不安な今こそ持っておきたい!?割安・高配当株8選

不安な今こそ持っておきたい!?割安・高配当株8選

投資情報部 栗本奈緒実 鈴木英之

2024/09/04

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不安な今こそ持っておきたい!?割安・高配当株8選

8月の東京株式市場は、波乱相場でした。月初の日経平均は米景気後退懸念や円高が嫌気され、8/5(月)には前月末比20%近くの大幅安となりました。しかし、その後は米7月小売売上高など複数の経済指標が堅調さを示し、過度な懸念が後退。米株の回復に連れ、日本株も値を戻した展開です。終わってみれば、8月の日経平均の騰落率は、▲1.16%と小幅にとどまった格好です。

目下、東京株式市場が回復局面を辿る中、8/5(月)の安値から8月末にかけての騰落率は、東証プライム市場指数が+21%、同グロース市場指数が+35%ですが、同スタンダード市場指数は+18%と出遅れ感が目立っています。東証スタンダード市場指数は、株価が下がったきり、割安水準を維持したまま、放置されている状態です。

米8月雇用統計(9/6発表)でネガティブサプライズが出れば、相場全体の値動きは軟調となり、グロース株投資で売買益を得てゆくことが年前半より難しくなることも想定されます。そのため、先行きが読みにくい状況では、安定的な配当を重視してゆく投資手法も、有用な一手となり得るでしょう。

一方、東京証券取引所が提起した課題解決に向けての動きは、今後も長期化しそうです。2023年3月、東証がPBR1倍割れ企業に向け、「資本コストや株価を意識した経営」で取り組みや進捗の開示要請を行いました。公表された最新データによると、2024年7月末時点で同開示を行っていない企業はプライム市場で14%でした。そのような中、スタンダード市場は同56%と今後の改善余地が大きさを示しました。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、今後の相場展望が読みにくい今こそ持っておきたい、割安かつ高配当利回りが期待できる銘柄を選定するため、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1) 東証スタンダード市場に上場

(2) 時価総額1,000億円未満

(3) 売買高が20,000株以上(25日平均)


    ▿ 割安基準 

(4) 予想PERが15倍未満

(5) PBRが1倍未満

(6) EV/EBITDAが業種平均より小さい

    ▿  高配当....

(7) 予想配当利回りが3.55%以上


(8) 今期最終利益が10%以上の増益予想

(9) 取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(9)の条件をすべて満たしています。掲載は、7)の予想配当利回りが高い順としています。ちなみに、東証スタンダード市場の有配会社平均利回りは2.55%(JPXデータ・8月)です。スクリーニング条件の「3.55%」は、1%pt高く、「高配当利回り」と表現してよいと「新興株ウィークリー」では考えています。

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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 8/27(火)~9/3(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 不安な今こそ持っておきたい!?割安・高配当銘柄8選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(8/30終値)
会社予想
配当利回り
PBR
7795 7795 7795 7795 KYORITSU 160 4.4% 0.41
3512 3512 3512 3512 日本フエルト 494 4.0% 0.45
5187 5187 5187 5187 クリエートメディック 972 4.0% 0.54
6171 6171 6171 6171 土木管理総合試験所 312 3.8% 0.94
6317 6317 6317 6317 北川鉄工所 1,308 3.8% 0.30
4620 4620 4620 4620 藤倉化成 505 3.6% 0.37
3611 3611 3611 3611 マツオカコーポレーション 1,729 3.5% 0.50
2464 2464 2464 2464 Aoba-BBT 318 3.5% 0.93
  • ※Quick Workstation Astra Managerデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※会社予想配当利回りは8/30の株価で求められたもの

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■日本フエルト (3512)~24.3期から配当方針を変更


1971年の設立以降、製紙で不可欠な「フェルト」の製造・販売を行うメーカー。製紙用フェルトの国内シェアはNo.1を誇り、紙の生産量が増加しているアジア市場でも展開しています(会社資料より)。

国内では需要減少が予想されるフェルトをコア事業として置きつつ、国内でも拡販余地が大きいワイヤー(濡れた紙料を脱水する工程で使用される製品)を成長事業に位置付けています。前期(24.3期)末から配当方針の変更を実施。配当性向に加え、新たにDOE*2.5%を目標に掲げています。

*DOEベースの場合、自己資本に応じて配当額の目安が決定される。そのため、利益で左右される配当性向に比べ安定しやすいという特徴がある。近年、配当政策にDOEを採用する企業が増加傾向。

■クリエートメディック (5187)~24年6月末は記念配当も実施。期末は、19.12期以降と同額の20円が実施予定

シリコン製の「カテーテル」を中心とした医療機器メーカーです。中国やベトナム等でも事業を展開し、海外売上高比率(23.12期)は約34%に上ります。景気動向に左右されにくい分野で事業を展開している点もポイントです。過去10期の業績を確認すると、7~10億円程度の営業利益で推移しています。

安定業績に伴い、配当も18.12期以降は1株当たり37円で一貫していました。安定的かつ継続的な配当実施を基本方針として掲げています。ただ、ちょうど今年(2024年)は8月に会社設立50周年を迎え、6月末の中間期(24.6)配当は記念配当(前期+2円)がありました。期末では19.12期以降から同額の1株あたり20円の配当が実施予定です。


■土木管理総合試験所 (
6171)~改善策の具体性に期待


長野県発の建設コンサルタント会社。土木建設工事に必要な土質・地質調査試験や、マンション等の構造物の強度を測定する非破壊検査などの試験総合サービスを基幹事業として行っています。国や地公体の他、建設会社やハウスメーカー、設計会社などが取引先です。国土強靭化政策が業界全体の追い風。しかし、前期(23.12期)は人件費等の高騰等により、各利益項目が通期会社計画を大きく下振れ着地となり、株価の低迷が続いています。

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を公表しています。課題に流動性不足や純資産の増加を挙げており、対応策としては認知度向上のためのIR対応の強化を行ってゆくもようです。2022年9月にPBRが1倍を割れて以降、一貫して同水準での推移が続いています。前述の対応策が具体性を帯び始めれば、低迷が続く株価の回復も期待されるでしょう。

■北川鉄工所 (6317)~公表延期となった次期中計の発表に注目


1918年創業、鉄製品の開発メーカー。産業機械事業、工作機器事業、金属素形材事業と3事業展開し、高シェア製品も多数有します。同社自動車部品は世界中で約10台に1台の割合で使用され、キタガワチャックは国内シェアは60%以上に上ります(同社資料より)。

工作機器や自動車、半導体といった分野は景気動向に、良くも悪くも左右されやすいです。しかし、安定的な株主還元政策を打ち出した場合、株価が一段高となる可能性も期待されます。本年(2024年)5月を目途に中期経経営を公表する計画でしたが、延期を発表。9/3(火)時点では新計画は確認できていない状態です。次回以降の決算発表タイミングに注目が集まることが予想されます。

新着記事(2024/09/04)

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