改革として、従業員への投資、サービスの迅速化、店舗改装投資、新商品の提供(パンケーキなど焼いた食品、プロテインドリンク、カスタム可能なエナジードリンクなど)を行っています。 | |
| 買付 | アップラビン A(APP) | 613.09ドル | 38.8 | 【広告プラットフォームの会社に事業転換】 ・モバイルゲーム制作から広告プラットフォームの会社に事業を転換しました。AIを利用して広告ターゲティングができる広告プラットフォームの「AXON(アクソン)」が主力です。 ・2025年10-12月期に海外展開に踏み出し、2026年度上半期にはモバイルゲーム業界で有効性が証明されている同広告プラットフォームを他の業界向けに広げていく計画です。長期的に年20~30%の売上成長を目指しています。1-3月期業績は、売上が前年同期比59%増、調整後EBITDAは1,557百万ドルで同66%増で、市場予想を上回って好調でした。 |
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、ロスストアーズが2027年1月期、スターバックスは2026年9月期、その他はいずれも2026年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
主要イベントの予定
| 経済指標・イベント | 企業決算・イベント | |
| 6月 1(月) |
・米ISM製造業景気指数(5月) | |
| 2(火) | ・米求人労働異動調査(4月) ・クリーブランド連銀ハマック総裁の講演 |
・コンピュテックス台北(IT見本市、5日まで) パロアルトネットワークス、ダラーゼネラル |
| 3(水) | ・米ADP雇用統計(5月) ・米ISM非製造業景気指数(5月) ・米地区連銀経済報告(ベージュブック) |
ブロードコム、クラウドストライクホールディングス メドトロニック |
| 4(木) | ・チャレンジャー人員削減(5月) ・米新規失業保険申請件数(5月30日に終わる週) |
ルルレモンアスレティカ |
| 5(金) | ・ユーロ圏実質GDP(1-3月期、確報値) ・米雇用統計(5月) |
|
| 8(月) | ・NY連銀1年インフレ期待(5月) | |
| 9(火) | ・NFIB中小企業楽観指数(5月) ・米中古住宅販売件数(5月) ・米3年国債入札 |
|
| 10(水) | ・米消費者物価指数(5月) ・米10年国債入札 |
|
| 11(木) | ・FIFAワールドカップ(カナダ、メキシコと共催、7月19日まで) ・ECB主要政策金利 ・米新規失業保険申請件数(6月6日に終わる週) ・米生産者物価指数(5月) ・米30年国債入札 |
オラクル(E)、アドビ |
| 12(金) | ・ミシガン大学消費者信頼感(6月、速報値) |
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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