参院選で与党敗北でも買い先行!今後はどうなる?

参院選で与党敗北でも買い先行!今後はどうなる?

投資情報部 鈴木英之 植田雄也

2025/07/22

参院選通過で買い先行も上値は重い

7月3週(7/14~7/18)の日経平均株価は、前週末比249円43銭高(0.63%)と週足ベースで反発。米国主要企業の好決算を受けて半導体関連株、機械等を中心に一時上昇する局面も見られましたが、心理的節目の4万円を超える場面では戻り売りが優勢となりました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/14~7/18・図表7)の首位は東宝(9602)です。株式分割考慮ベースの上場来高値を更新しました。7/15に(火)に26.2期の連結純利益が前期比微増の435億円(従来予想は14%減の375億円)になると従来の予想から上方修正を発表しました。要因は投資有価証券の売却益を計上するためとのことで、売上高にあたる営業収入や営業利益予想などは据え置かれました。今後に関してはアニメコンテンツに加えて、IPビジネスの加速で営業利益が成長するとの見方などもあり、成長に期待が寄せられています。

第2位は三井E&S(7003)です。7/17(木)に年初来高値を更新しました。政府がレアアースなど海洋資源開発を加速するため、複数の無人探査機を搭載可能な新型調査母船の建造を計画していると報じられ好感されました。26年度予算案に関連費用を計上する方針で、三井E&Sは船舶建造や海洋開発機器に強みを持つことから、大型受注への期待が高まっています。加えて、証券会社による投資判断の格上げや信用格付け会社による格付け引上げなども同期間にありました。


日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/14~7/18・図表8)首位は、7&I-HD(3382)です。カナダの流通大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)が買収提案を撤回すると発表し、買収期待の後退を受けた売りに押された格好です。他には長期金利上昇懸念から不動産関連株が売られました。

7月第4週(7/22~7/25)初営業日となる7/22(火)の日経平均株価は午前10時時点で上昇スタート。7/20(日)の参院選挙を通過し、上場企業の決算発表に市場の関心が移りつつあります。米国ではベライゾンコミュニケーションズ、コカコーラ、テスラ、AT&T、IBM、アルファベット、インテルなど、国内では7/24(木)にニデック(6594)、7/25(金)にSCREENホールディングス(7735)等の決算発表が控えています。


直近の米国において、堅調な経済指標の続出や概ね良好な決算等もありテック株を中心に強い勢いが続き、日本株の下支えとなっています。当面はこうした国内と米国における良好な決算並びに堅調な米経済指標が確認されるか否かに加えて、8/1(金)の新関税率発動期限に向けて交渉の進捗や一部商品別関税等の発表が注目される状況です。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/11~7/18)

図表8  日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/11~7/18)

参院選で与党敗北でも買い先行!今後はどうなる?

7/20(日)に実施された第27回参議院選挙では、自民・公明両党が改選47議席にとどまり、与党としては過半数割れとなりました。議席数自体は事前の悲観シナリオに近く、市場にとっては「想定内の結果」と受け止められております。このため、連休明けの東京株式市場では、日経平均株価が買い先行で始まりました。ただし、注目すべきはその後の政局展開であり、とくに石破首相の進退問題が浮上している点です。退陣リスクは政策の不透明性を高める要因となり、株式市場にも影響を及ぼす可能性があります。

石破首相は続投の意向を示しておりますが、党内では麻生氏を中心とした退陣圧力が強まっており、「ポスト石破」を巡る動きが活発化しています。仮に首相交代が現実化した場合、政策の優先順位や連携方針が大きく変化する可能性があり、企業収益構造への中期的な影響は無視できない状況です。

今後の政策連携については、自公単独維持から国民民主党・維新の会・参政党などとの協調まで複数のシナリオが想定されます。図表では、各連携パターンが業種別に与えるプラス・マイナスの影響を整理いたします。


中期的なこうした業種別の影響を踏まえると、企業は議席数や政党の顔ぶれ以上に、政策連携の組み合わせを分析し、中期的な事業戦略の再設計を進める必要がありそうです。

一方、日経平均株価の方向感については、選挙結果が「想定内」であったことから、短期的にはリスクオンの展開が想定されます。ただし、今後の政権枠組みや通商交渉の行方が不透明なため、日経平均は今後、レンジ内でのもみ合いに転じる可能性が高く、個別物色主体の展開となる見通しです。企業決算や米国の関税政策、為替動向など外部要因が相場の方向性を左右する局面に入っております。

結論として、今回の参院選は「議席数の通信簿」ではなく、「政策連携の分岐点」と捉えるべきです。石破退陣リスクを含めた政局の流動性が、企業活動と市場センチメントに与える影響は大きく、今後の展開次第では業種間の選別がさらに加速する可能性があると考えられます。

図表9 【ご参考】業種別・政策連携マトリクス

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