日経平均株価が高値更新!今後は?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実
2025/08/12
日米株式市場で最高値更新。当面は米インフレ指標の発表に注目
8月第1週(8/4~8/8)の日経平均株価は、前週末比1,020円88銭高(+2.50%)と週足ベースで大幅反発。海外短期筋と見られる先物主導の買いが入った格好です。好決算の主力の値がさ株を中心に、日本株全体が堅調となり、TOPIXは8/7(木)~8(金)と2日連続で最高値を更新。日経平均株価は4万2,000円台目前の水準まで迫りました。8/1(金)に発表された米7月雇用統計や、8/5(火)のISM非製造業景況指数が弱含みとなり、FRBによる利下げ観測が拡大。米テック株の上昇も日経平均株価の上昇に寄与しました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(8/1~8/8、図表7)は、期中の決算内容や見通しが好感された銘柄がほとんどでした。中でも、日経平均株価構成銘柄の6%超を占めるソフトバンクG(9984)の上昇が指数全体の上昇に大きく寄与した形です。同社は8/7(木)の大引け後に4-6月期決算を発表。4-6月期として4期ぶりの最終黒字となり、2四半期連続の黒字を達成。AI需要の高まりを背景に、傘下の英アームを筆頭としたビジョン・ファンドでの投資収益が拡大しました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(8/1~8/8、図表8)は、期中の決算発表が嫌気された銘柄がほとんどですが首位の中外製薬(4519)は、別材料で売られました。同社が創薬し、米イーライ・リリーに開発・販売権を譲渡した経口肥満薬の最終段階の臨床試験結果は、体重減少率が市場の期待に届かず、失望売りにつながりました。
8月第2週の日経平均株価は、8/12(火)の前引け時点では、取引時間中に最高値を更新。前週末に米国株が上昇し、ナスダックが最高値を更新したこと、8/8・8/11累計では同指数がプラスを維持したこと等が好感されています。当面の注目材料は、米インフレ指標です。8/12(火)に米7月消費者物価指数(CPI)が発表予定で、市場予想では、米インフレ抑制が確認されれば、FRBによる利下げ観測期待が高まり、日経平均株価のさらなる高値更新も期待されます。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(8/1~8/8)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(8/1~8/8)

日経平均株価が高値更新!今後は?
連休明け8/12(火)の東京株式市場では、日経平均株価が2024/7/11取引時間中に付けた高値42,426円を上回り(8/12午前取引終了時点)、史上最高値となりました。前日の米国株式市場では、主要3指数が下落しており、特に好材料が見当たらない中「日本株強し」を印象付ける動きになっています。
東京株式市場では、8/7(木)にソニーグループ(6758)、ソフトバンクグループ(9984)、トヨタ自動車(7203)、レーザーテック(6920)の四半期決算発表が実施されました。前2社は好決算から発表後に買われる展開となりましたが、関税の影響を織り込んで諸利益の会社予想を下方修正したトヨタ自動車、新年度の減益見通しを発表したレーザーテックも売り一巡後には買い直される展開になりました。折しも8/7(木)は新たな相互関税が適用開始となったタイミングに一致しています。東京株式市場は決算発表と関税について、一気にアク抜けのタイミングを迎え、その勢いを持続した形となっています。
日経平均株価は重要な上値抵抗ラインを突破したことにより、当面は上昇が加速しやすい形になっています。株価は長い揉み合いから上抜けた後、テクニカル指標がいったん過熱感を示すものの、上昇を続けるケースが多々あります。相場格言では今が「懐疑の中で育つ」局面かもしれません。ただ、8/13(水)も上昇が続いた場合、日経平均株価が43,500円近辺に達すると、25日移動平均からのかい離率が7%近辺に達してくる可能性があり、テクニカル的な過熱感が台頭してきそうです。
今後、関税政策のしわ寄せが米国経済に表面化してくる可能性は小さくありません。また、トランプ米大統領の政策を疑問視している国も少なくないでしょう。仮に、現在の日本株の予想外の強さの背景に「米国一極集中の是正」があるとすれば、日経平均株価の上昇は、意外に長続きするかもしれません。
なお、「米国一極集中の是正」であれば、欧州への資金流入も有望でしょうが、中核的存在であるドイツDAX指数はすでに、3年連続で高値更新ペースが続いているうえ、アナリストによる業績見通し(Bloombergの予想EPSコンセンサス)も6月末比1%弱下落。それに対し日本は、デフレ経済からインフレ経済への転換点とみられるうえ、企業改革への評価も徐々に高まりつつあるようで「再評価」の余地は大きいと言えるかもしれません。アナリストによる業績見通し(同)も6月末比6%超上昇しています。
日経平均株価の上昇をけん引する「日経平均採用銘柄」は何でしょうか。図表9は、8/7(木)までに1Q(25.4-6月期)決算を発表した3月決算銘柄で増益率の高い銘柄です。このうちの一部がけん引役になる可能性もありそうです。日経平均への寄与度が大きいソフトバンクグループの好決算は、平均株価にとっての下支え要因になりそうです。
図表9 日経平均株価採用の3月決算銘柄で、1Q(4~6月期)純利益の増益率が高い上位20銘柄

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