2023年は大幅安でスタート!市場の動きは?

2023年は大幅安でスタート!市場の動きは?

投資情報部 淺井 一郎

2023/01/04

2023年大発会の東京株式市場で日経平均は前年末比377円安(▲1.45%)の2万5,716円となりました。大幅下落となりましたが、近年、大発会の日経平均は大幅に上昇・下落、して始まることが多く、今年も傾向通りの値動きと受け止めることが出来るでしょう。

株安の背景は、(1)米国金利先高観を手掛かりとする米国株安、(2)米国の主力テクノロジー株の一角が急落、(3)円相場の円先高観、が挙げられます。

まず、(1)について米国株は昨年12/30・今年1/3の計2営業日で、NYダウが84ドル安(▲0.3%)、ナスダックは91pt安(▲0.9%)と軟調でした。昨年12月中旬から月末にかけて、米国10年国債利回りが上昇傾向を辿るなど、金利上昇を手掛かりにグロース株(成長株)を売る動きが顕著となりました。こうした動きが日本株においても、ハイテク株や医薬品株などグロース株を売る動きにつながりました。

加えて、(2)については1/3に米アップルが取引先である複数のサプライヤーに一部製品の生産減少を要請したと報じられたことを手掛かりに大きく下落しました。約1年前に一時3兆ドルに到達した時価総額は、足元で2兆ドル割れへ下落しております。アップル株の下落を受けて、日本でも村田製作所(6981)やTDK(6762)、太陽誘電(6976)など関連銘柄が売られました。更に、米電気自動車(EV)大手テスラが、3四半期連続で納車台数が会社計画を下回ったことが嫌気されて急落し、20年8月以来の安値を再び更新したことも、相場に暗い影を落としたものと見られます。

また、こうしたグロース株売りに加え、(3)を手掛かりにバリュー株(割安株)の一角も軟調に推移しました。

円相場は1/3の日中に一時、約7ヵ月ぶりとなる1ドル=130円を割り込みました。昨年12/31付の日本経済新聞で、日銀が1月に示す22年度以降の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の前年度比上昇率の予想を前回(10月時)から上方修正する方向で検討していると報じられたことを受け、日銀が金融政策の修正に動くとの見方が強まったことが手掛かりとなった模様です。国内勢が休暇中で薄商いの中、海外勢を中心とする円買いの動きに反応しており、4日にかけて131円前後へ値を戻しましたが、円の先高観自体は根強く、自動車など輸出株を避ける動きになったと見られます。

グロース株、バリュー株の幅広い銘柄が軟調に推移しましたが、その一方で銀行や保険など金融株の一角に買いが入りました。前述、日銀金融政策の修正期待による金利上昇が手掛かりとなった模様です。銀行株ではPBRで1倍を大きく割り込むような割安株が多く見られ、今後も金利上昇の動きに好反応するか注目されます。

現状、株式市場を取り巻く環境は、米国の金融引き締めや景気減速への懸念、ウクライナ情勢などの地政学リスク、中国の新型コロナ感染状況、日銀による金融政策の修正観測など、数多くの懸念材料があり、相場の重石となっています。また、本日の日経平均は終値で心理的な節目であり、かつ昨年7月以降のボックス相場の下限水準である2万6,000円処を割り込んでおり、短期的には戻りの鈍い展開が想定されます。もっとも、現状のように懸念材料が多い時こそ、株式市場としては陰の極みとなり、相場が大底を打つタイミングが近づいていることを示唆している可能性があるでしょう。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

おすすめ記事

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。