親族との再会と相続協議の記録:笑顔に戻るまでの長い一日(株式会社SBI証券 2025.8.1)

こんにちは。相続そうだんターミナルです。
相続の手続きは、法律や税金の問題だけでなく、親族間の関係や故人への想いが複雑に絡み合う、繊細なテーマでもあります。ときに感情がぶつかり合い、ときに温かな絆を再確認する――そんな場面も少なくありません。
今回は、複雑な事情を抱えながら、親族との話し合いを通じて最後は皆が笑顔を取り戻せた、あるスタッフの体験談をご紹介します。相続をきっかけに久しぶりに再会した親族が、どのように歩み寄り、協議をまとめていったのか――そのリアルな記録です。
母の死、そして叔父たちの相次ぐ他界
母が亡くなってからというもの、親戚との交流は年賀状程度にとどまり、疎遠な関係が続いていました。そんな中、突然、母の兄弟、つまり私の叔父が二人立て続けに亡くなったという知らせが届きました。どちらの叔父も独身で子どもがいなかったため、相続人は兄妹である私の母を含む兄弟姉妹です。
しかし、私の母もすでに亡くなっていたため、私は母に代わって代襲相続人となりました。さらに、一人の叔父が亡くなって相続手続きをする前にもう一人の叔父も亡くなったため、数次相続が発生するという、複雑な状況に直面しました。
相続人の確認と専門家への相談
相続手続きを進めるうえで最初に直面したのは、「相続人が誰なのかを正確に把握する」という課題でした。叔父たちの戸籍をさかのぼって取得し、母の戸籍も含めて法定相続人の確定を進める必要があります。さらに、相続財産には不動産が含まれていたため相続税が発生する可能性があり、各々が手探りで作業を進めていました。
そんな中、相続の知識がほとんどなかった私は、早い段階で信託業務を行う銀行と税理士に相談することにしました。
信託銀行では、不動産の扱いについての選択肢を提示されました。具体的には、相続人の一人が取得するべきか、それとも売却して換価分割にするか、はたまた共有名義で所有するのか...。最終的には、リスクを避けるためにも、特定の相続人が一人で不動産を相続する方向で検討を進めることにしました。
税理士には、代襲相続や数次相続の法的な整理、戸籍収集の進め方、遺産分割による相続税のリスクについて丁寧にアドバイスをいただきました。特に、小規模宅地等の特例や不動産の代償分割による相続税の影響といった有効だが複雑な仕組みを知ることができ、早い段階で税理士に相談してよかったと思いました
親戚宅での遺産分割協議とすれ違う想い
準備を整えたうえで、いよいよ遺産分割協議の日を迎えます。
場所は叔母の自宅。広めの和室に、伯父・叔母・従兄弟たちが集まりました。何年も会っていなかった親戚たちとの再会は、懐かしさと同時に少し緊張もありました。
それぞれの近況を簡単に報告した後、話し合いが本格的に始まると、場の空気は一変しました。問題となったのは、やはり不動産の処理です。築年数は古いものの、立地が良く資産価値の高い土地だったため、「売却して公平に分配したい」とする意見と、「家を引き継いでそのまま住みたい」という意見がぶつかりました。
互いの事情や感情が交錯し、久しぶりに会った親戚との交渉は一時、険悪な雰囲気にもなりました。中には声を荒げる場面があり、協議は難航しました。
専門家の助言を参考に冷静な合意へ
どうしたものか...とその場にいた誰もが思っていたところ、このような事態を想定して、事前に税理士と信託銀行からアドバイスをもらっていたことが功を奏しました。私は専門家のアドバイスに従い、不動産は相続人の一人が単独で相続し、他の相続人には代償金を支払う形で調整する案を提示したのです。
この案に基づき、必要な金額や支払い条件を明確にし、専門家の意見を補足しながら話し合いを続けた結果、最終的には全員が納得するかたちで合意に至ることができました。事前に専門家に相談していなければ、一日で話し合いが終わることはなく、更に揉めて収拾がつかなくなっていたかもしれないと想像するだけで恐ろしくなります。
何事もその道の専門家に相談すると、話がスムーズに進むことを改めて実感しました。
和やかな結末と、親戚同士の絆を再認識
緊張感のあった協議が終わったころ、空気を和ませる出来事がありました。従妹が「少しでも和んでもらえたら」と、飼っている犬を連れてきてくれたのです。人懐っこい中型犬が尻尾を振って親戚たちに愛想をふりまく姿に、場が一気に和やかになり、皆の表情にも笑顔が戻りました。
そのとき、一人の叔父が言いました。「せっかくだから、みんなでビールを飲んで乾杯しよう」
この一言で場がさらに明るくなり、即席の打ち上げが始まったのです。
料理は持ち寄りで、地元の名物や家庭の味が並びます。懐かしい顔ぶれとともに、みんなで食事やお酒を楽しむ時間は、叔父たちの死と相続という暗い話題を忘れさせるひとときとなりました。
相続は“人と人をつなぐ”きっかけ
今回の経験を通して、相続は単なるお金や不動産の分け方だけではなく、家族の歴史をどう受け継いでいくかというテーマであることを実感しました。
どんなに複雑な事情があっても、信頼できる専門家に相談し、お互いの意見に真摯に向き合うことで、最後には笑顔で乾杯できる未来がある――心からそう思います。
この体験談が、これから相続に向き合う皆さまの参考になれば幸いです。
