空き家を相続することになったらどうする?手続きや税金、デメリットなどを解説
空き家を相続することになると「どんな手続きが必要なの?」「遠方で管理できない」「いっそ手放したい」など、多くの悩みや疑問がつきものです。
「とりあえず、そのままにしておこう」と考える方も多いですが、空き家を放置すると様々なデメリットが生じます。
今回は空き家を相続した際の手続きや税金、デメリット、活用方法などを解説します。大切な資産で損をしたり、無用なトラブルに巻き込まれたりしないよう、ぜひ最後までお読みください。
空き家を相続したらまずやるべきこと
実家などの空き家を相続することになった場合、相続するかどうか検討し、必要な手続きを行います。手続きを放置するとトラブルに発展する可能性があるため、早めに進めましょう。
遺言書の有無の確認と法定相続人の調査
空き家などの相続が発生すると、まずは誰が遺産を引き継ぐのかを確定させる必要があります。
そのため、遺言書の有無を確認します。自宅だけでなく、公証役場や法務局に保管されていないかも調べましょう。なお、自宅で自筆の遺言書を見つけた場合は、開封せず、家庭裁判所で検認を行う必要があります。
遺言書がない場合は、民法で定められた法定相続人を確定させます。亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を収集し、誰が相続人になるのかを客観的に証明できるようにします。
空き家を相続しない場合は、家庭裁判所で相続放棄の申立てを行う
空き家の老朽化が激しかったり、遠方で管理が難しかったりして、空き家を相続したくない場合、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。
空き家の取り壊しを行ったり、遺品を勝手に処分したりすると、「遺産を相続する意思がある」とみなされ、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。相続放棄を検討している場合は、空き家にはむやみに手を加えず、相続放棄の手続きを進めることが重要です。
なお、自分は空き家を相続したくないが、他の相続人が空き家を引き継ぐという場合、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で成立するため、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要はありません。
空き家を相続する場合、相続登記が必要
空き家を引き継ぐ場合、あるいは売却するために一旦自分の名義にする場合は、管轄の法務局で相続登記(不動産の名義変更)を行います。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、所有権の取得を知った日から3年以内、または遺産分割が成立した日から3年以内に名義変更を行わないと、正当な理由がない限り、10万円以下の過料の適用対象となります。これは、義務化より前に相続した空き家にも適用されるため注意が必要です。
相続登記では、遺言書または遺産分割協議書、相続人全員の戸籍謄本、印鑑登録証明書、固定資産税評価証明書などを収集し、登記申請書などを作成する必要があります。司法書士へ依頼する方が多いですが、『better相続登記』などのサービスを使えば、ご自身で手続きを完結することができます。

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空き家だけを相続放棄することはできる?
「管理が大変だから空き家だけ手放して、預貯金だけ相続したい」と考える方もいらっしゃると思います。
しかし、相続放棄は亡くなった方の財産や債務に対する権利義務を一切引き継がないという手続きであるため、特定の財産だけを放棄することはできません。
財産全体のプラスとマイナスをしっかりと計算した上で、相続放棄を行うかどうか、慎重に判断する必要があります。
相続放棄をしても管理義務が残る可能性がある
状況によって、相続放棄後も空き家の管理義務が残るケースがあります。
現在のルールでは、相続放棄の時点で、その空き家を現に占有していた(住んでいた、あるいは実質的に管理していた)相続人は、次にその財産を引き継ぐ人に空き家を引き渡すまで、適切に管理しなければならないと定められています。
・管理義務が残らないケース: 遠方に住んでおり、実家の鍵も持っておらず、長年全く関与していなかった場合
・管理義務が残るケース: 亡くなった親と同居していた場合や、頻繁に通って実質的に空き家を管理していた場合
管理義務が残っている状態で空き家を放置し、倒壊して隣家を傷つけたり、通行人にケガをさせたりした場合、相続放棄をしていても損害賠償責任を問われる可能性があるため注意が必要です。
相続人が誰もいない、相続人全員が放棄した空き家はどうなる?
相続人全員が相続放棄をした場合や、そもそも身寄りがなく相続人が誰もいない場合、その空き家は、次に引き継ぐ人が決まるまで、相続財産は法人となります。
前述の管理義務から解放されるためには、家庭裁判所に申し立て、相続財産清算人を選任してもらう必要があります。
清算人を選任してもらうための手続きには、数十万円〜100万円程度の予納金を裁判所に納める必要があり、申立人の大きな金銭的負担となります。

空き家をそのまま放置する3つの重大なリスク
空き家を相続したものの、管理が大変なため、放置してしまうこともあります。しかし、空き家を放置することで重大なリスクが生じます。
固定資産税が最大6倍になる(特定空家への指定)
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」という減税措置が適用されており、土地の固定資産税が最大6分の1に軽減されています。
しかし、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、倒壊の危険がある、あるいは衛生上有害と判断された空き家は、自治体から「特定空家」に指定されます。指定され、改善の勧告を受けると、減税の特例が解除され、固定資産税が最大6倍になります。
さらに、2023年(令和5年)12月の法改正により、新たに「管理不全空家」という枠組みが新設されました。これは、特定空家になる一歩手前の「手入れが行き届いていない空き家」のことです。この管理不全空家に指定された場合でも、勧告を受けると固定資産税の減税措置が解除されることになりました。
倒壊や第三者への損害賠償責任を問われる
空き家は、換気や通水が行われないため、早く老朽化が進みます。建物の劣化を放置すると、以下のようなトラブルを引き起こす可能性があります。
・台風や強風で屋根瓦や外壁が飛散し、近隣の家屋や車を傷つける
・老朽化した塀や建物自体が倒壊し、通行人にケガをさせる
・雑草や害虫(シロアリ・スズメバチなど)が大量発生し、近隣クレームになる
・不法投棄や、放火などの犯罪被害に遭う
民法(第717条・土地工作物責任)では、建物の安全性の欠如によって他人に損害を与えた場合、その建物の所有者が損害賠償責任を負うと定められています。もし、通行人が大ケガをしたり亡くなったりした場合、多額の賠償金を請求されるおそれがあります。
維持費(税金・保険料・修繕費)が毎年かかり続ける
空き家を所有しているだけで、毎年以下のような維持費がかかります。
・税金: 固定資産税、都市計画税
・保険料: 火災保険料、地震保険料
・管理・修繕費:電気・水道の基本料金、庭の草刈り・樹木の剪定費用、交通費、屋根や外壁の修繕費
活用する予定のない空き家に毎年維持費を払い続けることは、家計の負担になります。
相続した空き家の活用・処分方法
空き家を放置するリスクを避けるためには、早い段階で空き家をどうするのか、方針を決めることが重要です。
ここでは、空き家の活用方法や処分方法について解説します。
空き家を売却する
空き家を売却することで、相続人同士で遺産を分けやすくなり、固定資産税や管理の負担からも解放されます。売却には大きく分けて2つのアプローチがあります。
1つ目は、建物を解体せず、そのままの状態で土地として売り出す方法です。解体費用の持ち出しがなく、売却が決まるまで固定資産税の軽減措置を受け続けられるのがメリットです。ただし、買い手が解体費用を負担することになるため、売却価格が安くなりやすく、売れ残るリスクもあります。
2つ目は、建物を解体して、きれいな土地として売り出す方法です。すぐに家を建てられるため買い手がつきやすく、比較的高値で売れやすいのが特徴です。ただし、数百万円の解体費用を先払いする必要があり、解体後から売却完了までの間は固定資産税の軽減措置が外れてしまう点に注意が必要です。

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賃貸物件として貸し出す
実家を手放したくないが、自分では住めないという場合は、賃貸物件として貸し出すことで、毎月の家賃収入を得る方法があります。
ただし、人に貸すためには水回りや耐震補強などのリフォーム費用が初期投資として必要になるケースが多いです。また、借り手が見つからない空室リスクや、入居者とのトラブル対応、設備の修繕費用など、大家としての経営責任を負う必要があります。立地や賃貸需要を事前にしっかり調査することが成功の鍵となります。
自分で住む・セカンドハウスとして活用する
相続した本人が空き家に引っ越して住む、あるいは週末だけ利用する別荘として活用する方法です。
思い入れのある実家を残すことができ、現在の住まいが賃貸であれば家賃をなくすことができます。
ただし、築年数が古い場合は、快適に暮らすためのリノベーション費用やバリアフリー化の工事費用がかかります。また、セカンドハウスとして利用する場合、現在の自宅と空き家の両方の維持費がかかるため、経済的な負担に耐えられるかどうかのシミュレーションが不可欠です。
国に引き取ってもらう
売却しようにも買い手がつかず、誰も相続したくないという場合、相続土地国庫帰属制度を利用し、土地の所有権を国に引き取ってもらう方法があります。
この制度を利用するには、以下の厳格なハードルを越える必要があります。
・必ず自費で空き家を取り壊し、更地にしなければなりません
・境界トラブルがない、土壌汚染がない、危険な崖がないなど、国が定めた要件をクリアする必要があります
・審査手数料のほか、引き渡し時に10年分の土地管理費(原則20万円〜)を国に納める必要があります
どうしても手放せない土地に悩まされている場合、最終的な法的手段として検討しましょう。
空き家を相続・売却する際にかかる税金と特例
空き家に関する税金は、相続したタイミングと売却したタイミングの2つの場面で発生します。
どのような税金がかかるのか、そしてどんな節税策があるのか解説します。
相続時にかかる相続税と登録免許税
空き家を相続した際に発生する可能性がある主な税金は、相続税と登録免許税です。
相続税は遺産を相続した際にかかる税金ですが、すべての相続で発生するわけではありません。相続税には基礎控除があり、財産から債務や葬式費用を引いた金額が3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数の計算式で出た金額以下であれば、相続税はかからず、申告も原則不要です。
登録免許税は相続登記を法務局で行う際、国に納める税金です。これは名義変更を行う全員に課税されます。
金額は固定資産税評価額 × 0.4%と定められています。例えば、評価額が1,000万円の実家であれば、4万円の登録免許税がかかることになります。
空き家を売却した時にかかる譲渡所得税
相続した空き家の売却価格から、取得費と譲渡費用を差し引いた金額がプラスになった場合、その利益に対して譲渡所得税(所得税および住民税)がかかります。
税率は不動産の所有期間によって異なります。所有期間5年以下の場合は税率約39%、所有期間5年を超える場合は税率約20%です。
なお、亡くなった親がその家を所有していた期間も引き継げるため、親が何十年も前から所有していた実家であれば、約20%の低い税率が適用されます。
空き家の3,000万円特別控除
一定の要件を満たす実家を売却した場合、売却益から最大3,000万円を差し引くことができる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(通称:3,000万円特別控除)」があります。これを適用することで空き家を売却した際の譲渡所得税を抑えられます。
主な適用要件は以下の通りです。
・昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準の家)であること
・相続の直前まで、亡くなった親が一人で住んでいたこと
・相続から売却までの間、誰かが住んだり、人に貸したりしていないこと
・相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
このように要件が定められているため、古い実家を相続した方は、売却前に必ず不動産会社や税理士に特例適用の可否を相談しましょう。
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