来年も最大の関心はインフレ~どうなる?FOMC後の株式市場動向?

来年も最大の関心はインフレ~どうなる?FOMC後の株式市場動向?

投資情報部 淺井 一郎

2022/12/15

米国では12/13・14の日程で、今年最後となるFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されました。
金融政策の変更点としては、政策金利であるFFレート誘導目標の水準が3.75-4.00%から4.25-4.50%へ0.50%pt(50bp)引き上げられました。政策金利の引き上げは7会合連続となりますが、政策金利の引き上げ幅は直近4会合の0.75%pt(75bp)から縮小しました。政策金利の引き上げ幅の縮小は、事前予想にほぼ沿った形でありサプライズはなかったと見られます。

図表1 FFレート誘導目標

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成 

一方、今回のFOMCで示された政策メンバーによる政策金利見通し(ドットチャート)では、2023年末の政策金利予想(中央値)が9月時点の4.625%から5.125%へ0.50%(50bp)上方修正されました。今回のFOMCでFFレートは4.25-4.50%へ引き上げられておりますので、来年は0.75%pt(75bp)の利上げが見込まれていることになります(FOMC後の記者会見でパウエル議長は2023年の予想FFレート(5.125%)がピーク金利を意味すると言及しました)。

図表1 FOMC政策メンバーによる政策金利見通し(ドットチャート)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成 

今回のFOMCの結果を受けたマーケットの反応は、米国株がNYダウで発表前に前日比で200ドル超の上昇から下落に転じるなど、株安の影響が見られました。一方、米国債券市場や円相場では、多少の金利上昇や円安進行が見られたものの、株式市場と比べると落ち着いた反応でした。前日に発表された米11月消費者物価の(前年同月比)上昇率が鈍化するなど、インフレが鎮静化へ向かっていることを手掛かりに、株式市場ではFRBの金融政策がハト派(景気配慮)に向かうとの期待が高まっていました。しかし、今回のFOMCは、そうした期待をやや裏切る格好になったと思われます。

図表1 NYダウの推移(日中足)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成 

FOMC後の記者会見で、パウエル議長は「(政策金利は)十分に抑制的な水準に近付きつつある」との見解を示した一方、「インフレが2%に向かう確証を得るまでは利下げはない」と述べるなど、今後もインフレの抑制に注力する姿勢を堅持しております。パウエル議長は「米国の労働市場は依然として構造的な労働不足の状態にある」と指摘しており、労働需給のひっ迫を背景とするインフレ圧力は健在です。また、世界的に見ても、来年から中国経済が新型コロナ禍から立ち直り、経済が正常化へ向かうことによる影響も気になるところでしょう。来年も引き続き、米国をはじめとする世界的なインフレの動向に、世界のマーケットは一喜一憂する展開が想定されます。

一方、短期的な注目点としては、本日(12/15)にユーロ圏でECB理事会、英国で金融政策委員会(MPC)が開催されます。どちらの会合も政策金利の引き上げが予想されておりますが、タカ派的な見解が示されるようだと、世界的に金融引き締めムードが強まる可能性があります。世界的な金利上昇が促されることで、株式市場がリスクオフとなる可能性には注意が必要だと思われます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

おすすめ記事

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。