日経平均7万円台、日経VI30が示す「想定レンジ」

日経平均7万円台、日経VI30が示す「想定レンジ」

投資情報部 土居雅紹 根津真由子

2026/06/23

日経平均は過去最高値を連日で更新。AI・半導体関連への資金流入続く

■ 6月第3週(6/15-6/19)の株式市場動向

日経平均株価の6/19(金)の終値は71,250円06銭で、前週末比5,230円02銭(+7.92%)高と週足ベースで急騰しました。
5日連続で過去最高値を更新し、1週間の上げ幅は過去最大となりました。引き続き、AI・半導体関連へと資金が流入しています。
米国・イランの戦闘終結に向けた覚書署名による地政学リスクの後退や、日銀の金融政策決定会合、米FOMC(連邦公開市場委員会)を大きな波乱なく通過したことが好材料となりました。


■ 騰落率の傾向(6/12-6/19)(図表4・5)

・上昇率上位:村田製作所(6981)が上昇率トップ。積層セラミックコンデンサ(MLCC)世界シェアトップの企業です。MLCCはスマートフォンや自動車、AIサーバーなどに必要とされる電子部品です。AIサーバー向けMLCCの需要拡大を背景に、同分野で強みを持つ同社の利益成長に期待が高まっています。同社は6/22(月)に株式分割考慮後の上場来高値を更新しています。

・下落率上位:ニトリホールディングス(9843)が下落率トップ。家具・インテリア専門店の大手企業です。19日にはドル/円で161円台前半をつけており、円安進行を受けて円高メリット銘柄である同社株は売り優勢となりました。海外から製品や原材料を輸入する際のコストの上昇が懸念されています。


■ 6月第4週のスタート(6/22)

日経平均株価の終値は72,353円96銭で、前週末比1,103円90銭(+1.55%)高と8営業日続伸し、終値で初の7万2,000円台に乗せました。
日経平均が8営業日続伸するのは2023年9月以来となります。
19日に日本経済新聞社が報道した「戦略17分野」への官民投資の内容を手掛かりに、AI・半導体関連への資金流入も継続しています。
米国では、大手半導体企業であるマイクロン テクノロジーが24日に決算発表を予定しており、内容によってはAI・半導体関連への商いがさらに活発になる可能性もあります。

ご意見・ご要望受付中
WEBリクエスト募集中!

気になる投資テーマや、「こんなレポートが読みたい!」というご要望がございましたら、ぜひご意見をお寄せください。

リクエスト時はカテゴリを
[商品・サービス > 投資情報 > レポート]
に選択のうえ、ご入力をお願いいたします。

WEBリクエストはこちら

図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(6/12-6/19)

図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(6/12-6/19)

日経平均7万円台、日経VI30が示す「想定レンジ」

■日経VIは「市場の体温計」

2025年12月30日の日経平均株価の終値は50,339円48銭でした。その後の米国によるベネズエラ攻撃、2月末からのイラン戦争に起因するホルムズ海峡の封鎖による調整はありましたが、AI・半導体関連株が牽引して日経平均株価は7万円台の足場を固めに入っている感があります。一方で、「市場の体温計」あるいは「日本版恐怖指数」ともいえる日経平均ボラティリティー・インデックス(以下「日経VI」)は、3月4日には終値ベースで53.05を付け、その後も平時よりも高い30前後の水準が続いています(図表6)。


■日経VIが示す「想定レンジ」

日経VIはその計算ロジックから、直近限月ATM(現在の日経平均株価の水準)の日経225オプションのインプライド・ボラティリティからは数ポイント高めに出ることが多くなります。とはいえ、それに近い水準でOTMの日経225オプションが取引されていることから、オプション価格に織り込まれている日経平均の想定レンジの目安として見ることもできます。

また、ボラティリティは言い換えれば標準偏差なので、±1シグマ(標準偏差)の範囲に約68%、±2シグマの範囲なら約95%の確率で収まっているということになります。この時の関係は、ボラティリティが上がれば、予想レンジの幅が広がることになります。なお、ボラティリティは通常年率に換算されているので、1ヵ月なら12の平方根で除して月次に変換する必要があります。

例えば、年率ボラティリティ(標準偏差)を30%として、1ヵ月を 1/12年として見ると、
1ヵ月の1シグマ=30%÷√(12)=約8.66% になります。
この結果、対数正規分布に従うとすると、1シグマの価格レンジは日経平均株価×𝑒^(±0.0866)、2シグマの価格レンジは日経平均株価×𝑒^(±2×0.0866)となります。

ちなみに、1日の価格レンジも1年を250営業日、日経平均を70,000円として計算してみると、
1日の1シグマ=30%÷√(250)=約1.89% になります。
1シグマの価格レンジは 70,000×𝑒^(±0.0189) となり、-1310円~+1,335円の範囲の値動きは68%の確率で発生することになります。このため、1,000円程度の値動きは、ある意味日常的な値動きともいえるので、これも最近の実感に近いものがあります。


■1カ月後の日経平均株価の想定レンジ

そこで、2026年1月5日以降の日経平均株価と日経VI(ともに終値)を用いて、実際の値動きと1カ月先の1シグマの想定レンジを比較したのが図表7です。これを見ると、みるみる上昇したように感じられる日経平均株価も、その時点の1カ月前の日経VIから予想されていた1シグマの上限に沿って上昇してきたように見えます。また、イラン戦争開始後の急落も、1ヵ月前の1シグマの範囲の下限におおむね収まっています。統計学的には約68%の値動きはこの1シグマ内に収まるので、この3ヵ月の日経平均株価の値動きも、「想定の範囲内」だったともいえます。

この方法で、6月19日時点の日経平均株価71,250円06銭と日経VI29.94を用いて、1カ月後の日経平均株価の想定レンジを求めると、

年率標準偏差29.94%、1ヵ月は 1/12年なので、
1ヵ月の標準偏差=29.94%×√(1/12)=8.643%

1ヵ月後の1シグマ上限=71,250.06×𝑒^(0.08643)=77,682円(+9.03%)
1ヵ月後の1シグマ下限=71,250.06×𝑒^(-0.08643)=65,351円(-8.28%)

で、65,351円(-8.28%)~77,682円(+9.03%)となります。つまり、ここから1ヵ月で上にいくなら77,600円台、下にいっても65,300円台なら、市場が織り込む1シグマ相当の値動きの範囲内といえるでしょう。

図表6 日経平均株価と日経VI(2026/1/5~2026/6/19)

図表7 日経平均株価と日経VIから算出した1カ月先の想定レンジ(2026/1/5~2026/7/17)

■日経VIの想定レンジから投資戦略を考えるなら

日経平均株価と日経VIの時系列のデータはSBI証券のトレーディングツール「HYPER SBI 2」などからダウンロードできます。これを用いて、エクセルなどで想定レンジを計算してみると、日経VIの数字を眺めるだけの場合よりも、ご自身の相場観と合っているかどうかを判断しやすくなります。


相場観と先物・オプション取引の考え方(例)
日経VIから1カ月後の1シグマの範囲を算出すると、2026年6月19日時点では65,351円(-8.28%)~77,682円(+9.03%)となります。
先物・オプション取引では、相場の方向性だけでなく、想定レンジ、変動率、保有資産のリスクヘッジなど、さまざまな観点から取引手法が検討されます。例えば、以下のような考え方があります。

・想定レンジをを上回る上昇を想定する場合
 →日経225先物を活用する方法があります。

・上昇を想定しつつ、下落リスクにも備えたい場合
 →コールオプションやコールスプレッドを活用する方法があります。

保有資産の下落リスクを抑えたい場合
 →プットオプションやプットスプレッドを活用する方法があります。

・方向感よりも、想定レンジを超える大きな値動きに着目する場合
 →ストラドル、ストラングル、またはオプションと日経225マイクロ先物ヘッジを組み合わせたデルタニュートラル戦略などの考え方があります。

・相場が一定のレンジ内で推移すると想定する場合
 →カバードコール戦略やターゲットバイ戦略などの考え方があります。


なお、本レポートの分析は過去データに基づくものであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。また、特定の商品や投資手法を推奨するものではありません。実際の投資成果は、購入する商品、為替、手数料、証拠金、売買タイミングなどにより異なります。投資判断は、ご自身の資産状況、投資目的、リスク許容度等を踏まえて行ってください。

新着記事(2026/06/23)

信用取引のご注意事項

信用取引に関するリスク

信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。

信用取引の「二階建て」に関するご注意

委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。

ご注意事項

・ 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなさるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。

・ 必要証拠金額は当社証拠金(発注済の注文等を加味した証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。

・ 当社証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。

・ 証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、またはお客さまごとに変更することがあります。

・ 「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は原則新規建てしたセッションに限定されます。なお、各種設定においてセッション跨ぎ設定を「あり」とした場合には、プレクロージング開始時点の証拠金維持率(お客さま毎の証拠金掛目およびロスカット率設定に関わらず必要証拠金額は証拠金×100%で計算)が100%を上回っていれば、翌セッションに建玉を持ち越せます。「HYPER先物コース」選択時は必要証拠金額は証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。

先物・オプションの証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)

・ 指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。

・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。

・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。

・ 日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。

・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使または転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。

・ 未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。

・ 「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は委託手数料を機関投資家から受け取ります。

・ J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。

・ SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)、店頭CFD取引(SBI CFD)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示または契約締結前交付書面等をご確認ください。