「iDeCoで積立投資する魅力を初めての人にも分かり易く伝えたい」【前編】

三井住友アセットマネジメント株式会社で、iDeCoやNISAなどの税制優遇制度を活用した資産づくりに関する情報発信を行っている、つみたて推進課の金井麻理子さんに、iDeCoでも選べる投資信託の基本と「積立投資」のメリットについてお話しいただきました。

──つみたて推進課では、どんなお仕事をなさっているのですか。

金井氏: iDeCoやNISAといった個人の資産づくりを後押しする制度について、みなさんに知っていただく機会をつくったり、「積立投資」の活用をご提案するのが大きな役割の1つです。また、制度に応じた商品を、証券会社・銀行などの運営管理機関に提案するほか、資料の作成、ホームページの情報コンテンツ更新など、制度に関わることは何でもやっています。

──情報発信をする上で、気をつけていることはありますか。

金井氏:できるだけお客さまの「知りたい」というニーズにお応えしたいので、自己満足になっていないか、一方的な情報発信になっていないかどうかは常に気にしています。

とは言え、普段、私たち運用会社が個人のお客様と直接お話する機会は実はそれほど多くないので、お客様が資産づくりを始める上で、どういったことにお悩みなのかを知るため、お客さまにより近い運営管理機関などへ足を運びヒアリングするよう努めています。

最近では、iDeCoや2018年1月にスタートするつみたてNISAなど、制度が充実するに従って、どれを使ったらよいか分からないというお悩みが増えています。iDeCoの場合、職業や他の年金制度への加入状況によって毎月の積立金額の上限が異なることもあり、「私の場合はどうなのかわからない」と戸惑ってしまう方が多いようです。

個人のお客様が、ご自身でそれぞれの制度を調べて、比較して、選ぶというのは大変な作業だと思いますので、そういった部分を、情報提供を通じてサポートできればと思っています。

──投資信託にはどんな点でメリットがあるのでしょうか。

金井氏:私たちが、主に資産づくりをご提案するのは30〜40代の現役世代の方々が多いのですが、皆さんお忙しいですよね。仕事ではどんどん責任も大きくなる頃でしょうし、家族が増えるなどライフイベントも重なり、日々考えることがたくさんあると思います。

そんな中、資産づくりのために個別の株式や金融商品に投資しましょうと言っても、大きなお金を動かしてしまうと日々の値動きが気になってしまうなど、ストレスフルな生活を送ることにもなりかねません。

でも、投資信託なら、日々の運用は私たちのような運用会社にお任せいただくことができます。更には、毎月金額を決めて同じ商品を少額ずつ購入していく「積立投資」を活用していただくことで、毎日の値動きにイライラしたり、不安になったりする必要もなくなります。

──投資のイメージって、個別に株を売買するようなイメージが多いのでしょうか。

金井氏:そうですね、個人のお客様にヒアリングしてみると、「投資=株」「損すると取り返しのつかないことになる」といったイメージをお持ちの方もまだ一定数いらっしゃるようです。
誰でも損はしたくないですよね。増えなくてもいいから減らしたくないという思いが根本にあるのではないかと思います。そのような「減らしたくない方」にこそ、積立投資が有効だということを知ってもらえたらなと思っています。

──積立投資のほうが、減らしたくない人には向いていると。

金井氏:大きなまとまったお金を一括で投資するとなると、最初の購入価格から上がるか下がるかという投資です。それに対して積立投資は、長い期間、定期的に一定の金額で買い増していきます。

相場は常に上がったり下がったりしていますから、安い時に多く買う、高い時は抑えて、下がったらまた多く買う、を繰り返していくと、平均購入コストを抑えつつ、値上がりしたときに多く買った分の利益を受取ることのできる効率的な買い方と言えます。

ただ、それを自分でやろうとするのはすごく大変。タイミングを見極めなければいけませんし、そのタイミングが正しいかどうかの判断も難しい。でも、積立投資ならそれが自動でできてしまうのです。

──それ以外に、初心者の方が投資信託を始める上で知っておくべきこととしては、どのようなものがありますか。

金井氏:投資信託の2つのコストについてです。1つは「販売手数料」です。証券会社や銀行のホームページなどを見ると、「販売手数料0円」という言葉を良く見かけますのでご存じの方も多いかもしれません。販売手数料というのは、投資信託を販売する会社に対して、最初の購入時に支払うお金ですが、これが無料だということですね。

これに対し、意外と知られていないのが「信託報酬」です。商品によって異なりますが、毎年、預けている資産の何%かが信託手数料として差し引かれるものです。この費用が、長期的には大きな影響を持ってきますので、基礎知識としてぜひ知っておいていただきたいです。

最近は、信託報酬の低い商品がどんどん設定されています。そのため、同じコンセプトの商品でも、古くに設定されたものほど信託報酬が高くなる傾向があるので、選ぶときには注意してほしいです。

例えば、同じTOPIX(東証株価指数)に連動した運用を目指すインデックスファンドでも、当社の商品は信託報酬が0.16%ですが、2000年前後に設定された他社の商品では0.60%というものもあったりします。3〜4倍近くの差があるわけですね。1年ではほんの0.4%程度の違いですが、これが20年、30年と払い続けると、その差は十数%と大きくなります。ですから「信託報酬」というコストについてもしっかり比較した上で、検討していただきたいと思います。

前編では、投資信託の基本と、積立投資のメリットについてお話しいただきました。では、iDeCoで投資信託を選ぶ場合はどういう観点で商品を選び、管理していくべきなのか──後編へ続きます。



金井麻理子
三井住友アセットマネジメント株式会社(http://www.smam-jp.com/index2.html
営業推進部 つみたて推進課長
2009年に新卒で入社。その年が同社初の新卒採用を行った年で、新卒一期生。営業企画部を2年、外部委託運用グループを1年半経験した後、年金営業の運用コンサルティング部門へ。2015年からは個人向けのサービスに特化したDC・NISA推進課、現在のつみたて推進課で、個人顧客や運営管理機関への情報発信を行いながら、積立投資の推進に取り組んでいる。

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