「iDeCoで積立投資する魅力を初めての人にも分かり易く伝えたい」【後編】

三井住友アセットマネジメント株式会社で、iDeCoやNISAなどの税制優遇制度を活用した資産づくりに関する情報発信を行っている、つみたて推進課の金井麻理子さんに、制度の活用方法や、運用商品選びのポイントを聞きました。

──「iDeCo」や「つみたてNISA」が注目されていますが、どのように活用すべきなのでしょうか。

金井氏:いずれの制度も、前回お話した「積立投資」ができる点では似ていますが、よく見ると特徴が異なりますので、ご自身の生活スタイルに合った制度を選んでいただくことが大切です。例えば「税制優遇」「期間」「金額」「資金の流動(換金)性」で比べてみてはいかがでしょうか。

iDeCoを活用すると、積立時や受取時に所得控除等の税制優遇を受けることができますが、60歳まで引き出しできないという制度的な特徴があります。また、積立できる金額が職業により年間14.4万円〜81.6万円と大きく異なりますので、始める前にしっかり確認する必要があります。

一方、つみたてNISA(年間上限40万円)や一般NISA(年間上限120万円)はいつでも引き出せるため、流動性は高いですが、現在はまだ恒久化されていない制度のため、投資期間が限定されています。また、つみたてNISAは対象商品がパッシブファンドを中心に約140本に絞られていますので、個別の株式に投資することができない点がNISAと大きく異なります。

まずは、ご自身が重視したいポイントが何か考えてみると、制度選択もし易くなるはずです。また、どちらか1つしか選べないわけではありませんので、組み合わせを考えてみてもいいと思います。例えば、iDeCoを使って運用している人も、一部をつみたてNISAに振り分けることで、流動性は確保することはできます。

──iDeCoを選ぶこと、iDeCoを通じて投資信託を買うことに、どういうメリットがあるのでしょうか。

金井氏: 商品の選びやすさ、があると思います。iDeCoの対象商品は厳選されているということです。今、国内にある公募株式投資信託が約6,000本であるのに対して、iDeCoの対象となる投資信託は約800本にまで絞られます。

更に、運営管理機関(証券会社・銀行など)が商品選定を行い、1つの運営管理機関当たりで対象商品は平均16〜20本となります。この時点で既にかなり絞り込まれているので、あとは興味のある資産を選べば、自ずと商品が決まります。この点で、商品選択に迷わない、という利点がiDeCoにはあると思います。

──人気のあるファンドなど、傾向はありますか。

金井氏:インデックス型では、やはり信託報酬の低いものが選ばれる傾向にあります。前編でお話した通り、信託報酬は商品を保有している間ずっと支払い続ける費用になりますので、低コスト商品に人気が集まるのはもっともですね。資産別では国内株式、次いで、国内外の株式、債券を組み合わせたバランス型が人気です。

また、最近は、市場動向に応じて組入れている資産の配分比率を変える「アロケーション型」といわれるタイプのバランス型ファンドの採用が増えてきています。市場見通しが明るい時には、株式やリート等の比較的値動きの大きな資産をたくさん保有し、反対に見通しが悪くなった場合には、債券や現金等の比較的値動きが安定した資産をたくさん保有して運用する、資産配分まで「おまかせ」できてしまう商品です。


──金井さんがおすすめしたい商品はありますか。

金井氏:ぜひ海外資産をポートフォリオの中に組み込んでほしいです。iDeCoは運用期間が長く、30歳に始めれば最低でも30年運用した後、そこからさらに資産を受け取りながら運用を継続することもできます。この長期の積立投資を前提とすれば、むしろある程度値動きの大きな商品のほうが、積立投資の効果が出やすく、資産も増えやすいといえるでしょう。

日経225やTOPIXといった日本の株式指数のほうが慣れ親しんでいるので選びやすい、海外に投資するのは勇気がいるというお声もいただきますが、20年、30年といった長期で見れば、新興国を含む海外資産のほうが成長可能性は高いと考えています。
当社でも、「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド」という商品があり、1本で先進国、新興国どちらにも投資することができます。こういった新興国も含む全世界に投資するような商品を、最初の1本としてぜひお薦めしたいです。

──iDeCoで投資信託を購入した後の運用管理についてアドバイスをいただけますか。

金井氏:iDeCoに加入していると、年に1回は、資産状況のレポートが届きます。日頃は気にかけなくてもいいところが積立投資のメリットでもありますが、このレポートのタイミングでは確認していただくのがよいと思います。

ただし、その時点で減っている、増えているといったことに過度に一喜一憂しないでいただきたいなと思っています。積立投資は同じ商品を長期に積立てると効果が出やすいので、頻繁に商品を替えない、というのが鉄則です。

また、複数の商品をご自身で組み合わせている場合、当初は50%ずつ保有しようと思っていても、値動きによっては比率が変わってしまうことがあります。その場合は、配分をもう一度50%ずつに戻す「リバランス」をしたほうがよいので、これも年1回のレポートのタイミングでされるとよいかと思います。

──最後に、iDeCoや投資信託を始めようとする方へメッセージをお願いします。

金井氏:少額でもいいので、先ず始めてみてほしいと思います。
しばらくやってみて「これ、いいかも」と思ったら、iDeCoの場合、年に1回、積立金額を変更できますので、そのタイミングで少しずつ積立額を増やしていくのが良いと思います。

成功体験を持っていただければ、将来の資産形成に対する姿勢はきっと変わります。最初は不安な気持ちもあると思うのですが、まずは一歩、踏み出してみていただきたいです。



金井麻理子
三井住友アセットマネジメント株式会社 (http://www.smam-jp.com/index2.html
営業推進部 つみたて推進課 課長
2009年に新卒で入社。営業企画部、外部委託運用グループを経験した後、年金営業の運用コンサルティング部へ。2015年から個人向けのサービスに特化したDC・NISA推進課、現在のつみたて推進課で、個人顧客や運営管理機関への情報発信を行いながら、積立投資の推進に取り組んでいる。

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