日経平均10月イベント、アドバンテスト株比率変更に投資機会?

投資情報部 土居雅紹
2026/09/01
材料満載の9月相場
9月は荒れやすい月といわれています。2001年9月11日は米国同時多発テロがあり、2008年9月15日にはリーマン・ショックが発生しました。1929年では、8月に米国の景気後退が始まり、その後9月に株価がピークを付け、10月の株価暴落を経て大恐慌が深刻化しました。2011年のユーロ危機や2015年のチャイナショックでも、7月や8月に発生した事象が9月相場に影響を与えていました。
今年は、2026年2月28日から始まった米国・イスラエルによるイラン攻撃と、それに伴う原油価格高騰の先行きが読めない状況です。加えて、日本では急激な円安が輸入インフレを招き、9月17日、18日の日本銀行の金融政策決定会合に向けて利上げ圧力が高まっています。
一方、8月28日のジャクソンホール会合でのウォーシュFRB議長のタカ派的なニュアンスの発言で、9月15日、16日のFOMCでの米国政策金利の引き上げを予想する市場参加者が増えています。このため、9月4日の米国雇用統計、11日の8月消費者物価指数(CPI)など、統計数値が発表されるたびに株価の振幅が大きくなることが予想されます。さらに、11月3日に予定されている米国中間選挙まであと2ヵ月となり、有権者の支持を得るために、トランプ大統領が「想定外」の行動に出る可能性も残ります。
そこで、今回は読みにくい市場全体の値動きの影響を受けにくく、特定のイベントによって予想される個別銘柄の需給の偏りから収益を得る投資アイデアを紹介します。
日経平均10月イベント、アドバンテスト株比率変更に投資機会?
■日経平均株価のウエート上限ルール
日経平均株価は単純平均(価格加重平均)の株価指数であり、2026年8月31日時点で上位4銘柄の構成比が35.9%でした。特にもっとも構成比が高いアドバンテストは同時点で構成比が12.3%もありました。値動きが大きい銘柄なので、日経平均株価全体の値動きへの影響も自然と大きくなります。仮に、この時にアドバンテスト株が5%動いたら、5%×0.123=0.6%となり、日経平均株価が66,000円とすると約400円がこの銘柄だけで上下することになります。
一部銘柄の過度の影響を減らそうという試みが日経平均株価のウエート上限ルールです。これは、「構成比率が10%を超えた銘柄の株価換算係数を引き下げて影響を減らす」というものです。年2回予定されていて、通常は7月末日に発表して10月1日から変更、または1月末に発表して4月1日から変更という流れになります。
これにより、日経平均株価への連動を目指すパッシブ運用を行っている投資信託やETFなどの投資行動に直接的な影響が生じます。パッシブ運用の目的が株価指数への連動を目指すものなので、比率が下がる銘柄への投資比率をあらかじめ下げてしまうと、日経平均株価のパフォーマンスと当該ファンドの運用成績に差が出てしまいます。このため、一定程度の裁量はあるものの、できるだけ比率が変わる最終日にその株式を売却するという行動をとることが多くなります。
■過去3回のロングショート戦略のパフォーマンス
パッシブ運用を行っているファンドの行動を横からみている投資家の視点で考えるなら、特定の日にまとまった量の特定の銘柄を売却するのであれば、その日以前からその銘柄が下落するのではないか、あるいは日経平均株価をアンダーパフォームする可能性があるのではないか、と考えることもできます。この場合において、まず当該銘柄を信用取引で売り建てることが考えられますが、市場全体が大きく上昇した場合にそれに引っ張られて損失を被る可能性もあります。そこで、当該銘柄を信用取引で売り建てて、同時に日経平均株価への連動を目指すETF(レバレッジなし)を買い建てる、ロングショート戦略(ペアトレードと呼ばれることもあります)を考えます。
なお、日経平均株価のウエート変更の公表は取引時間終了後のため、実際に売買できるのは翌営業日からです。そこで今回は、公表翌営業日の終値でエントリーし、実施日の前営業日の終値で手仕舞う前提で、対象銘柄をショートし日経平均株価への連動を目指すETF(レバレッジなし)をロングするロングショート戦略を再試算しました(図表1)。
結果は3事例中2勝1敗、平均純損益は+0.9%とわずかにプラスに転じました。ただし、内訳を見ると事例2のファーストリテイリングの2回目の係数変更は第二次トランプ政権の発足直後、事例3のアドバンテストは中東情勢の悪化による原油高騰で市場全体が大きく下げた時期と重なっていました。このため、「ウエート調整という構造要因」によるものなのか、保有期間中に生じた銘柄固有の値動きと市場全体の地合いの組み合わせの結果のみによるものなのか判断しにくい点があります。また、サンプル数が3しかなく、かつ1回の損失(-15.1%)が他2回の利益合計(+17.9%)と近い水準にある点を踏まえると、少なくとも外的要因の影響が大きい市場環境では優位性があるとは言えない可能性があります。
図表1 日経平均株価のウエート上限適用発表日から変更前日終値までのロング・ショート戦略の効果試算
■短期スウィング戦略に検討余地?
日経平均株価のウエート上限ルール適用が約2ヵ月前に発表されたとしても、実際にパッシブ運用資金は係数変更日まで身動きがとれない、あるいは動かないのであれば、その影響は係数変更日前日と当日の特定の時点に集中する可能性があります。逆に言えば、あまりに前からロングショートポジションを取っても、裏に実際に係数が下がる銘柄を売る動きが伴わないのであれば、「早すぎる」ということになります。
このため、実際のパッシブ運用資金が行動を起こすと仮定し、係数変更日前日と当日だけポジションをとる「短期スウィング戦略」を考えます。具体的には、「係数調整実施日の前日終値で当該銘柄を購入し、実施日当日終値で売却」して、保有期間を1日(取引は2日間)へ大幅に短縮します。狙いは、特定銘柄のテーマ性や決算発表など、係数変更以外の銘柄固有の材料が入り込む前に、パッシブ資金の機械的なリバランス執行(当該銘柄の売却)そのものが生む短期的な価格インパクトだけを抽出することです。
係数変更前日は終値が決まる大引けにかけて売却に伴う需給の歪みが発生する可能性があり、そこで一時的に需給が崩れて売り込まれた場合には、その翌日の係数変更日に反動が生じる可能性を仮定しました。また、保有時間を1日だけにすることでノイズ混入を避け、構造要因由来の値動きを捕捉することを目指します。
■試算結果と再現性に関する注意
日経平均株価のウエート上限ルール適用前日に購入し、翌日売却する「短期スウィング戦略」の試算結果が図表2です。3事例すべてでプラスとなり、約1日の投資で平均+4.8%という好結果でした。今後もパッシブ運用資金の行動に大きな変化がなく、係数変更日前日から当日にかけて市場全体を大きく動かすようなイベントがなければ、2026年10月1日からの係数変更に伴い、9月末にパッシブファンドのリバランス売りが発生する可能性があります。
一方、ここではサンプルが3と極端に少ないことに加えて、1日の騰落率が0.9%から10.7%と大きな差があるため、再現性があるとは断定できません。また、仮に投資機会が過去に存在していたとしても、多くの市場参加者に知られることで期待収益が極端に低下してしまうこともありえます。
本レポートは過去データに基づくものであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。また、特定の商品や投資手法を推奨するものではありません。実際の投資成果は、購入する商品、為替、信託報酬、分配金、売買タイミングなどにより異なります。投資判断は、ご自身の資産状況、投資目的、リスク許容度などを踏まえて行ってください。
図表2 日経平均株価のウエート上限適用変更前日から変更日までの短期スウィング戦略の効果試算
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追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。
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委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。
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・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
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日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使または転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
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