乱高下の日経平均、ボトムは確認できたのか?

乱高下の日経平均、ボトムは確認できたのか?

投資情報部 鈴木英之 根津真由子

2026/03/10

3月第1週は日経平均が大幅反落!中東情勢・原油高で警戒感

■ 3月第1週(3/2-3/6)の株式市場動向

日経平均株価の3/6(金)終値は55,620円84銭で、前週末比3,229円43銭安(-5.49%)と週足ベースで大幅反落となりました。
2/28(土)、米国とイスラエルはイランに対して大規模な軍事攻撃を実施。その結果、イランの最高指導者であるハメネイ師が死亡したことが確認され、イラン情勢が緊迫化したことが要因です。


■ 騰落率の傾向(2/27-3/6)(図表4・5)

・上昇率上位:ローム(6963)が上昇率トップ。電子部品大手の企業です。
同社は3/6(金)にデンソー(6902)から買収提案を受けたと明らかにし、同日にはストップ高となりました。
デンソーはTOB(株式公開買付け)により、全株取得を行うとみられることから、ロームにはプレミアムを期待した買いが入りました。

・下落率上位:住友ファーマ(4506)が下落率トップ。中枢神経領域に強みをもつ医薬品準大手です。
同社は3/2(月)に最大1,400億円の新株式発行による公募増資を実施すると発表。新規発行株式数は6,000万株を上限としています。
これにより、今後の株式価値の希薄化が嫌気され、売りに押されました。


■ 3月第2週のスタート

日経平均株価の3/9(月)終値は52,728円72銭で、前週末比2,892円12銭安(-5.20%)と急反落。歴代3番目の下げ幅となりました。一時4,200円を超えて下落する場面もありましたが、徐々に下げ幅を縮小しました。イラン情勢の長期化懸念が強まったことに加え、原油価格が1バレル100ドルを超えて急騰したことで投資家のリスク回避姿勢が強まりました。
しかし、3/10(火)の日経平均株価は買い先行となりました。トランプ米大統領が「戦争はほぼ終了した」と述べ、戦争早期終結への期待が強まりました。



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図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2/27-3/6)

図表5  日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2/27-3/6)

乱高下の日経平均、ボトムは確認できたのか?

日経平均株価は 3/9(月)午前に一時、前週末比 4,000円を超える下げとなり、下落幅が過去最大となった 2024/8/5 の大幅安記録(前営業日比 4,451円28銭)が意識される状況となりました。


引き続き、イラン情勢への不透明感が株式市場の逆風となりました。イラン「専門家会議」は 3/8(日)に、次期最高指導者として、殺害されたハメネイ師の次男であるモジタバ師を選出したと発表しました。モジタバ師はイラン革命防衛隊と密接な関係を有する反米強硬派とみなされており、市場では米国・イスラエル対イランの紛争が長期化するとの懸念につながっています。こうした紛争長期化への懸念等を背景に、米原油先物価格(WTI先物)が一時 1 バレル120ドル近くまで上昇し、不透明感を一層強める要因となりました。


もう一点、不気味な不透明要因が、欧米のプライベートクレジット(ノンバンク融資)ファンドを巡る問題です。3/6(金)には、ブラックロックのプライベートクレジットファンド「HLEND」が解約制限(ただし解約規則に則ったもの)を実施したことで、この市場からの資金流出が改めて意識される状況となりました。プライベートクレジットファンド問題の背景には、米金利の高止まりや、ファンド融資先企業の破綻・財務悪化が指摘されており、今後も米金融業界の不安要因になる可能性があります。


こうした中、3/6(金)に発表された米雇用統計(2月)では、非農業部門雇用者数の前月比増減数が、事前予想の 5万5千人増に対し、9万2千人減少へと大きく下振れしました。「下振れ」はともかく、雇用者数が「減少」となったことはショックになった可能性がありそうです。ただ、雇用悪化には2月の寒波・悪天候が影響した可能性も指摘されており、2月単月の数字だけで判断するのは禁物との見方もあるようです。

図表6  WTI原油先物価格(日足・ドル/バレル)~一時1バレル120ドル手前まで上昇しその後急反落

こうして波乱のスタートになった3月第2週ですが、3/10(火)の東京株式市場では一転、買いが大きく先行する展開になりました。トランプ米大統領が「戦争はほぼ終了した」と述べ、戦争早期終結への期待が強まり、米株価が反発し、原油先物価格が急反落したこと等を好感しました。今後はどうなるでしょうか。


日経平均株価は 3/9(月)午前終値時点で年初来騰落率が「上昇」であり、米国株(S&P500指数)の「下落」に対してアウトパフォームしています。言い換えれば、波乱局面で日経平均株価は「利益確定」の対象となりやすく、それが大幅下落につながってきた側面があります。日経平均株価の昨年末終値は 50,339 円であり、今後は同水準が近づくほど日経平均株価が連れ安する要因は後退するとみられます。


トランプ米大統領の発言は変わることも多く、同大統領による戦争早期終了観測は、今のところ完全に信用することは難しいかもしれません。しかし、イランと米国・イスラエル間の戦力格差は相変わらず大きく、戦争が長期化する可能性はやはり大きくないとみられます。


ちなみに、日経平均株価の予想PERは3/9(月)時点で18.93倍です。これは昨年12/19(金)の18.85倍以来の低水準です。予想PERが株式市場の心理を表すものであれば、おおよそ3ヵ月ぶりの「弱気」局面と言えます。市場心理を示す予想 PER が昨年 12 月中旬前後の水準まで低下したことで、「好調な企業業績」や「総選挙での与党大勝による政治の安定化」などが十分に織り込まれていない状態になったと考えることができます。


日経平均株価は、3/9(月)にすでにボトムを打った可能性は大きいとみられます。

図表7  日経平均株価と予想PER~市場心理を示す予想PERは「年初来安値」

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