米国債格下げで株価急落!今後は?~「1DAYオプション」で新たな取引手法も拡大

投資情報部 鈴木 英之

2023/08/03

東京株式市場の値動きが荒くなっています。日経平均株価は7/31(月)・8/1(火)に計717円上昇した後、8/2(水)には768円の急反落。8/3(木)も午前終値が463円安と大きく売りが先行しています。

株価が大きく下げている理由として市場では、「米国債の格下げ」が指摘されています。8/1(火)に格付け機関のフィッチ・レーティングが米国債を「AAA」から「AA+」に引き下げたことが市場の驚きを誘ったとみられています。

一般的に国債の格付け引き下げは、(1)信用度の低下による金利上昇懸念、(2)市場のリスク許容度低下による株価下落懸念、(3)格下げされた国債から他国債券への需要が増加(資金流出懸念)、(4)政府の借入コスト上昇、等の影響が警戒されます。事実、米国においては政治的な駆け引きを背景に債務上限問題が繰り返される状況が変わる兆しをみせていません。また、政府支出も増える傾向があります。GDP対比で政府債務が多いという意味では日本も同様で、米国債券の格付け問題が、日本の財政不安に波及したという側面も指摘されています。

ただ、基本的には株式市場の過剰反応である側面が強そうです。今回の米国債格付け引き下げがあっても、やはり米国債は「オンリーワン」的な存在であるからです。米国ドルは基軸通貨であり、世界貿易の多くは米ドルを介して行われます。したがって、米ドルが手元になくなることは、その国の破綻につながる訳ですが、米国は極論的には「ドルを刷ればよい」訳で、破綻するリスクは相対的に最も低い方であると考えられます。

むしろ、米国、日本ともに株価上昇の過熱感を指摘する向きも多かったことから、今回の株価下落が「ガス抜き」になった側面も大きそうです。過去30年、日経平均の月別平均騰落率を計算すると、8月は-1.0%で12ヵ月のなかで最低パフォーマンス(ただし過去3年は上昇)と冴えない傾向があります。「ガス抜き」は今月いっぱい程度続く可能性もありそうです。

ただ、日経平均株価は7月以降、32,000円近辺が下値支持ラインとして意識されており、今回も同支持ラインを大きく下回るリスクは小さそうです。

そうした中、SBI証券では8月から本格的に、SBI株オプションで「1DAYオプション」と呼ばれる新しい取引手法を提供しています。「例」を挙げますと、

たとえば、トヨタ自動車株(7203) (8/1終値2,445.5円→8/2終値2,502.5円)を原証券とする「トヨタ自動車株コール」を、権利行使価2,445.5円で100株分買った場合、翌日終値が2,502.5円と前記権利行使価格を上回ったので利益が出るという取引です。

「オプションプレミアム」の負担があり、少々の株価上昇では利益は限定的ですが、株価の上昇が大きければその分利益も膨らむ計算です。コールを買った場合、仮に翌日終値が権利行使価格を下回っても損失は支払ったオプションプレミアムに限定されるので、その分リスクも限定的とみられます。

「1DAYオプション」は、少ない投資金額、限定的なリスクで大きな利益を狙えるメリットがありますが、オプションプレミアムの支払いコストがあり、利益を上げられる回数は現物株に比べて減りやすい等のデメリットがあると考えられます。

そうした中、市場では投資家が、「1DAYオプション」を活用し、

(1)決算発表を利用した「決算トレード」

(2)原証券を指数連動型のETFにして、マーケット変動をヘッジ

(3)株価の変動率拡大を予想してコール買いとプット買いを両建て(ストラドルの買い)

といった戦略を取る投資家も散見されるようです。やや不安定な動きをしている株式市場ですが、投資家は新たな取引手法を試しているようです。                                  

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