iDeCo(イデコ)の取扱金融機関を変更する人が気をつけたいポイント

2017年に加入者の範囲が拡大され、今やiDeCo(イデコ)という愛称で頻繁に目にするようになった個人型確定拠出年金制度。2018年現在では多くの金融機関が参入し、手数料や商品ラインナップなどが比較できるようになってきました。1人1つの金融機関でしか利用できないという制限があるので、既に加入している方の中にも金融機関の変更を考えている方がいるのではないでしょうか。金融機関変更をする際の注意点を知っておきましょう。

手数料無料という金融機関でも毎月かかる費用がある

取扱金融機関を変更する理由で『今の金融機関の手数料が高いから』を挙げる場合が多くあります。最近は手数料無料という金融機関がある中、毎月数百円の手数料を支払っているとしたら確かに高いと思うでしょう。

しかし、金融機関でかかる手数料が無料でも、毎月発生する費用があります。iDeCoの手数料には(1)申し込む金融機関に支払う分、(2)事務委託先金融機関に支払う分、(3)国民年金基金連合会に支払う分と3つに分かれています。金融機関によって手数料が変わるのは(1)の部分であり、手数料が無料になるのはこの部分のみとなります。つまり、(2)(3)の最低でも167円は毎月差し引かれ、その部分が減ることはありません。

信託報酬という『見えない手数料』にも注目

手数料はこれだけではありません。特に信託報酬と呼ばれる投資信託で運用する際にかかる費用にも注意が必要です。この信託報酬は年率で表記されているので、毎月いくら取られているか明記がされない『見えない手数料』となっています。私たちに見えるのは基準価額といわれる信託報酬が差し引かれた後の投資信託の評価額です。

また、同じ商品カテゴリでも投資信託によって信託報酬が違う点にも注意が必要です。例えば、同じ日経平均株価に連動することを目的としている投資信託AとBがあるとします。運用方針が同じなので値動きはほぼ同じなのに商品Aの信託報酬は0.2%に対して商品Bの信託報酬は0.3%ということがあります。どんな投資対象で運用するかを決めた上で、その投資対象の投資信託が運用できる金融機関、投資信託の信託報酬の順で確認していきましょう。

自分が投資したい商品がラインナップにあるか

iDeCoは元本確保型の預金や保険、元本確保型ではない投資信託など様々な種類の投資商品があります。投資できる商品は金融機関によってラインナップが異なります。

これから年金を受け取るまで、長期で運用をしていく上で適当な投資商品があるか、さらには、ご自身のリスク許容度に合った商品を選ぶ意識も必要です。

また、今あるラインナップにずっと投資できるとは限りません。ラインナップの上限数は35本となっています。今それを超えている場合は2023年までに35本以下にすることが定められていますので、自分が運用予定の商品が選択できなくなる可能性もあります。資産運用の目的に沿って、長期的な視点も持ちながらポートフォリオを組む必要があるでしょう。

サポート体制が自分のスタイルに合っているか

金融機関によるサービスの違いはサポート体制にもあります。分からないことがあったとき、対面で相談できるか、電話相談ができるか、メールでの問い合わせがしやすいか、WEBサイトの情報が充実しているかなど、どこまでのサポートが必要か検討しましょう。

また、対面や電話相談は自分の相談できる時間帯に営業しているかの確認も必要です。いくら相談できると言っても平日日中しか相談できないのだとしたら、お勤めの方の多くは実際には利用できません。

特に加入時・給付時は分からないことが多いものです。多少手数料が掛かっても、相談できる窓口が近くにある金融機関の方が良いということも十分あり得ます。

今の運用をそのまま継続はできない

金融機関の変更には、それまでの運用資産を一度現金化することになります。今、運用している商品自体は気に入っていて、変更後も同じ商品で運用を予定していても売却・現金化して変更先に移されるので注意が必要です。

さらに、変更の手続きは2〜3ヵ月程度かかります。元の金融機関で運用中の商品の現金化はその間に行われ、そのタイミングは指定できません。商品によっては売却による手数料も発生します。

株式など値が動く商品で運用していた場合、現金化・変更後の金融機関での再購入のタイミングによっては、元本割れするなど運用を続けるより損をする可能性もあります。自分で売却のタイミングを取りたい場合は、変更手続き前に元本確保型商品に預け替えて利益を確定させ、変更先の金融機関ではいったん元本確保型商品を購入した上で、その後も元本確保型商品を自動購入するように運用指図しておき、タイミングを待って株式等で構成する商品にスイッチングすることが必要です。

なお、3ヵ月以上加入者が掛金の配分を設定しなかった時、2週間の猶予期間をおいた上で、金融機関側が指定する商品を自動購入する「指定運用方法」が、2018年5月1日の確定拠出年金法等の一部を改正する法律が施行されており、こちらも注意が必要です。

金融機関の変更自体に手数料が掛かることがある

手数料を安くすることを目的とする金融機関の変更自体にも手数料が掛かる場合があります。手続きに関わる費用をしっかり確認をして、本当に変更することにメリットがあるかをしっかり見極めましょう。

iDeCoを活用する際の金融機関選びは、色々な切り口での検討が必要になります。気になる金融機関には資料請求して見比べるなど、慎重に準備をしましょう。

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