反発相場でリード役期待!?四半期大幅増益銘柄
投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実
2024/08/21
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
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反発相場でリード役期待!?四半期大幅増益銘柄
東京株式市場が落ち着きを取り戻してきました。日経平均株価は、史上最大の下落幅を記録した8/5(月)に終値が前月末比19.5%下落した水準まで沈みましたが、その後は反発に転じ、8/16(金)時点では前月末比2.7%下落した水準まで回復しました。ただ、25日移動平均線を少し上回る水準に達したことで利益確定売りも増え、8/19(月)・8/20(火)はトータルで横ばいとなっています。
また、東証グロース市場指数は、8/5(月)終値が前月末比24.9%下落するなど、市場全般の下落につれ安となりました。流動性に乏しい分、下落率はむしろ大型株以上になりました。その後は上昇に転じ、8/20(火)までは10連騰となっています。ただ、年初来騰落率(8/20時点)で見ると、日経平均株価は13.7%の上昇を維持しているのに対し、東証マザーズ市場は8.8%の下落と、いまだ出遅れ感が顕著になっています。
こうした中、上場企業の24.4~6期決算発表が一巡しました。日本経済新聞社の集計によると、3月決算の上場企業については、同四半期の純利益は9%増えました。25.3期通期では1%減益見通しになっています。
そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、決算発表が終わった銘柄の中から、好業績銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
(1)東証グロース市場またはスタンダード市場に上場
(2)時価総額1,000億円未満
(3)3月決算、または12月決算銘柄
(4)以下の時期に決算発表を実施
・3月決算・・・8/13(火)・8/14(水) ※8/9(金)以前に発表の銘柄は前号で分析
・12月決算銘柄・・・7/22(月)~8/14(水)
(5)前年同期の四半期(累計)および前期の営業利益が黒字
(6)直近四半期(累計)の営業利益が以下の条件をすべて満たしていること
・3月決算銘柄は2億円超、12月決算銘柄は4億円超
・前年同期比で50%超の増益かつ通期会社予想営業増益率を上回る
・通期会社予想営業利益に対する進捗率・・・3月決算企業は25%超、12月決算企業は50%超
・同進捗率が前年同期の進捗率を上回っている
(7)通期会社予想営業利益が増益予想
(8)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は、上記(1)~(8)の条件をすべて満たしています。掲載は、直近四半期の前年同期比増益率の高い順となっています。ちなみに、対象とする決算期は以下の通りです。
直近四半期(累計)・・・3月決算企業は24.4~6期、12月決算企業は24.1~6期
前年同期の四半期(累計)・・・3月決算企業は23.4~6期、12月決算企業は23.1~6期
前期・・・3月決算企業は24.3期、12月決算企業は23.12期
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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移
【参考】 8/13(火)~8/20(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄
■図表 反発相場でリード役期待!?四半期大幅増益銘柄
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 (8/20終値) |
四半期累計 営業増益率 |
25.3期会社予想 営業増益率 |
3069 | 3069 | 3069 | 3069 | JFLAホールディングス(3) | 170 | 1572.2% | 4.3% |
6562 | 6562 | 6562 | 6562 | ジーニー(3) | 1,352 | 633.7% | 49.4% |
4463 | 4463 | 4463 | 4463 | 日華化学(12) | 1,251 | 276.4% | 56.9% |
5621 | 5621 | 5621 | 5621 | ヒューマンテクノロジーズ(3) | 1,367 | 258.9% | 20.8% |
1914 | 1914 | 1914 | 1914 | 日本基礎技術(3) | 678 | 163.3% | 38.3% |
4248 | 4248 | 4248 | 4248 | 竹本容器(12) | 816 | 128.1% | 57.1% |
5965 | 5965 | 5965 | 5965 | フジマック(12) | 987 | 99.2% | 40.6% |
5699 | 5699 | 5699 | 5699 | イボキン(12) | 1,195 | 89.9% | 4.9% |
3299 | 3299 | 3299 | 3299 | ムゲンエステート(12) | 1,342 | 52.3% | 15.6% |
3663 | 3663 | 3663 | 3663 | セルシス(12) | 904 | 51.6% | 47.0% |
- ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
- ※ヒューマンテクノロジー(5621)の四半期累計営業増益率は、会社資料をもとにした前年同期の参考値との比較により計算されています。
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■ヒューマンテクノロジーズ(5621)~勤怠管理システムのトップブランド。来期以降投資回収期で成長加速に期待
★日足チャート(6カ月)
- ※データは2024/8/21(日足)11:30時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■豊富な機能を有するクラウド勤怠管理システムをワンプライスで提供
当社はクラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」の開発・販売を主たる事業としています。勤怠管理業務を日々の煩雑なオペレーション業務からデータを利活用し創造的業務へ転換することを目標にしています。国内中心の展開ですが一部、東南アジア等へも展開中です。
「KING OF TIME」を導入することにより、残業時間のリアルタイム把握や基準残業時間の可視化が可能になります。また、シフト管理に係る時間を削減することができます。さらに各種申請の承認ルートを自由に設定でき、管理者は各種申請承認の一元管理が可能となります。これら様々な機能が使えるサービスを1つのIDにつき月額300円のワンプライスで使えることが強い競争力につながっています。
2019年に「働き方改革法案」が施行され、それに対応すべく各種勤怠管理システムの導入が急速に進むことになりました。そうした中で当社は、「KING OF TIME」に経営資源を集中し、煩雑・高度化する勤怠管理需要に応えてきました。
当社は、「KING OF TIME」を直販するだけではなく、通信キャリヤや大手SI(システム業者)と連携、または人事・総務関連の有力サービスと提携し、利用者の利便性を重視したオープンなエコシステムの構築を行っています。このため、「KING OF TIME」は規模・業種・業態問わず様々な企業に選ばれるサービスに成長しています。23.3期には利用ID数ベースで国内シェア25%と、クラウド勤怠管理システムのトップブランドになっています。
「KING OF TIME」はクラウドで提供される月額課金のソフトウェアであり、解約率を低位に抑えることができれば、契約数の増大につれ売上高が増加するビジネスモデルとなっています。24年6月の「KING OF TIME」単体売上高を年換算したARR(年間経常収益)は51億円で、月次換算解約率は0.25%と低く、売上高は20.3期~24.3期に年平均19%で成長してきました。
■25.3期までは先行投資フェーズ、26.3期から成長加速に期待
25.3期1Q(24.4~6期)は売上高14億円(前年同期比22%増)、営業利益2.8億円(同258%増)と大幅増収増益でした。課金ID数が同20.8%と伸び、解約率も0.25%と低位を維持しました。
1Q営業利益の通期会社予想営業利益に対する進捗率は45%であり、業績予想の上方修正が期待できるところですが、下期に先行投資を予定しているため、25.3通期の会社計画に変更はありません。通期では売上高59億円(前期比18%増)、営業利益6.2億円(同20%増)を見込んでいます。
配当性向30%をメドに経営成績に応じた配当を実施していく方針です。今期は1株14.5円の配当を予定しています。
会社側は25.3期までを先行投資フェーズとして位置づけており、足元の人件費や外注費は増加傾向です。それにもかかわらず、上記したように25.3期も増収増益が計画されています。26.3期以降は先行投資の一巡に加え、課金方式の変更(打刻ベースから登録ベースへ)により、業績拡大ペースの加速が期待されます。会社側は中期的に、売上高を年率20%成長させ、営業利益率30%(前期は10%)を目指したいとしています。
■日本基礎技術(1914)~地盤のスペシャリスト。高度成長期のインフラ更新需要が追い風
★日足チャート(6カ月)
- ※データは2024/8/21(日足)11:30時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■特殊土木の専門会社
特殊土木の専門会社です。地盤のスペシャリストが集い、建設基礎工事に特化しています。斜面が崩壊・落石しないように、保護・強化を図る法面(のりめん)保護工事をはじめ、ダム基礎工事、アンカー工事のほか、建設コンサルタント及び地質調査も行っています。
昭和28年(1953年)、現在でも本社のある大阪で設立。連結子会社2社、関連会社2社を擁します(24.3末時点)。子会社のひとつは米国で現地法人で、24.3期時点の海外売上高比率は約12%です。
インフラ設備の耐用年数はおよそ50年と言われています。現在は高度成長期(1955~1973年近辺)に整備されたインフラの見直しの動きがあり、年々需要が高まっているもようです。また、豪雨や地震など自然災害の激化・頻発化で、防災対策への需要も高まっています。
国土交通省の調査(道路メンテナンス年報・令和4年度、2014~22年度の点検結果)によると、橋梁58%、トンネル97%が予防保全段階~緊急措置段階に該当している状態です。
■1Q決算好調で株価がストップ高するも、いまだPBRは割安?
今期1Q(4-6月期)業績は売上高71億円(前年同期比31%増)、営業利益7.2億円(同163%増)と大幅増収増益を達成。国内では一部で発注遅れ等が発生しましたが、工事収益の改善や米国での大型地盤改良工事が順調に進捗したことが押し上げ要因となりました。会社計画対する進捗率は以下の通りです。
売上高:通期25%、営業利益:同51%
会社計画の上方修正は行われませんでした。好調なスタートを切り、今後に期待を残した格好です。
8/13(火)の大引け後に、同決算が発表され、14日(水)の株価はストップ高をつけました。20日(火)時点の株価は、高い成長見通しが好感された今期(25.3期)会社計画を発表後の高値近辺に位置しています。
同じくインフラ補修工事を行うショーボンドホールディングス(1414)の時価総額は当社の15倍超ですが、PBRは2.79倍あります。それと比較すると、当社のPBRは0.59倍であるため、割安水準に位置しているといえそうです。
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