膠着感を強める日経平均!次の展開は?

膠着感を強める日経平均!次の展開は?

投資情報部 淺井一郎/栗本 奈緒実

2023/02/21

日米ともにもみ合いが続く中、世界的に割安株優位の展開

2月第3週(2/13~17)の日経平均は、157円85銭安(▲0.6%)と週足ベースで反落しました。
日々の株価の動きは、基本的に米国市場に連れて推移した形です。

同期間の米国市場でもS&P500が▲0.3%、NYダウが▲0.1%、ナスダックが+0.6%ともみ合い商状でした。

この週に発表された米経済指標について、1月消費者物価(CPI)、小売売上高、生産者物価(PPI)はいずれも堅調な結果となり、米経済の力強さを示しました。その反面、インフレが十分に抑制されていないとの認識につながり、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引締めが長期化するとの懸念が増した形です。FRB要人発言でもタカ派的な発言が相次ぎました。

米国では、力強い経済指標が利上げ長期化観測を強め、債券利回りが上昇し、株価の抑制要因となりました。米10年国債利回りは一時、15年ぶりの高水準となった昨年11月以来の高水準となりました。(23.02.20時点)。

引き続き、米経済の強弱感に関しては、注視が必要でしょう。今週(2月第4週)は小売大手の決算発表や1月個人消費支出の結果が注目されそうです。

東京市場では企業の決算発表はほぼ一巡しました。1月下旬以降2月中旬まで、動意づいた銘柄は、この時期に決算発表を行った企業がほとんどです。

日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(2/13~20)では、シチズン時計(7762)が35%超の圧倒的トップでした(図表7)。2/13(月)、大引け後の決算発表にて第3四半期累計での黒字転換と、発行済み株式数の4分の1以上のあたる大規模な自社株買いを発表しています。

他には、鉄鋼株の好調も前週から続き、JFEホールディングス(5411)や日本製鉄(5401)の2社がランクインしています。『セメント関連』からも住友大阪セメント(5232)と太平洋セメント(5233)の2社の顔が並んでもいます。直近までの業績は軟調ですが、割安感が強いという面がフォーカスされ、大手証券会社から投資判断引き上げもあり、株価が右肩上がりの形状になりました。欧州でもスイスのセメント業で世界大手のホルシムグループ等の株高が顕著です。世界的に割安株選好の流れが続いています。

日経平均株価採用銘柄の下落率上位(2/13~20)では、リクルートHD(6098)が1位です(図表8)。2/13(月)の大引け後の決算で、2四半期連続での純利益減が嫌気されました。

決算発表通過後、2月第4週の東京市場は週初の米国市場の休場も加わり材料難な展開です。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(2/13~20)

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位(2/13~20)

膠着感を強める日経平均!次の展開は?

今年の日経平均は大発会に昨年9月末以来となる2万6,000円台割れでスタートしたものの、そこから値を切り返し1/24(火)に2万7,000円台を回復しました。その後、足元にかけて2万7,000円台半ばで一進一退の動きとなっています。

日経平均チャート(図表9)に注目すると、最近の日経平均は260日(52週)移動平均線に下支えされている一方、上値は昨年8/17(水)を起点とする上値抵抗線に抑えられています。今後、日経平均がこの抵抗線を突破すれば、昨年11/24(木)(2万8,383円)や8/17(2万9,222円)の短期的高値水準を目指す展開が想定されます。しかし、逆に260日や130日(26週)移動平均線を割り込めば、2万6,000円割れまで株価調整が進む可能性があります。足元の日経平均は膠着感が強い中、次の展開が気になるところでしょう。

東証プライム市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から相場の過熱感を測るテクニカル指標である騰落レシオ(25日)は、2月20日時点で137%と過熱圏とされる120%を大きく上回っています。日経平均が膠着する中でも相場の過熱感はすでに強まっていると言えます。また、当面の上昇・下落銘柄数が同数(800:800)と仮定し、騰落レシオの先行きをシミュレーションすると、同指数が120%を下回り過熱感が解消されるのは2月末頃となるため、それまでは日経平均の上値の重さが意識され易いと考えられます。

図表9 日経平均(日足)と騰落レシオ

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成


一方、外部環境は日本株にとって追い風と考えられます。米国では2/3(金)発表の1月雇用統計が堅調な結果となって以降、米国経済の堅調さを伺わせる統計が相次ぐ中、米長期金利(10年国債利回り)が上昇傾向にあります。日米金利差(10年国債利回り差)が拡大したことで円相場は1ドル=134円前後へ円安・ドル高が進行しております。日本の10年国債利回りは日銀の金融政策により0.50%が上限となっているため、米長期金利の上昇はそのまま日米金利差の拡大(ひいては円安)材料となります。今後、米長期金利がもう少し上昇し、日米金利差が350bp程度へ拡大すれば、円相場と日米金利差のマトリクスから見て(図表10)1ドル=140円前後へ円安が進展すると見られます。円安を手掛かりとする輸出株への物色や、米国金利上昇を受けた金融株物色の動きが相場を下支えする展開が想定されます。

図表10 円相場と日米金利差のマトリクス

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成


また、投資主部門売買動向では、海外投資家が1月第2週から2月第2週まで5週連続で日本株の買い越しが続いています。昨年11/8(火)の本コーナー「円安一服で海外投資家の日本株買い再開へ?」で指摘したように、円安により、海外投資家から見た日本株は依然として割安な水準にあると考えられます。今後も、緩やかな円安進展のもと、海外投資家による日本株買いの動きが継続すれば、日経平均はチャート上の抵抗線を突破し、上値を追う展開になることが期待されるでしょう。

図表11 海外投資家による日本株売買

  • ※日本取引所グループ資料をもとにSBI証券が作成

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