波乱の2月相場が終了!3月はどうなる?

投資情報部 鈴木 英之

2025/02/28

振り返れば、2月相場は波乱のスタートでした。2/3(月)の東京株式市場では、日経平均株価が1,052円下げる急落となりました。トランプ米大統領が、メキシコ・カナダからの輸入に対し25%の関税を、中国からの輸入に対し10%の追加関税を課すとし、2/1(土)に大統領令に署名し、2/4(火)から発効すると伝えられたこと(当時)が要因です。

そして、2月相場の終わりもまた波乱になりました。2/28(金)の東京株式市場では、日経平均株価の下落幅が一時1,416円に達する場面がありました。日経平均株価はおおよそ昨年10月以降、38,000円~40,000円のボックス圏で推移してきましたが、それを下放れた形です。「保ち合い相場は放れた方につけ」という相場格言が正しければ、当面は要注意の展開になりそうです。

2月最終営業日の東京市場に波乱をもたらしたのは、米国市場の動きでした。米国時間2/26(水)に発表された、AI向け半導体に強いエヌビディアの決算は決して弱い内容の決算ではありませんでしたが、粗利率の下振れを理由に2/27(木)の米国市場で急落し、ナスダック指数の本年安値更新につながりました。トランプ米大統領の関税政策に対する不透明感もむしろ強まっており、市場全体にリスク許容度が低下していたことも、株価下落を加速させました。日銀による追加利上げ観測がくすぶり、一時に比べ、円高・ドル安が進んでいることも一因とみられます。

3月の株式市場はどうなるでしょうか。上記したように、日経平均株価はボックス圏を下放れた直後だけに、当面は荒っぽい展開に注意が必要だと思われます。エヌビディアの動きについても、好業績に素直に反応しにくくなっており、ハイテク株全般に調整が続く可能性はありそうです。

ちなみに、トランプ米大統領の政策について改めて注目点を列挙すると、①移民対策、②関税強化、③規制緩和・減税等になると考えられます。現時点では、①や②などのマイナス面ばかりが織り込まれている印象です。

ただ、①や②について、本質的に米国経済にとってもマイナス面が無視できないことから、実行が先送りされる可能性は残るとみられます。また、トランプ米大統領が指向するブロック経済化が、企業が日本国内に製造・営業拠点を構える動機づけとなり、国内設備投資が増えている側面も見逃せません。トランプ新大統領の登場による世界的なサプライチェーン再構築の中、日本が見直されている面も大きいとみられます。

さらに、第1次トランプ政権でスタートした所得減税の延長や、法人税の引き下げが今後話題になる可能性もあります。ウクライナ和平の進展など、3月にプラス面の材料が出てくる可能性は十分あるのではないでしょうか。日本の主力企業の業績を示唆する日経平均株価の予想EPS(1株利益)が過去最高水準にあることや、3月期末の配当取りの動き等、相場の下支え要因も存在していると思います。

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