解散価値割れで低PER、割安感顕著な中小型株10選

解散価値割れで低PER、割安感顕著な中小型株10選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2024/07/10

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解散価値割れで低PER、割安感顕著な中小型株10

7/9(火)の東京株式市場では、日経平均株価が大幅反発し、4/24(水)以来の上げ幅(前日比799円高)を記録。過去最高値を更新しました。TOPIX(東証株価指数)も過去最高値を更新しました。

日本株に大きな影響を与えるような材料が出た形跡はありません。ただ、フランスで極右政権の誕生が防がれ、米国で労働市場のひっ迫感が後退する中、日経平均株価が41,100円近辺の節目を突破。市場の一部でオイルマネーの流入を観測する向きがあり、上昇が加速した面もあるようです。投資部門別売買動向を見ると、海外投資家の日本株買い(現物株)は、6月第4週に6週間ぶりに買い越しに転じました。春先以降、停滞気味にあった海外投資家による日本株物色が再び動き始めた可能性もあり、需給の好転が株価上昇を加速させた可能性もありそうです。

ただ、7/9(火)の大幅高相場の局面でさえ、東証グロース市場指数および同スタンダード市場指数は小幅安でした。大型株は半導体関連株とバリュー銘柄の間で循環物色の様相を呈していますが、両市場は物色面で相変わらず蚊帳の外となりました。今後も両市場の低迷は続くのでしょうか。

企業業績全般的には良好であり、東証グロース市場および同スタンダード市場の銘柄が積極的に売られる理由は後退しているとみられます。むしろ、両市場上場の銘柄の出遅れ感は拡大してきたと言えそうです。特に、投資指標面で割安感の強い銘柄の相対的な出遅れ感は一層強まったと考えられます。

今回の「新興株ウィークリー」では、東証グロース市場および同スタンダード市場に上場する割安銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証スタンダード市場またはグロース市場に上場

(2)時価総額1,000億円未満

(3)7/8(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高2万株以上

(4)ROE(株主資本利益利率・前期)8%以上

(5)PBR0.7倍未満

(6)予想PER10倍未満

(7)会社予想ベース配当利回りが2.2%(東証スタンダード市場平均)以上

(8)次のいずれかの条件を満たしていること

  ・前期・今期会社予想ともに営業利益が前期比で増益

  ・会社予想ベース配当利回りが4.0%以上

(9)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(9)の条件をすべて満たしています。掲載は、PBRが低い順です。

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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 7/2(火)~7/9(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 解散価値割れで低PER、割安感顕著な中小型株10選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(7/8終値)
PBR
(倍)
ROE 今期予想配
当利回り
4231 4231 4231 4231 タイガースポリマー 884 0.44 8.1% 3.8%
9896 9896 9896 9896 JKホールディングス 1,037 0.49 8.6% 4.3%
5940 5940 5940 5940 不二サッシ 84 0.51 8.7% 2.4%
5280 5280 5280 5280 ヨシコン 1,846 0.52 8.4% 3.1%
7991 7991 7991 7991 マミヤ・オーピー 1,195 0.58 20.8% 4.2%
8291 8291 8291 8291 日産東京販売ホールディングス 504 0.58 13.8% 4.8%
6932 6932 6932 6932 遠藤照明 1,580 0.61 13.3% 2.5%
5013 5013 5013 5013 ユシロ化学工業 1,788 0.61 8.0% 3.9%
6257 6257 6257 6257 藤商事 1,255 0.61 8.8% 4.4%
8844 8844 8844 8844 コスモスイニシア 818 0.62 10.0% 3.2%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※PBRは株価を前期末BPS(1株純資産)で割って計算。ROEは会社公表ベースの前期数値。予想配当利回りは、会社予想1株当たり配当金を株価で割って求めた数値

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■タイガースポリマー(4231)~ゴムホース、工業ゴム製品でグローバル展開

★日足チャート(1年)

  • ※データは2024/7/10 (日足)10:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

研究開発型で技術力が自慢

1938年(昭和13年)に創立され、ゴムホース、工業用ゴム製品を家電、自動車、土木建築、産業資材等の業界に提供しています。

長年蓄積された技術力に裏付けられた製品開発力が自慢。ニッチ市場でトップまたは高シェアの製品を有しています。神戸に研究開発拠点を持ち、全社員の20%程度が研究開発に携わっている研究開発型企業です。

アメリカ、タイ、中国、マレーシア、メキシコの5ヵ国に7工場を展開。地域別売上高(24.3期)は日本42%、米国44%、東南アジア6%、中国8%で、海外売上比率が58%に達するグローバル企業です。

ホンダ(7267)が売上高(24.3期)の41.5%に達するなど、自動車向けでは、大手自動車メーカーの主力部品サプライヤーとして、ハイブリッド車や燃料電池車にも部品を提供しています。

24.3期は最高純益。割安感の解消が課題

5/15(水)発表の24.3期本決算は売上高478億円(前期比5%増)、営業利益31億円(同192%増)、純利益30億円(同269%増)となり、純利益ベースで過去最高益更新となりました。

半導体不足緩和による自動車生産の持ち直しや円安の進展を背景に、増収。増収効果と価格転嫁の進展、円安の影響で各利益段階でも増益となりました。

25.3期は売上高500億円(前期比4%増)、営業利益34億円(同6%増)、純利益22億円(同27%減)が会社予想です。主力製品はおおむね増収が見込まれます。人件費の増大を増収効果でカバーし営業利益は増益が見込まれますが、為替差益の減少を見込み、純利益は減益を予想しています。

財務体質は堅固です。24.3末時点で自己資本比率は69%あり、現預金から長短借入金を引いたネットキャッシュは136億円で、時価総額(7/9時点で174億円)の8割弱に達します。また、23.3期に2.4%にとどまっていたROE(自己資本利益率)も24.3期には8.1%まで向上しました。

ただ、7/9(火)時点のPBRは0.44倍と「解散価値」の半分にも満たず、予想PERも8倍に過ぎません。会社側では成長戦略と株主還元策を明示してこなかったことが要因と自己分析しています。

配当政策については当面配当性向30%をメドにする方針です。25.3期の会社予想1株配当金は34円を予想。7/9時点の予想配当利回りは3.85%と、東証スタンダード市場の平均である2.2%を大きく上回っています。

■ヨシコン (5280)~静岡を地盤とする不動産メインのグループ会社。日経連続増配株指数に新採用!

★日足チャート(1年)

  • ※データは2024/7/10 (日足)10:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■静岡を地盤とする不動産メインのグループ会社

地域に根差した「総合街づくり企業」を称する企業です。静岡県に本社を置き、不動産開発や賃貸等を行っています。

1949年に、創業者である吉田茂が前身の吉田コンクリート工業所を創業。1969年、東名高速道路開通等に伴うコンクリート製品需要の伸びを見込み、吉田コンクリート工業株式会社を設立。1986年に遠州レミコン工業と合併し、現在の社名となりました。

1990年から工事・不動産業務を開始。1996年に、初の分譲マンション「エンブル・シティ焼津」を竣工しました。祖業であるコンクリート製品に関しては、公共土木事業の減少に伴い製品製造から撤退。21.3期からファブレス化しています。

現在は、不動産開発(売上高構成比67%)や分譲マンションなどを扱うレジデンス事業(同12%)、賃貸・管理等(18%)がメインです(24.3期)。

■今期も過去最高業績更新&14期連続増配実施予定。6月から新たに指数に採用!

前期(24.3期)は過去最高の売上高・経常利益を達成。分譲マンション引渡しは建築部材の高騰により減益要因でした。一方、不動産開発事業での不動産投資法人(REIT)への物件供給および商工業・物流用地の引渡しなどが全体での増益に寄与しました。

今期(25.3期)計画も売上高290億円(前期比21%増)、経常利益38億円(同15%増)と過去最高を更新し、14期連続で増配が実施される見通しです。

5/2(木)の大引け後に今期計画を発表し、翌営業日に株価はストップ高まで急騰。その後は高値水準を維持しました。6月半ばに日経連続増配株指数の新たな構成銘柄として採用され、株価は右肩上がりに推移。現在は、小休止した状態です。しかし、7/9(火)時点でもPBRは0.5倍台と割安水準に位置しています。

7/31(水)に、25.1Q(25.4-6月期)決算が発表される予定です。21.3期以降の業績の傾向として、4Q(1-3月期)に収益が偏重する傾向がある点にご留意ください。

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