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(投信EXPO2022レポート)飛躍期を迎えるAI運用、先読みするAI分析を活用する新しいファンドラップ「SBIラップ」の可能性

(投信EXPO2022レポート)飛躍期を迎えるAI運用、先読みするAI分析を活用する新しいファンドラップ「SBIラップ」の可能性

2022/10/12 10:00

今年3月末にサービスが始まった「SBIラップ」は、AI(人工知能)を活用した予測を使って将来の変動を先読みする運用を提供する新時代のラップサービスとして注目を集めている。「SBIラップ」の運用を担っているFOLIOの代表取締役CEOの甲斐真一郎氏が、「AI運用は人間を超えることができるのか」をテーマに講演した。実際に、AIを使った運用は自分でやる運用と何が違うのか?甲斐氏は、過去のAI運用を振り返りながら、具体的な事例で違いを説明した。

目次

  • 人間とAIは、どちらが資産運用に向いているのか?

  • 「AI運用」で好パフォーマンスをめざすポイント

  • AIを搭載し相場を先読みする「SBIラップ」

人間とAIは、どちらが資産運用に向いているのか?

AI(人工知能)を投資信託の運用など資産運用に活用するという動きがあり、世界中にAIを使ったファンドが設立されています。AIの方が資産運用に向いているのではないかと言われていますが、驚くようなパフォーマンスをたたき出しているファンドはありません。そこには、AIを運用に活用する難しさがあります。一方、人間の感情は投資の邪魔になると言われますが、実際には、優れた運用成績を長年にわたって残しているようなファンドマネージャーもいます。

ですから、現状では、どちらが良いと断言することはできないと思います。ただ、このところ、AI運用にイノベーションが起こり、飛躍期を迎えていると思います。

「AI運用」で好パフォーマンスをめざすポイント

AIを用いて資産運用する1つ目のメリットはビッグデータの活用です。人間のCPU=脳の容量には限度があり、一度にインプットできる情報量やニュースの量は限られていますが、AIを使うことによってビッグデータの解析が可能になります。

2つ目は、「機械学習」です。私どものロボアドバイザーは3つの異なるアルゴリズムの機械学習を使っています。機械学習によって中長期的に学び続けることができます。人間も学ぶ能力は高いのですが、人間は忘れてしまいます。「忘却」は生存本能の1つとさえ言われますが、これによって同じ失敗を繰り返すことにつながっています。

最後に一番大きな違いは、「合理的な判断」です。行動経済学では、人間の傾向として「確定的な利益を好む」「確定的な損失を嫌がる」という傾向があります。たとえば、「確定的な損失を嫌う」ことを投資行動に当てはめると、少しでも利益が出るとすぐに利益を確定する一方、損失が出た時には長く「塩漬け」にしてしまいがちです。冷静に考えれば、損失が出ている時には、リスク許容度を下げて早く損失を確定することが合理的な判断ですが、人間の感情は合理的な判断の逆を行くケースが多いのです。

このような点を評価するとAIの方が良いのではないかと考えられ、世界中でAI運用の実現に向けた取り組みが進んでいます。ただ、これまでは大きな成果が得られていません。その理由の一例としては、経済指標やニュースなどを言語解析し、投資判断に使う場合、「遅行指標」を活用していることが非常に多いのです。「遅行指標」をいくら分析したところでマーケットの先に立つことはできません。市場は、期待や不安など顕在化していない課題を織り込んで動いていくので、そのような「先行指標」を分析していくことが非常に大きなポイントになります。

当社が開発した「FOLIO ROBO PRO(以下「ROBO PRO」)」は2つの特徴があり、1つは、先行性があるといわれる40種類以上のマーケットのデータを分析しています。そして、分析の結果をしっかり反映させるダイナミックなリバランスの仕組みも作っています。相場を先読みする、大胆なリバランスをするという2つの特徴によって、中長期間に渡り好パフォーマンスを継続的に積上げることを目指しています。

「ROBO PRO」は、2020年1月から2022年7月末まで約2年6カ月の運用実績は+41.43%でした。同期間の一般的なロボアドバイザーの実績は+27.86%でした。(※1)一般的なロボアドバイザーは、平均分散法を使っています。リスク許容度を診断し、リスク許容度に合わせた固定的なポートフォリオを提示するようなベーシックなロボアドバイザーやファンドラップです。

「ROBO PRO」の運用の特徴が出た事例として、たとえば、運用開始日となる2020年1月15日から約1カ月がたった2月15日、世界では新型コロナウイルス感染拡大が報じられる一方で、米国企業の好決算を背景に、「S&P500」、「NASDAQ」ともに最高値を更新していました。株式市場は相当楽観ムードでした。その時点で「ROBO PRO」は株式を売却し、比率を37%から20%に落としました。債券の割合は42%から68%に引き上げています。そこから3月18日時点までの最大下落幅は、米国株式が-30%、一般的なロボアドバイザーが-25%でしたが、同日時点の「ROBO PRO」は―16%という成績で資産の下落を抑えることができました。(※1)

今年2022年1月の相場を迎えるにあたり、「ROBO PRO」の21年12月末の資産配分は、新興国株49%、米国債券21%、金30%で、米国株式への配分はゼロでした。この内容には、Twitter上では「なぜ、米国株を持っていないのか」「(パフォーマンスの悪い)新興国株をこれほど推すのか」「こんなロボアドはやめた方が良い」など、さんざんに言われました。実際には年初から1月25日までで米国株式は10%値下がりする一方で、同日時点の「ROBO PRO」のパフォーマンスは-1.6%でした。多く保有していた新興国株式は1月末時点で値上がりしています。

AIを搭載し相場を先読みする「SBIラップ」

「ROBO PRO」で搭載されているAIは、今年3月にリリースされた「SBIラップ」に導入されています。ただ、「SBIラップ」には、「ROBO PRO」とは少し異なる特徴があります。8つの資産のETFを活用した国際分散投資を行い、かつ、ダイナミックなリバランスを行うという点では基本的に同じ仕組みですが、「SBIラップ」は常に8つの資産でグローバル分散投資を行います。一方「ROBO PRO」は特定のアセットクラスをゼロにする選択があります。

また、「SBIラップ」では、業界最低水準の手数料を採用しています。かつ、ポイントプログラムによってさらにお得感があります。運用コストは、たとえば30年間の長期投資をした場合、一般的な1%の手数料と「SBIラップ」の0.6%の手数料を比較すると、単純に12%の差になります。

一般的なロボアドバイザーは、アセットアロケーションが基本的には変わりません。複数のコースの中から、1つを選択すると、基本的にそのアセットアロケーションを10年、20年間守っていくという運用になります。「SBIラップ」は、「保守的な運用」から「積極的な運用」まで、マーケットセンチメントを読み解きながら予測することで、柔軟にダイナミックに変えていきます。過去10年のバックテストの結果は、一般的なロボアドバイザーは+74%、「SBIラップ」は+155%という成績になりました。(※2)ぜひ、資産運用の手段として「SBIラップ」をご検討ください。

(※1)本実績は将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。小数点以下第3位を切り捨てて表示しています。

ROBO PRO、および一般的なロボアドバイザーの運用実績について、期間はサービス開始当初(2020/1/15)~表示している日まで、運用手数料を年率1.1%(税込)徴収し、リバランスは最適ポートフォリオとの乖離がないように実施したと仮定し、分配金は投資の拠出金銭に自動的に組み入れ、リバランスにより再投資したと仮定して計算しています。計算は資産評価額/当初投資額-1で行なっています。「一般的なロボアドバイザー」の運用実績は、一般的な運用アルゴリズム(ノーベル賞を受賞した理論に基づき、金融機関において広く使われている平均分散法を採用。平均分散法における期待リターンはCAPMを用いて算出しており、リスク許容度はやや高めとし、5%~40%の保有比率制限を設けて最適ポートフォリオを算出)を用いて、ROBO PROと同じETFに分散投資を行ったと仮定したシミュレーション結果です。

 

(※2)バックテストは、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。

バックテストの期間は2012/1/4から2021/12/30とし、最新の運用戦略を用いて運用を行ったと仮定して計算し、小数点以下第1位を切り捨てて表示しています。

運用にかかる費用については「SBIラップ」は手数料および信託報酬等として運用資産額の0.746%(年率・税抜)を、「一般的なロボアドバイザー」では手数料として運用資産額の1%(年率・税抜)を徴収し、分配金は投資の拠出金銭に自動的に組み入れたものとして計算しています。本テストにおける実績は、当該期間において実質的な投資対象となるETFの時価評価額を用いて計算を行っているため、当該ETFの経費率も考慮されていますが、分配金やリバランス時の譲渡益にかかる税金は考慮していません。また、SBIラップにおいては、 投資対象とする投資信託の信託口座内で発生するETFの売買委託手数料が考慮されていますが、それ以外の費用(信託財産にかかる監査報酬、信託事務の処理に要する諸費用等、法定書類(目論見書、運用報告書等)の作成等にかかる費用、外貨建資産の保管に要する費用等の信託財産の中から間接的に支払われる費用)は、運用状況等によって変動し事前に具体的な金額や上限額等を示すことはできないため、本テストにおいては考慮していません。

「一般的なロボアドバイザー」とは、一般的な運用アルゴリズム(ノーベル賞を受賞した理論に基づき、金融機関において広く使われている平均分散法を採用。平均分散法における期待リターンはCAPMを用いて算出しており、リスク許容度はやや高めとし、5%~40%の保有比率制限を設けて最適ポートフォリオを算出)を用いて運用を行うサービスのことを指します。

※本コラムについて

・投資環境に関する過去の事実等の情報提供や、作成時点での当社の見解をご紹介するために作成した資料です。

・記載内容は作成時点のものであり、将来の市場環境の変動や運用成果等を示唆又は保証するものではありません。

・信頼できると考えられる情報を用いて作成しておりますが、その正確性、完全性等について保証するものではありません。