歴史的な値動きの日経平均!おさえておきたいこととは?

歴史的な値動きの日経平均!おさえておきたいこととは?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2024/08/06

日経平均が急落!8/5(月)は過去最大の下落幅に

7月第5週(7/29-8/2)の日経平均は、前週末比1,757円71銭安(▲12.8%)と週足ベースで大幅に3週続落。7/11(木)につけた史上最高値からの下落率は15%弱に達し、調整局面が継続しています。米国での景気減速が嫌気された株安や、円高ドル安の進行が重しとなった格好です。

7/31(水)に開催された日米の金融政策を決定する会合で、金融引締めを行う日本と、金融緩和を目指す米国で対照的な結果が示され、一段と円高・ドル安が加速。日本株は円安による割安感で買われていた面が強かったため、海外勢による先物主導の売りが発生しました。また、円安による企業業績期待の剥落にもつながったもようです。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/29~8/2・図表8)の首位は、SCREENホールディングス(7735)です。米景気減速懸念による半導体株の下落に連れ安しました。他には、決算内容が嫌気され、エーザイ(4523)や日立建機(6305)がランクインした形です。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/29~8/2・図表7)では、好決算銘柄が多い顔ぶれです。首位のアドバンテスト(6857)は、7/31(水)の引け後に行った決算発表で、AI需要の高まりを背景に、通期計画の上昇修正を実施したことが好感されました。なお、8/2(金)は他半導体関連株と同様に大幅安となり、5日(月)は同決算発表前の値段を下振れました。

8月第1週(8/5-9)の日経平均は、8/5(月)に歴史的大幅安でスタート。下落幅は過去最大、下落率は過去2番目を記録。ボラティリティが上昇し、プライム市場の売買代金も7兆9,674億円と過去最大額となりました。売りが売りを呼ぶような状態です。6日(火)は円安の一服等を受け、前引けで2,957円90銭高(+9.4%)と値を戻している展開です。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/26~8/2)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/26~8/2)

歴史的な値動きの日経平均!おさえておきたいこととは?

8/5(月)の日経平均は前日比▲4,451円(同▲12.40%)の31,458円と急落しました。前週の8/1(木)の同▲975円(同▲2.49%)、8/2(金)の同▲2,216円(▲5.81%)を受けた週明けの株安であり、一日の下げ幅としては1987年10月20日(火)のブラックマンデー時を上回り過去最大を記録しました。ブラックマンデーは、米国発の世界的な株安であり日本株の急落は翌火曜日のこと。今回の株安は日本株の下落が最も顕著であり、月曜日の急落はさながら“日本版ブラックマンデー”といって差し支えないでしょう。

最近の国内株式市場を簡単に振り返ると、日経平均が再び4万円の大台を突破し、史上最高値である42,224円を付けたのが7/11(木)のこと。この日の夜、為替介入と見られる動きから円相場は急激に円高となり、翌日から日経平均は下落トレンドへ転換しました。そして1ヵ月も経たないうちに日経平均は値幅で1万円超の急落となったのです。

特にここ数日の下げ相場では『恐怖指数』と言われている日経VI(ボラティリティ・インデックス)が8/5に70.69と、2011年の東日本大震災の相場混乱時を上回り、2008年のリーマンショック時以来の高水準を付けており、市場の混乱の度合いをうかがい知ることが出来ます。ちなみに8/5は日経平均(現物)のザラ場安値は31,156円だったのにたいし、大証日経平均先物の安値は30,370円と、3万円台割れが視野に入っていました。

日本株の直接的な下落要因については、8/2マーケット・フラッシュ「大幅下落が続く日経平均!?当面の下値目途は?などでも指摘しており、本稿では筆を控えさせていただきます。ただ、日経平均3万円は2021年のコロナショックからの戻り相場における上昇目途の水準で、欧米でも同様に株式市場が一旦、高値をつけました。翌2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響に加え、米国やユーロ圏、英国など主要国でインフレ抑制のための大幅な利上げ局面がスタートするなか、欧米の株式市場は軟調に推移しました。その一方で日本株は2022年から2024年の相場急落前まで主要国の中でも相対的に好パフォーマンスが続きました。これは日本が主要国で唯一の金融緩和マーケットだったことで投資マネーが流入していたことが一因だったかもしれません。しかし、先週に日銀が金融政策決定会合において政策金利の引き上げと、先行きの利上げ継続見通しを示したことを受けて、投資マネーが一気に日本から流出した可能性が考えられます。

そして日経平均がこれだけ大幅に下落する中で気になるのは、やはり下落の目途でしょう。日経VIが急上昇し、相場がパニック状態にあるなかでは、テクニカルから見た短期的な相場の下値目途は効きにくいかもしれません。そうなればある程度大きな節目に注目する必要があると考えられます。

33,464円:2023年終値(参考)

31,458円:8/5終値(参考)

30,500円:2023年年後半相場のボックス圏下限

30,000円:2021年のコロナショックからの戻り相場の上昇目途

28,000円:2022年のボックス相場の上限

26,000円:2022年のボックス相場の下限

などが、日経平均の主要な下値目途と思われます。

図表9 日経平均と日経VI

ただ、正直なところ日経平均の下値目途を予測することは非常に困難だと思われます。そこで日経平均の下げ止まりを考えるために注目したいのが円相場の動きでしょう。日経平均が大きく下落する中で円相場も急激な円高・ドル安に見舞われました。もっとも、今年4月末から5月初旬の為替介入以降、円相場は投機筋主導の円売りポジションが再び膨らむ中、7月上旬に1ドル=162円付近へ円安が進行していました。これが7/11に再び為替介入が行われて以降に円高に転じ、更に先週の日米の金融政策を決める会合を経て円高が加速しました。シカゴ商品砂金の取引所のデータを見ると、投機筋による円売りポジションはかなり解消しており(図表10)、一方的な円売り局面は一巡してきていると考えられます。

図表10 円相場と投機筋の円ポジション

投機筋による円売りポジションの解消が一巡してくれば、円相場は日米金利差(米国金利-日本金利)見合いの動きを取り戻すと考えられます。ここもと、米国では急速に景気後退への懸念が高まり、米金利が低下傾向を辿っている一方、日本は日銀が利上げ継続姿勢を鮮明にしており、日米金利差は縮小することで円高が継続するのでは、との見方もあります。

ただし、先週8/2(金)発表の雇用統計は、失業率が4ヵ月連続で上昇するなど景気減速を示唆する内容だったとは言え、それが急激な景気後退を示唆しているかと言えばそこまでの悪化ではなく、米国経済の先行きに対する悲観(とそれを受けた金利低下)は、やや行き過ぎと考えられます。一方、日本では7/31に日銀が政策金利を引き上げましたが、日本の金融引き締めは直接的なインフレ抑制策というよりかは、インフレの原因となり得る円安の抑制、との側面が強そうです。そうであれば、既に円相場が歴史的な円安局面から大きく揺り戻されているため、今後、積極的に利上げを行う必要性は低下すると考えられます。日米金利差の縮小が限定的に留まるならば、円高の進行についても一巡してくると見られます。8/5にイランがイスラエルに対して報復攻撃を行うことをG7に通達するなど、中東情勢の緊迫化などには注意する必要があるものの、円相場が1ドル=140円台半ば程度で安定してくれば、株式市場としても落ち着きを取り戻すことが期待されます。

ただ、日経平均としては、これだけ急激な下落相場になってしまったため、短期的な買い戻しの動きは期待できますが、相場の流れとしては今年前半のような上昇局面は一旦、終了したと判断した方がよいのかもしれません。日経平均が再び上昇トレンドに入るには、日経平均としては38,000円レベルを回復する必要があると思われますが、それには時間がかかる可能性が高いと思われます。また、短期的には、日経VIが高止まりしている中では、相場のボラティリティ(値動き)が荒い状態が続くこと想定されます。短期的な売買によるリスクとリターンが大きくなっていることに注意する必要があるでしょう。

図表11 円相場と日米金利差

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