日銀が利上げ!キャッシュリッチ中小型株10選

日銀が利上げ!キャッシュリッチ中小型株10選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2024/07/31

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日銀が利上げ!キャッシュリッチ中小型株10選

7月中・下旬の東京株式市場は波乱となりました。日経平均株価は過去最高値42,224円(7/11)から7/30(火)終値まで8.8%下落しました。米テック株の下落と円高がおもな要因とみられます。これに対し、東証グロース市場指数は1.2%下落、同スタンダード市場指数は1.9%下落にとどまりました。米金融緩和観測の強まりもあり、米国の代表的小型株指数であるラッセル2000が同期間6.3%上昇するなど、世界的に中小型株の巻き戻しが強まりました。

7月最終週は「中銀ウィーク」といわれ、日本及び米国の金融政策が注目材料となっています。こうした中、7/31(水)、日銀は追加利上げを決定。発表後、金利上昇が追い風となる銀行株などに買いが入り、日経平均が上昇に転じています。米国も現地時間7/31(水)、政策金利が発表される予定です。9月FOMC会合以降での利下げ開始が大方の予想で、本7月会合では、パウエルFRB議長の発言が注目されると予想されます。

日本の中小型株が相対的に堅調な一因として、ラッセル2000の上昇があるとみられます。しかし、米国で利下げが指向されているのに対し、日本では利上げモードに入ってきていることを認識しておく必要はありそうです。日本の中小型株にとってはやはり、米国より日本の金融政策が重要だとみられます。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、借入金が少なく、キャッシュ(現金及び預金)が豊富で、金利上昇にも強そうな銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場またはスタンダード市場に上場

(2)時価総額1,000億円未満

(3)7/29(月)まで20営業日の1日平均出来高2万株以上

(4)現金預金30億円以上

(5)長短借入金がおのおの5億円未満

  ※長期借入金には「社債」を、短期借入金には「1年以内に返済予定の長期借入金(または社債)」を含みます

(6)直近四半期累計または本決算が前年同期比で営業増益、または黒字転換

(7)広義の金融を除く

(8)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(8)の条件をすべて満たしています。掲載は、総資産に占めるネットキャッシュ(※)比率が高い順番となっています。財務データは直近四半期のものを使用しています。

※ネットキャッシュ・・・「現金及び預金」から(5)の長短借入金を差し引いた金額

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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 7/23(火)~7/30(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 日銀が利上げ!キャッシュリッチ中小型株10選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(7/30終値)
ネットキャッシュ比率
3623 3623 3623 3623 ビリングシステム 1,379 89.7%
5570 5570 5570 5570 ジェノバ 757 88.8%
6054 6054 6054 6054 リブセンス 219 74.4%
4829 4829 4829 4829 日本エンタープライズ 132 71.7%
147A 147A 147A 147A ソラコム 1,303 70.5%
5885 5885 5885 5885 ジーデップ・アドバンス 9,840 69.3%
4475 4475 4475 4475 HENNGE 1,056 67.4%
5254 5254 5254 5254 Arent 5,270 66.6%
4431 4431 4431 4431 スマレジ 2,310 66.4%
      7774 ジャパン・ティッシュエンジニアリング 661 61.0%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※ネットキャッシュ比率は直近四半期末時点の数字

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■ソラコム(147A)~企業のIoTサービスを迅速に立ち上げるプラットフォームを提供

★日足チャート(6カ月)

  • ※データは2024/7/31(日足)13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

IoTプラットフォームを提供

当社は2014年に創業され、本年3月に東証グロース市場に上場したIoT(モノのインターネット)関連企業です。IoTは様々なものをインターネットで接続して活用することやその技術を示しています。当社は、企業に対しIoTプラットフォームである「SORACOM」を提供。顧客は当社サービスを利用することにより、迅速にIoTサービスを立ち上げることができます。

東京を本社としつつ、英国や米国にもオフィスを構えるグローバル企業(海外売上高比率は36%・24.3期)です。先進的スタートアップとして評価され、KDDI(24.3期末・持株比率40.68%)やソニーグループ(同2.23%)、日立製作所他から出資を受けています。

創業者の玉川CEOはIBM基礎研究所の出身で、AWS(Amazon Web Service)の日本事業立ち上げを行っており、その経験が現在の当社事業に生かされているようです。社内のリーダーシップチームにもAWS出身者が多いことがひとつの特徴となっています。

ソフトウェアを月額課金で提供する「リカーリング収益」が多い(24.3期売上構成比67.9%)のが特徴です。解約率が相当増えない限り、契約顧客数の増大につれて収益が拡大しやすいビジネスモデルになっています。

■財務体質は堅固。今後も高い成長に期待

5/10に本決算が発表され、24.3期は売上高79億円(前期比25%増)、営業利益7.2億円(同617%増)と大幅な増収・増益となりました。KDDIの新規事業開発に向けた取り組みが加速し、一時的な収益が増えた他、リカーリング収益も堅調に伸びました。

25.3期は売上高99億円(前期比25%増)、営業利益9.2億円(同27%増)が会社計画です。市場コンセンサス(Quickベース)の予想営業増益率は今期36%、来期87%となっています。

既に獲得した大型案件からは継続的な収益貢献が見込めそうです。成長が続くコネクテッドカー(ICT端末としての機能を有する自動車)での案件獲得を目指しており、KDDIと戦略的アライアンスを結んでいます。

3月に新規上場して増資した結果、現金及び預金残高は23.3期末35億円から24.3期末76億円と急速に拡大。有利子負債はなく、ネットキャッシュ比率は約7割と財務体質に問題はみられません。投資の巧悦が注目される所です。

株価は3/26初値1,563円から4/2には2,460円の高値を付けました。IoTをコアビジネスとしているだけに人気化しやすかったとみられます。その後は反落に転じ、7/30(火)終値1,303円は高値から47%下げた水準となっています。

当面は8/14(水)の25.3期1Q決算発表、9/21(土)のロックアップ期間終了が重要日程となりそうです。株価が時価近辺で値固めをでき、成長シナリオを確認できれば、リバウンドに転じる可能性もあるでしょう。

■ジーデップ・アドバンス (5885)~エヌビディア製品の販売を行うエリートパートナー。7/29、「Blackwell」搭載サーバーの受注開始!

★日足チャート(6カ月)

  • ※データは2024/7/31 (日足)13:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■エヌビディア製品の販売を行うエリートパートナー

システムインキュベーション事業を展開。顧客企業がAIサービスを開発・運用するための製品・サービスの提供や、ハードウェアやソフトウェアの保守・点検等を行っています。また、エヌビディア製品の販売を行うエリートパートナー企業です。他にも、世界的半導体メーカーのAMDやインテルの製品も取り扱っています。

世界的なAIカンファレンス「NVIDIA GTC」で8年連続受賞した実績を有します。また、高消費電力化を見越した対応として、国内大手のデータセンターと提携。運用支援でのストック収益の拡大を図っています。

■財務良好。安全性指標は標準を大きく超える

長短借入金はなく、現預金が30億円、短期的な支払能力を示す流動比率は330%超(高い方が安全、22年度の法人企業統計では全産業・全規模で156.5%)、より長期的な安全性を測る指標の固定比率は4.8%(低い方が安全、同134.3%)と財務は良好です(24.5末時点)。

■生成AIやクラウドビジネスへの需要増で、過去最高業績更新。7/29、「Blackwell」搭載サーバーの受注開始!

前期(24.5期)は売上高44億円(前期比17%増)、営業利益が6.6億円(同19%増)で増収増益。生成AI関連やクラウドビジネス向けの設備投資需要が堅調だったとしています。

今期(25.5期)も同様の要因を背景に、売上高57億円(前期比30%増)、営業利益6.7億円(同1.9%増)で過去最高を更新する見通しです。

7/29(月)、エヌビディアの最新GPU「Blackwell」を搭載したサーバーの受注開始を発表。「Blackwell」は、現行製品と比べ、AIに関する一般的な処理では5倍、肝要となるAIの推論では30倍の能力を持つとされており、米大型テック企業も軒並み採用見込みです。日本企業での需要が想定以上となった場合、同社業績にもポジティブサプライズになるでしょう。

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