波乱相場でも有望?上方修正期待の中小型11銘柄

波乱相場でも有望?上方修正期待の中小型11銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2024/07/24

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波乱相場でも有望?上方修正期待の中小型11銘柄

東京株式市場が波乱の展開になっています。日経平均株価は7/19(金)に終値が4万円近辺まで下落。7月第4週は、4万円を割り込んでのスタートになりました。

日本株の下落には、米大統領選を巡る動きが影響しているとみられます。6月下旬、米大統領選挙を控えたテレビ討論で、バイデン大統領が力強さ、安定感、精彩さを欠いたと評されて以降、米大統領選挙ではトランプ氏有利との見方が支配的になりました。当初はトランプ大統領の政策のうち、一部の日本株にはプラスとみられる部分、すなわち米国での減税や、日本への防衛負担の要求等が織り込まれ、日経平均も安定した推移となりました。

しかし、トランプ氏が7月16日に米メディアのインタビューに対し「台湾は米国から半導体ビジネスを奪った」との批判を展開したうえ、「台湾は防衛費を払うべきだ」と述べたことから、7/17(水)以降の東京株式市場は続落となりました。さらに、バイデン政権も、東京エレクトロンやASML等の半導体製造装置企業が中国による先端半導体技術へのアクセスを提供し続けた場合、規制強化を検討すると報道されたことも下げに拍車をかけました。週明け7/22(月)の東京株式市場でも日経平均株価への売りが先行する形です。

同様に、 中小型株市場も上昇一服となりました。東証グロース市場指数は7/17(水)には一時893ポイントまで上昇しましたが、7/22(月)には一時845ポイントまで下げました。さすがに、大型株市場の波乱に連れ安した形となっています。ただ、チャート的には25日移動平均線が下値支持ラインとして機能しているように見受けられます。

そうした中、東京株式市場は7月下旬となり、今後4~6月期の決算発表が本格化してきます。7/23(火)には海運大手の株価は、日本郵船(9101)の業績予想上方修正を手掛かりに大幅高となりました。当面、決算発表や業績予想修正を背景に株価が変動する銘柄が増えるとみられます。

そこで今回の「新興株ウィークリー」では、東証グロース市場および同スタンダード市場に上場する銘柄のうち、業績予想上方修正が期待される銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証スタンダード市場またはグロース市場に上場

(2)7/22(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高2万株以上

(3)12月決算銘柄(理由は後述)

(4)今年度第1四半期(24年1~3月)営業利益が以下の条件を満たすこと

  ・金額が1億円超

  ・前年同期に対する増加額が1億円超

  ・前年同期比「黒字転換」、または「50%超の増益」で増益率が通期会社予想営業増減率を30%超上回っている

  ・通期会社予想営業利益の通期会社予想営業利益に対する進捗率が30%超

(5)「継続企業の前提」に疑義が生じていない

(6)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(6)の条件をすべて満たしています。掲載は、第1四半期の営業増益率が高い順(ただし黒字転換が最上位)としています。

ここで(3)において、対象を12月決算銘柄にしたのには理由があります。まず3月決算銘柄については、今回の決算発表シーズンで発表されるのが年度最初の四半期(第1四半期)であり、3四半期を残すため、仮に好調な決算でも業績予想上方修正まで判断する企業は少ないとみて除外しました。また、6月決算銘柄はそもそも銘柄数が少ないうえ、発表対象が本決算であり、市場の関心は新年度の会社予想業績に向かいやすいですが、その予想は困難であるため除外しました。

残るは12月決算銘柄と9月決算銘柄ですが、後者は銘柄数が少なめで、分析を簡易にするために12月決算銘柄に絞り込むこととしました。

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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 7/16(火)~7/23(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 波乱相場でも有望?上方修正期待の中小型11銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(7/23終値)
24年1~3月期
営業増益率
進捗率 今期会社予想
営業増益率
2215 2215 2215 2215 第一屋製パン(8/14) 644 黒転 53.3% -4.5%
4420 4420 4420 4420 イーソル(8/9) 887 黒転 46.7% 黒転
4404 4404 4404 4404 ミヨシ油脂(8/5) 1,523 黒転 44.5% 16.8%
5010 5010 5010 5010 日本精蝋(8/14) 220 黒転 36.5% 黒転
5070 5070 5070 5070 ドラフト(8/13) 616 黒転 31.8% 9.1%
6561 6561 6561 6561 HANATOUR JAPAN(8/14) 1,578 482.8% 34.8% 58.6%
4168 4168 4168 4168 ヤプリ(8/9) 806 155.1% 36.5% 88.8%
4245 4245 4245 4245 ダイキアクシス(8/9) 737 114.8% 69.7% 10.6%
5965 5965 5965 5965 フジマック(8/9) 1,195 78.1% 34.9% 40.6%
      7841 遠藤製作所(8/6) 1,347 71.0% 38.2% 6.2%
2788 2788 2788 2788 アップルインターナショナル(8/9) 518 55.3% 54.0% -17.7%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※銘柄名右横カッコ内の数値は決算発表予定日(東証データ)。実際の発表は変更される場合もございます。
  • ※「進捗率」は24年1~3月期営業利益を24.12通期会社予想営業利益で割った比率です。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■イーソル(4420)~創業来「組込みソフトウェア」に注力し、最高益が視野

★日足チャート(6カ月)

  • ※データは2024/7/24 (日足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

IoT社会実現に必須な「組込みソフトウェア」に注力

1975年の創業以来、「組込みソフトウェア事業」を主業務(23.12期売上構成比93%)としてきた会社です。ニッチな分野の開発を行う「センシングソリューション」にも展開しています。

「組込みソフトウェア」とは、組込み機器(特定用途向けに特化し、限定した機能を果たす機器)上で動作するソフトウェアです。一般的に長時間動作、信頼性、堅牢性、保守性、セキュリティなど品質面で高いハードルをクリアすることが要求され、ハードウェアの制御の必要な部分を含んでいるため、知見のない企業には参入障壁が高い分野とされます。IoT社会を実現するためには必須の技術基盤とみられます。

当社の「組込みソフトウェア事業」では、国内外の様々な企業(自動車、コンシューマ機器他)に対し、RTOS(組込み機器向けに特化したオペレーティング・システム)の開発・販売を行っています。また、エンジニアリングサービス(組込みソフトウェア開発を受託したり、トレーニングやコンサルティングを行う)の提供も行っています。

得意先としている業界としては自動車(23.12期売上構成比40.6%・デンソー、オーバス※など)、コンシューマー機器(同25.9%・ソニーなど)が多くなっています。

※2016年に、デンソー、日本電気通信システムとの合弁として設立された車載ソフトウェア開発会社

■自動車向けが好調で最高益が視野

24.12期1Q(24.1~3期)は、売上高31億円(前年同期比39%増)、営業利益4.6億円(前年同期は0.31億円赤字)と大幅に改善しました。自動車向けが大きく伸び、同四半期の売上高に占める比率は50%を超えました。主力の「組込みソフトウェア事業」では、組込みソフトウェア製品が前年同期比190%も増えました。

会社計画の24.12期営業利益は上半期8.2億円、下半期9.8億円とともに黒字転換の予想です。通期予想純利益は7.7億円で、過去最高益(20.12期6.7億円)が視野に入っています。「上半期偏重」の会社計画ですが、1Q営業利益の上半期予想営業利益に対する進捗率は56%と順調です。

また、既述した合弁会社オーバスについて、デンソーが完全子会社化することになったため、4/1付で当社がオーバス株式をデンソーに譲渡し、今期1.81億円の利益計上が見込まれています。

デンソーの政策保有株売却方針を受け、5/14(火)付で、デンソー保有の当社株141万7千株を自社株買いで買付け、6/28(金)に約146万株の自社株消却を行っています。

ただ、デンソーとの協力関係は継続される方向です。6/27(木)にはデンソー製車両監視システムに当社ソフトウェアが採用されたことが発表されています。

株価は1,000円前後まで上昇すると跳ね返される展開です。今後決算発表等を通じ、利益水準向上の認知につながるような発表となれば、大台突破も視野に入りそうです。

■日本精蝋 (5010)~日本トップのワックス(蝋)専門メーカー。高付加価値製品への集中に向け、転換期

★日足チャート(6カ月)

  • ※データは2024/7/24 (日足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■日本トップで唯一のワックス()専門メーカー

日本で唯一の石油ワックスの専業メーカー。1929年、南満州鉄道の子会社として設立された老舗です。石油ワックス、各種ワックス及び重油の製造・加工・販売を行っています。

日本での販売シェアはトップでシェアは70%に上ります。輸出販売先は世界30カ国以上、海外売上高比率はアジアや北米などを中心に30%程度です。

■高付加価値製品への集中に向け、転換期

21-24年度の中期経営計画がありましたが、2年目の22.12期に計画の大幅未達となり最終赤字で着地。22年2月にロシアとウクライナの戦争が始まり、原料価格の高騰。販売価格への反映が追いつきませんでした。

前中計(21-24年度)での失敗を踏まえ、新たな中計(23-27年度)を策定。アジア新興タイヤメーカー向け競合製品(タイヤ向けワックス)と価格競争になりにくい高付加価値製品に集中することで、「確実な黒字体質」への転換を図っています。前期(23.12期)では、各利益項目で赤字幅が縮小し、23.12期2Q(23.4‐6期)から黒字転換となりました。

4四半期連続での黒字

今期1Q(24.1-3期)では、売上高は53億円(前年同期比3%減)でわずかに減収でしたが、営業利益は3.9億円(前年同期は13億円の赤字)と黒字転換を達成。4Q連続で各利益項目で黒字が継続し、1Q決算として着実なスタートダッシュを切った形です。

通期計画に対する営業利益の進捗率は36%と好調でしたが、上方修正は行われませんでした。そのため、8/14(水)に予定されている2Q決算発表で上方修正への期待感が募ります。業績改善に伴い、低迷が続いていた株価も回復基調です。2023年以降、250円を試す展開が続いています。

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