iDeCo(イデコ)はメリットだけではない?注意点を意識し、長期目線の運用を

多くの税制優遇を受けられ、老後の資産形成のツールとしてとても優秀なiDeCo(イデコ)ですが、当然すべていいことずくめというわけではありません。国民年金や厚生年金などの公的年金ではなく、自分の意思で加入する私的年金ですので、加入する前に制度のことをよりしっかり理解しておく必要があります。今回は、特にライフイベントの多い女性がiDeCoを始める前に気をつけておきたいことをご紹介します。

押さえておきたいiDeCoの注意点

iDeCoはメリットの多い制度ですが、いくつか注意点もあります。

まず、iDeCoで運用している資金は、原則として60歳まで引き出すことはできません。これは、iDeCoが個人型確定拠出『年金』と呼ばれることから分かるように、老後の資産形成のための制度だからです。逆に言えば、60歳まで引き出せないために税金の面で優遇されているので、万が一、急にまとまったお金が必要になった時でも、iDeCo口座のお金はあてにはできない、ということを覚えておきましょう。

2つ目は、口座開設と口座維持に手数料がかかることです。特に、口座維持のための手数料は、金融機関によって差はあるものの、毎月167円〜617円かかりますし、一旦口座を開設すると、掛金を拠出しない月であっても、毎月64円〜514円の手数料が差し引かれます(いずれも2018年1月時点)。

3つ目が、運用は自分でする必要があるということです。iDeCoには元本確保型の商品もありますが、多くは投資信託になります。投資信託でリスクをとって運用しようとすると、ある程度の金融知識は必要ですし、運用成績が悪ければ元本を割る可能性もあることは意識しておきましょう。

ライフイベントの多い女性とiDeCo

iDeCoは、開始した時から60歳まで長く付き合っていく制度なので、皆様の人生を通したマネープランに密接に関係してきます。

特に女性の方は、妊娠・出産などのライフイベントが発生する可能性が高く、自分の収入がどのように変化しそうなのか、大まかにでも見通しを立てておくことが大切です。妊娠・出産の時期や、仕事を退職して収入が無くなる場合など、掛金の拠出額は変更できるのですが、口座維持手数料は一旦口座を開設してしまえば、毎月支払う必要があるからです。

また、元本確保型商品だけで運用していては、運用成績によっては、手数料のほうが高くついてしまうこともあります。さらに、パートタイムで仕事を続けるにしても、収入によっては所得税がかかりませんので、その場合iDeCoのメリットの1つである所得控除の恩恵を享受できないことにも注意が必要です。

長期的な視点を持って始めよう

iDeCoには注意点もありますが、将来の公的年金だけでは不安な方も多いでしょう。自分の努力で老後の資金を貯めることは、どなたにも必要になってきていますので、そのツールとして、iDeCoをうまく活用しましょう。

例えば、60歳まで資産を引き出せないことは、いざという時使えるお金が少なくなるということは確かですが、逆に60歳まで余計なものにお金を使わず、確実に資金を貯めることができるとも言えます。また、iDeCo口座は一般の口座と違い、売買毎に税金がかからないので、商品の入れ替えがしやすく、金融商品に触れる機会を多く提供してくれます。

まったく投資をしたことがない人が、老後いきなり資産運用をして失敗する話はよく聞きます。しかし、現役世代であれば仮に失敗したとしても挽回できますし、そうして得た金融知識は今後必ずプラスになるでしょう。

まとめ

2017年に対象者が拡大されてから着実に加入者数を伸ばしているiDeCoですが、決してメリットばかりではなく、始める前に注意すべきこともあります。特にライフイベントの多い女性の方は、今後のプランと収入の変化の見通しを立て、iDeCoの利用の仕方を検討する必要があります。

公的年金への不安でますます老後の資産形成への重要度は増していきます。長期的な視点で資産運用を捉え、iDeCoの特徴をうまく利用しながら、将来のために活用していきましょう。

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