「解散価値」割れ&有配の好業績中小型株を探る

「解散価値」割れ&有配の好業績中小型株を探る

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2024/03/13

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「解散価値」割れ&有配の好業績中小型株を探る

東京株式市場が調整気味の展開になっています。日経平均株価は2月末の終値39,166円から3/7(木)には一時40,472円まで上昇しましたが、3/11(月)には一時前日比1,200円弱下げました。3/12(火)時点では、前月末比0.9%の下落になっています。同様に、東証スタンダード市場指数は前月末比0.7%安、同グロース市場指数は同2.4%安となっています。

日経平均株価は3/7(木)時点では年初来上昇率が21%に達し、短期的な過熱感が強まっていました。そうした中、相場のけん引役であった半導体・AI関連株が米エヌビディア株の急落を受けて連れ安したことや、外為市場でドル・円相場が1ドル150円台を割り込み円高・ドル安が進んだことで、一気に利益確定売りに押される展開になりました。なお、東証グロース市場の下げが厳しいのは、AI関連株に売りが広がったことが一因とみられます。

ただ、今回の相場上昇のひとつの大きな要因である「企業改革への期待」や、それを背景とした割安株物色の流れは続いているとみられます。3/5(火)付・日本経済新聞によると、上場企業のROE(株主資本利益率)は2024年3月期、前期比0.5%上昇し、9.7%まで高まる見通しです。企業の資本政策改善の効果が着実に数字として表れており、外国人投資家の関心をつなぎとめるものと期待されます。

今後も割安株の水準訂正は続くのではないでしょうか。そこで今回の「新興株ウィークリー」では、好業績で配当も出しながらPBRやPERが低迷している銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場上場銘柄

(2)3/11(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株以上

(3)時価総額1,000億円未満

(4)PBRが1倍未満(BPSはBloombergベース)

(5)予想PERが、東証スタンダード市場の平均15.27倍(3/12時点)未満

(6)予想配当利回り(予想1株配当は会社予想ベース)が、東証スタンダード市場の平均2.17%(3/12時点)より高い

(7)直近四半期(3ヵ月)の営業利益が前年同期比で10%超の増益

(8)年初来で株価が上昇

(9)信用規制銘柄に該当していない

図表の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、PBRの低い順に8銘柄となっています。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 3/5(火)~3/12(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 「解散価値」割れ&有配の好業績中小型株を探る

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(3/12・終値)
PBR(倍) 会社予想PER(倍) 会社予想配当利回り
3204 3204 3204 3204 トーア紡コーポレーション 445 0.32 11.3 2.92%
6319 6319 6319 6319 シンニッタン 284 0.40 9.5 3.87%
8772 8772 8772 8772 アサックス 758 0.55 8.4 2.37%
5391 5391 5391 5391 エーアンドエーマテリアル 1,353 0.57 4.9 3.70%
6357 6357 6357 6357 三精テクノロジーズ 1,232 0.58 11.4 3.25%
6635 6635 6635 6635 大日光・エンジニアリング 532 0.60 10.0 2.26%
6853 6853 6853 6853 共和電業 414 0.64 12.6 3.99%
7561 7561 7561 7561 ハークスレイ 905 0.70 11.9 2.65%
  • ※Bloombergデータ、会社予想データをもとにSBI証券が作成。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■アサックス(8772)~不動産担保ローン専門会社。着実に業績を拡大

★週足チャート(3年)

  • ※データは2024/3/13 (週足)13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■不動産担保ローン専門会社。低水準の貸倒引当率

上場企業で唯一の不動産担保ローン専門会社です。

1969年に設立、2007年に上場しました。不動産の取り扱いエリアは東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏に集中しています。売上高66億円に対し、営業員含め従業員63人と少数精鋭型の企業です(23.3期)。

「ミドルリスク・ミドルリターン」の領域で、中小企業や個人事業者向けを中心に融資を行っています。申込融資までの期間の短さ、資金使途が自由、年齢制限がない等が、銀行から借入をした場合と比べたメリットです。また、金利(年率)は1.95%~6.90%なので、担保のないノンバンクより低水準です。

多数の大手金融機関や不動産会社と提携しており、融資実績は年間1,500件以上に上ります(同社HPより)。

「債権の健全性」を重視しています。貸倒引当金は、貸倒実績率などに基づき計上。独自の審査基準を背景に、20.3期から23.3期までの貸倒引当率*は0.11%で、メガバンクよりも低水準です。

*貸倒引当率:貸し出した債権に対する備え(貸倒引当金)の割合。

■ジワリと着実に業績拡大続ける。株主優待でも人気

24.3期3Q(23.4-12期)は営業収益49億円(前年同期比8%増)、営業利益は34億円(同6%増)と増収増益を達成。通期会社計画に対する進捗率は75%弱と順調です。営業貸付金残高も前年同期比4.8%増となりました。

これまで短期での劇的な業績拡大はない反面、着実に拡大を続けてきた企業です。優待内容の変更等で、株価が下落する場面もありましたが、10年間じわじわと右肩上がりです。また、足元の上昇は3月末を基準とする優待や配当取りを目的に、買われている面もあると想定されます。3/12(火)時点の予想配当利回りは2.37%です。

株主優待銘柄としても人気。3/27(水)を権利付最終日として500株以上の保有で、5,000円分のQUOカードが贈呈されます(6月下旬発送予定)。

■ハークスレイ(7561)~「ほっかほっか亭」統括にとどまらず店舗リース等に多角化

★週足チャート(3年)

  • ※データは2024/3/13 (週足)13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■利益の中心は店舗ソリューション事業

1980年に「ほっかほっか亭大阪事業本部」としてスタート。事業を拡大し、2015年には逆に「ほっかほっか亭総本部」を吸収合併するに至りました。

現在はおもに、以下の3つの事業を営む持株会社です。

(1)持ち帰り弁当事業・・・ 「ほっかほっか亭」のフランチャイズ店を全国に展開。パーティ・イベント用仕出料理も(構成比は売上で44%、営業利益で10%)

(2)店舗アセット・ソリューション事業・・・店舗運営事業者に店舗をリース、また人材紹介や有益情報提供も。洋菓子店やベーカリーの運営・経営改善も(構成比は売上で31%、営業利益で64%)

(3)物流・食品加工事業・・・加盟店・直営店の食材等の保管・配送、無洗米の精米・加工等を行います(構成比は売上で24%、営業利益で8%)

※構成比は、消去前の全社売上高・営業利益に対する比率(23.3期)

■業績順調も割安な状態が続く

業績は順調です。24.3期3Q累計売上高は324億円(前年同期比25%増)、営業利益16億円(同53%増)となりました。「持ち帰り弁当事業」が、スポーツやイベント等の外販、ケータリングが増え、前年同期比で営業増益になりました。物流・食品加工事業も好調でした。

24.3期通期では売上高473億円(前期比32%増)、営業利益22.5億円(同54%増)が会社計画です。2023年末に期初の業績予想(営業利益は16.5億円)から上方修正が行われました。

年間の1株配当は24円の予想で、3/12(火)終値905円に対する配当利回りは2.65%と東証スタンダード市場の平均2.17%(3/12)よりも高めです。3/27(水)を権利付最終日とし、300株以上保有の株主に対し500円のQUOカードを贈呈する株主優待の実施も予定しています。

ただ、表記した通り、PBRは0.7倍、予想PERは11.9倍と市場からの評価は低い状態が続いています。

流通株式時価総額および流通株式比率の不適合を背景に、同社は2023/10/20以降、それまでの東証プライム市場での取引から、同スタンダード市場での取引に替わっており、そのことが評価低迷の背景かもしれません。今後もプライム復活への対応が求められる可能性はありそうです。

株価は2023/12の中旬までの低迷の後、前記した業績予想上方修正を好感して急騰。1月に1,015円の高値を付けた後はもみ合いとなっています。

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