3週間ぶりに39,000円台割れの日経平均!今後の見通しは?
投資情報部 淺井 一郎
2024/04/05
4/5(金)の東京株式市場は取引開始から売り先行の展開となり、日経平均は3/15以来となる39,000円台を割り込みました。大証の夜間取引で日経平均先物(6月限月)は39,080円(6:00終値)と、前日の日中取引(15:15終値)から大きく下落していただけに、ある程度の売りは想定されていましたが、日中の取引では一段と下値を模索する展開となりました。
大幅下落となった株式市場で特に売りが目立ったのは、値がさ株や輸出株など、今年の日本株の上昇をけん引してきた銘柄です。後述するように本日の相場下落には様々な材料がありましたが、売られた銘柄を見る限り、これまで上昇してきた銘柄に対して一旦、利益確定の売りが出ているものと考えられます。
日経平均が大きく下落した材料(要因)は、日本株そのものの悪材料というよりも外部要因の影響が大きいと見られます。昨日の米国市場では、米金融政策に関してミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、年内に利下げを行わない可能性を示唆し、市場で利下げ期待が一段と後退したことが嫌気されました。
更に、イスラエルをめぐる中東情勢の緊迫化で地政学リスクが意識されたこともリスク回避につながったようです。イスラエル情勢を巡っては、イランの革命防衛隊が4/1にイスラエルによるイラン大使館攻撃で将官7名が死亡したと発表。また、イランはイスラエルに対して報復を行うことを明言しており、イスラエルとイランの緊張が高まっています。
これを受けて原油市場ではWTI原油先物が一時1bbl(バレル)=87ドル台と昨年10月以来の高値に上昇するなど、地政学リスクを意識したエネルギー高が進みました。米国市場ではリスク回避の動きで、株式市場が軟調となり安全資産とされる米国債を選好する動きとなりました。為替市場では日米金利差の縮小と逃避の円買いの動きなどから、円高・ドル安が進行しました。
今後の株式市場の動きを見る上でも、米国金融政策とイスラエル情勢の動きに注意する必要がありますが、より注視するべきは後者ではないでしょうか。米国金融政策については、そもそも今年の米国株式市場は、過度な利下げ期待が後退する中、米景気の堅調さが好感されて上昇してきました。今後の利下げシナリオが緩やかになることは株式市場にとってポジティブではないものの、米国経済の堅調さが維持されているうちは、株式市場にとって大きな逆風にならないことが想定されます。
一方、地政学リスクは先行きが読み難く、もしイランとイスラエルが本格的に戦争状態となれば、イスラエルを支援する米国をも巻き込むことにつながりかねず、戦火の大幅な拡大が懸念されます。もっとも、イランとしては米国と本気で対峙することは得策と思えません。イスラエルに対する報復についても限定的なものに留まる可能性も十分に想定されます。イスラエルとイランの緊張が緩和してくれば、株式市場としても次第に落ち着きを取り戻すと考えられます。
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