日経平均は「主役」の変化に注目?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実
2025/04/22
決算発表シーズンを前に、薄商いの東京株式市場
4月第3週(4/14~4/18)の日経平均株価は、前週末比1,144円高(+3.4%)と週足ベースで反発。米長期金利の上昇一服や、好業績銘柄などが株価の押し上げ要因となりました。一方、トランプ米大統領の発言や政策動向に右往左往する状態は変わっておらず、警戒感の漂う展開が続いています。また、4/18(金)は主要な米・欧・オセアニア市場が休場のため、様子見ムードは拡大。4/18(金)と4/21(月)の東証プライム市場の売買高は3兆円台前半と、年初来最低水準の薄商いとなりました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(4/11~4/18・図表7)の首位は、住友ファーマ(4506)です。パーキンソン病に関するiPS細胞由来の治療薬実用化への期待から買いが入りました。4/17(木)の日本経済新聞社による報道です。京都大学iPS細胞研究所などが「iPS細胞を使ったパーキンソン病の臨床試験で安全性と有効性を示唆する結果を得た」というもので、住友ファーマ(4506)は協力会社であり、iPS細胞由来の医薬品として実用化を目指すという内容でした。2位の中外製薬 (4519)は、米イーライリリーと共同で製造・販売を行う肥満症薬候補が治験で有効性や安全性が確認されたと発表しました。他にも医薬品株が複数ランクインしており、ディフェンシブ株として選好された面もありそうです。
日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(4/11~4/18・図表8)の、首位は資生堂 (4911)、2位は安川電機(6506)と中国景気先行き悪化懸念の拡大を背景に、中国関連株が並びました。米中貿易戦争は激化の一途を辿っており、沈静化の兆しがありません。
4月第4週(4/21~4/25)は、日米で3月期決算発表シーズンであり、週内にはテスラやアルファベットなどが米主力テック株の決算発表の口火を切ります。日本企業では、業績見通しに対するトランプ関税の影響について、自動車や半導体関連などの輸出割合が多い製造業に注目が集まっています。これらの業界は、関税の影響を受けやすく、企業の収益に大きな影響を与える可能性があります。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(4/11~4/18)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(4/11~4/18)

日経平均は「主役」の変化に注目?
4/21(月)の外為市場では、ドル・円相場が1ドル140円台まで円高・ドル安が進みました。外為市場ではこれまで、2024年1月には1ドル141円台、9月に1ドル139円台まで円高・ドル安が進む場面もありましたが、その後はいずれも反転して円安・ドル高に転じたという経緯があります。「1ドル140円」はドル・円相場にとり重要な節目になっているとみられます。
トランプ米大統領はFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長に、政策金利を引き下げるよう要求し、従わなければ解任も辞さないと圧力をかけています。米中央銀行トップであるFRB議長の解任が、仮に実現した場合、ドルの信認を揺るがす事態となりかねなません。
ドル・円相場が1ドル140円の節目を超えて円高・ドル安となった場合は、当面円高・ドル安が加速しやすい状況が生じてくると考えられます。現状では、円高・ドル安は日経平均株価にとりマイナス要因となり、日経平均株価は再び下落する可能性が強まると予想されます。
ただ、1ドル140円を超える円高・ドル安が日本経済全般にとっても悪いのかというと話は別になります。東京商工リサーチが2024年6月に実施したアンケートでは、企業が希望する為替レートの中心値は1ドル125円でした。調査した月の外為相場では1ドル160円まで円安・ドル高が進み、小売、卸売、農林漁鉱業、運輸、製造業等の産業がマイナスの影響を回答していました。1ドル125円前後までの円高・ドル安はむしろ日本経済にとってはプラスになるかもしれません。
日経平均株価は4/22のザラ場で、過去最高値42,426円(2024年7月11日取引時間中)から2割程度下げた水準にありますが、建設、食品、小売、陸運等で年初来高値を更新している銘柄が複数あります。東京株式市場は内需主導の相場に転換しつつあるようです。
これで、自動車、電気機器等、世界的にサプライチェーンが展開している「輸出産業」が下げ渋るようになれば、全体としても本格的反発に転じるかもしれません。「輸出産業」については、トランプ関税の問題がくすぶり続ける間、当面は上昇相場に転じにくいでしょう。ただ「輸出産業」は、1985年のプラザ合意(ドル高を目的とした先進国間の合意)や日米貿易摩擦を経て、同年2月には一時1ドル263円だったドル・円相場が約10年後の1995年4月には一時1ドル79円となる急激な円高・ドル安に生き残ってきたという実績があります。
この外為相場の変動は、10年かけ、日本製品への関税がおおよそ200%程度になったのと同じ効果があり、日本製品の価格競争力が失われることになりました。また「日米貿易摩擦」の時はまさに、米国のターゲットはおもに「日本だけ」でしたので、通商交渉は非常に厳しいものでした。今回のトランプ関税は、米国の課税対象が世界に分散しており、日本の「輸出企業」は十分乗り切れると期待されます。
図表9 日経平均株価とドル円相場の長期推移(月足)

損失は限定的!日経平均の予想に応じたオプション取引戦略を動画でご紹介
※外部サイトに遷移します。
新着記事(2025/04/22)

外国株式
アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~好決算銘柄と今週の好決算期待銘柄~
先週の米国株式市場は、米中対立の激化が重石となってテクノロジー株が下落、全体も弱含みのもみ合いとなりました。今週の株価材料として、トランプ関税に関する各国の交渉、1-3月期決算発表、地区連銀経済報告(ベージュブック)、などが注目されます。
投資情報部 榮 聡
2025/04/21

外国株式
1分でチェック!今週の米国株式「テスラやアルファベット Aなど主力企業決算発表がポイント」
先週の米国株はやや軟調な展開でした。半導体規制強化がネガティブ材料視されたほか、パウエルFRB議長がインフレ対応に重点を置いていることが明らかになり、利下げ期待が後退しました。なお、トランプ大統領が日米関税交渉に同席したことで、日米交渉の重...
投資情報部 齊木 良
2025/04/21

投資信託
2024年度 投資信託 NISA 1年リターンランキングは?
2025年はトランプ関税の不透明感などによる米国景気の減速懸念により、多くの国で株式市場の調整と円高ドル安が進んでいます。4月以降の相互関税発表をきっかけとした株式市場の乱高下や円高ドル安が反映されていない期間となりますが、2024年度(2...
投資情報部 川上雅人
2025/04/21
少ない資金で大きな利益が狙える先物・オプション取引って何?
信用取引のご注意事項
信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。
信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。
ご注意事項
・ 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。
・ 必要証拠金額は当社証拠金(発注済の注文等を加味した証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。
・ 当社証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。
・ 証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、またはお客さまごとに変更することがあります。
・ 「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は原則新規建てしたセッションに限定されます。なお、各種設定においてセッション跨ぎ設定を「あり」とした場合には、プレクロージング開始時点の証拠金維持率(お客さま毎の証拠金掛目およびロスカット率設定に関わらず必要証拠金額は証拠金×100%で計算)が100%を上回っていれば、翌セッションに建玉を持ち越せます。「HYPER先物コース」選択時は必要証拠金額は証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。
・ 先物・オプションの証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・ 指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
・
日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・ 未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
・ 「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は委託手数料を機関投資家から受け取ります。
・ J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。
・ SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。