衆議院選:日経VIから投資戦略を読み解く

衆議院選:日経VIから投資戦略を読み解く

投資情報部 土居雅紹 根津真由子

2026/02/03

為替介入への警戒が相場を左右した1週間

■ 1月第4週(1/26-1/30)の株式市場動向

日経平均株価の1/30(金)終値は53,322円85銭で、前週末比524円02銭安(-0.97%)と週足ベースで下落
行き過ぎた円安を是正するために「日米協調の円買い為替介入」が行われる可能性があるとの報道を受け、28日には一時1ドル=152円台前半をつけました。
この影響で、円高が業績にマイナスに働く輸出関連株を中心に売られました。
介入一歩手前とされる「レートチェック」は行われたものの、実際には、1/28(水)までの直近1ヵ月間において為替介入はなかったことが、1/30(金)の財務省の発表で明らかになっています。

アメリカでは1/27-28にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されました。
市場の予想通り、政策金利の据え置きが発表されたため、市場へのサプライズとはなりませんでした。


■ 騰落率の傾向(1/23-1/30)(図表4・5)

・上昇率上位:時計や電卓でおなじみのカシオ計算機(6952)が上昇率トップ。
同社は1/29(木)に2025年10-12月期の業績を発表。主力の時計事業が好調で、通期業績予想を上方修正し、当期純利益を8月時点の従来予想から20億円引き上げ、前年比2.1倍となる170億円としました。
この業績予想の上方修正が好感され、1/30(金)には昨年来高値を更新しました。

・下落率上位:コンサルティングや金融ITソリューションに強みをもつ野村総合研究所(4307)が下落率トップ。
同社は1/29(木)に2025年10-12月期の業績を発表。当第3四半期は増収増益となりましたが、通期業績予想が据え置かれたことから、失望売りにつながったとみられます。


■ 2月第1週のスタート(2/2)

日経平均株価の2/2(月)終値は52,655円18銭で、前週末比667円67銭安(-1.25%)と続落。
アメリカにて、FRB(連邦準備制度理事会)次期議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事が指名されました。
ウォーシュ氏はタカ派とされており、その警戒感に加え、日本で今週末に控える衆院選が意識され、売りが膨らみました。



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図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(1/23-1/30)

図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(1/23-1/30)

衆議院選:日経VIから投資戦略を読み解く

■高い日経VIは何を語る?

2月8日の衆議院選挙について、当初高市内閣への支持が自民党への票につながらず、野党各党の票が伸びるという観測もありました。しかし、期限前投票が進む中、自民党優勢との見方が出始めています。

図表6は2025年8月以降の日経平均株価と日経VIの推移です。2025年10月の自民党総裁選から日経VIは顕著に上昇していました。その後、日経VIは年末には一旦低下しました。しかし、2026年に入ると米国によるベネズエラ攻撃、グリーンランドをめぐる米欧対立、衆議院解散と続き、2月2日には日経VIが36.32まで上昇しました。一方の日経平均株価は1月に入って53,000円を挟んでの値動きとなっています。

仮に、選挙結果によって日経平均株価が大きく動くはずという前提に立つなら、現時点で、市場参加者は各種メディアの衆議院選挙結果の予想を信頼しておらず、実際の選挙結果が出るまで動けない(動かない)状況と想像されます。


■日経VIと日経平均株価は衆議院選挙後にはどうなる?

日経平均株価の値動きは限定的なのに日経VIが上昇している(オプション価格が上昇している)のは、衆議院選挙結果への不透明感が強いためと考えられ、衆議院選挙後は日経VIが低下する可能性があります。これは図表6で2025年の石破首相退陣表明から高市首相発足までの流れを見ても、決まってしまえば日経VIは下がっていたことが確認できます。

このとき、日経平均株価がどうなっているかは選挙結果次第といえますが、日経VIの高さから考えれば、市場参加者は上下ともに大きく動くと想定していることになります。

とはいえ、実際には仮に与党圧勝となっても、次期FRB議長の下での金融政策に不透明感が残っていますし、世界情勢は引き続き不安定です。さらに、金銀価格の急落にみられるように、リスクオフの兆しが一部に見え始めています。このため、日経平均株価が今後上昇するトレンドに乗る場合においても、短期的には一定の限度があるともいえます。


■3日半で動く範囲を考えて「ショートアイアンコンドル」を組む

まず、不確実性が高いイベントを通過することで、日経VIが低下するという仮定を立てます。一方、衆議院選挙の結果とそれに伴う値動きの方向と大きさは予想が難しいままとします。この前提の下では、単純に日経平均先物ロング(買い建て)といった戦略は採りにくいといえます。そこで、衆議院選挙後は日経平均がある程度大きく動くことを想定しつつ、現在の日経VIの高さ(オプション価格の高さ)から収益獲得を狙う「ショートアイアンコンドル」戦略を考えてみましょう。

ショートアイアンコンドルとは、幅広いレンジ内の値動きに収まるとの前提で、同一限月の現値からやや離れたコールとプットを売り建て、それぞれについてさらに遠い権利行使価格のコールとプットを購入して最大損失を確定させるオプション投資戦略です。コンドルが羽を広げたような損益曲線を持つポジションが(ロング)アイアンコンドルで、その反対のポジションなので、「ショートアイアンコンドル」と呼ばれます。


■ショートアイアンコンドルの組み上げ方

図表6は2月2日に日経平均株価が53,000円であったとして、ミニ日経225オプションでショートアイアンコンドルのポジションを組んだ場合の満期時の損益図です。

今回は2月8日(日)に選挙があり、2月9日(月)に日経平均株価が大きく動くとして、2月13日のオプションSQまでにどの程度動くかという前提が最も重要です。日本の政治状況に関連して日経平均株価が過去半年で大きく動いたのは下記の3日です。

2025年10月6日  自民党総裁選後    +2,175 円 当日含む3日間合計+1,965円
2025年10月20日 自民党・維新連立合意 +1,603 円 当日含む3日間合計+1,726円
2026年1月13日  衆議院解散観測報道 +1,609円 当日含む3日間合計+2,171円

これらを鑑み、2月2日から2月13日のSQまでの日経平均株価の値動きが上下2,500円にとどまると仮定します。また、最大損失を日経平均株価に対して500円までと抑えます。これによりミニ日経225オプション1枚当たりの最大利益は受取オプションプレミアム額×100、最大損失は(500円-受取オプションプレミアム)×100となります。取引手順は下記のようになります。


取引手順
①利用する限月は満期日が2月13日と近い「2026年2月」を用いる※
②コール、プットともにATMから2,500円権利行使価格が離れたOTMのオプションを売る(P点、C点)
③最大損失を確定するためにさらに500円遠い権利行使価格のコール、プットを購入する(P’点、C'点)
④満期日の2月13日まで保有する
※水曜限月取引は、当社では取り扱い対象外です。

このポジションを組んだ結果、2月13日に日経平均株価(SQ値)が50,500円から55,500円の範囲に収まっていれば、最大利益の205円(ミニ日経225オプション1枚当たり20,500円)を得ることができます。一方、日経平均株価(SQ値)が50,000円以下または56,000円以上となれば最大損失の295円(1枚当たり29,500円)の損失となります。

図表6  日経平均株価と日経VI(2025/8/1~2026/2/2)

図表7 ショートアイアンコンドルの損益図(2026/2/2 日経平均株価53,000円とした場合の試算例)

■証拠金シミュレーターを使って概算金額を見る

ショートアイアンコンドル戦略では、4種のオプション(権利行使価格が低い方から、プット買い、プット売り、コール売り、コール買い)を組み合わせるので、オプションプレミアムをいくらもらえるのか、また、証拠金がいくら必要なのかを、SBI証券の証拠金シミュレーターで確認しておくと便利です。


SBI証券では、HYPER SBI 2、SBI証券PCサイト、SBI証券先物OPアプリで証拠金シミュレーターを提供しています(図表8)。
・HYPER SBI 2の場合
左上の「メニュー」をクリックしてメニューを表示してから先物・オプションカテゴリー内で「証拠金シミュレーター」を探す
・PCサイトの場合
先物・オプション取引サイトトップ「分析ツール」をクリックして、「証拠金シミュレーター」をクリック
・SBI証券先物OPアプリの場合
右下の「メニュー」から「シミュレーター」「証拠金」を選択する


すると証拠金シミュレーターが立ち上がるので(図表9)、以下の手順で証拠金を試算します。

ミニ日経225オプションを利用するので商品は「ミニ日経225オプション」を選択します。
衆議院選挙の2月8日以降で最も近い満期日を持つオプションの「2026年2月限」を選びます。
利用する4種のオプションを順次入力して、「追加」を押します。ここでは56,000円コールの買い、55,500円コールの売り、50,500円プットの売り、50,000円プットの買い、と権利行使価格を並べておくと分かりやすくなります。
下段の建玉の数量を売買の別に注意して選択します。ここでは各1枚入力します。
最後に「シミュレーション計算」を押して証拠金額を見ます。


今回のように日経VIが上昇している場合で、かつ、満期日までの値動きが一定の範囲内に収まると予想するなら、ミニ日経225オプションでショートアイアンコンドルを組む投資戦略も検討に値すると考えられます。

図表8 証拠金シミュレーターへの行き方

図表9 証拠金シミュレーターで証拠金を試算する(HYPER SBI 2)

新着記事(2026/02/03)

信用取引のご注意事項

信用取引に関するリスク

信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。

信用取引の「二階建て」に関するご注意

委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。

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・ 「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は原則新規建てしたセッションに限定されます。なお、各種設定においてセッション跨ぎ設定を「あり」とした場合には、プレクロージング開始時点の証拠金維持率(お客さま毎の証拠金掛目およびロスカット率設定に関わらず必要証拠金額は証拠金×100%で計算)が100%を上回っていれば、翌セッションに建玉を持ち越せます。「HYPER先物コース」選択時は必要証拠金額は証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。

先物・オプションの証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)

・ 指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。

・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。

・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。

・ 日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。

・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。

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