中小型株優位に!?リード役として期待のAI関連銘柄

中小型株優位に!?リード役として期待のAI関連銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2024/09/11

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中小型株優位に!?リード役として期待のAI関連銘柄

東京株式市場は波乱含みの展開です。日経平均株価は8/5(月)に「過去最大の下落幅」となり、一時31,156円の安値を付けましたが、その後は反発に転じて9/2(月)には一時39,080円まで回復。しかし、9/9(月)には一時35,247円まで下落し、まさに乱高下といったところです。9/10(火)時点(終値は36,159円)で、日経平均株価は7/11(木)過去最高値42,224円から14%超下げた水準にあります。

9月第1週(9/2~9/6)は米経済の先行きを懸念させる経済指標の発表が続きました。9/6(金)に発表された米雇用統計(8月)も非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、過去分も下方修正されるなど弱い内容でした。米エヌビディア株の動きが決算発表後に冴えなかったこともあり、半導体株の下落基調が続いたことも嫌気されました。

日本の中小型株も、株式市場全般の波乱から影響をうけました。東証グロース市場指数は7/17(水)取引時間中高値から8/5(月)同安値まで30.0%も下げました。ただ、9/10(火)終値の7/17(水)に対する水準は6.9%下げた水準にとどまっており、中小型株市場は相対的には堅調であるとみられます。

中小型株市場、特に東証グロース市場は情報通信関連銘柄が主力を形成しています。情報通信産業は国内を中心に展開しているケースが多く、円高の悪影響を受けにくいという強みがあります。AI(人工知能)やDXなど、今後の成長を期待されるビジネスに展開する銘柄も多く、今後市場のリード役として期待したいところです。

東証グロース市場は年前半の低迷が響き、年初来のパフォーマンスはいまだマイナスとなっています。今後は出遅れ感の修正にも期待したいと思います。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、中小型株の相対的優位に期待するとともに、そのリード役が見込まれるAI(人工知能)関連銘柄を再吟味することとしました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場上場銘柄

(2)SBI証券Webサイトの銘柄検索ウィンドウに「AI(人工知能)」と入力し、出力される銘柄

(3)9/9(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高2万株以上

(4)今期会社予想営業利益が10%超の増益予想

(5)直近四半期(累計)の営業利益が前年同期比で10%以上の増益

  ※直近決算が本決算の場合は本決算の営業利益が対象

(6)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(6)の条件をすべて満たしています。掲載は、時価総額(9/9時点)の大きい順番となっています。

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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 9/3(火)~9/10(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 中小型株優位に!?リード役として期待のAI関連銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(9/9終値)
AIとの関連性
5038 5038 5038 5038 eWeLL 1,777 AI訪問看護計画
4371 4371 4371 4371 コアコンセプト・テクノロジー 1,510 IoT、AIソリューションを活用してDX支援
3900 3900 3900 3900 クラウドワークス 1,342 国内最大級のAI副業ツールを子会社が提供
9343 9343 9343 9343 アイビス 4,715 AI学習妨害機能
5132 5132 5132 5132 pluszero 2,225 課題発見、AI開発、保守まで一括提供
2354 2354 2354 2354 YE DIGITAL 764 AIを用いた故障予知サービス
4414 4414 4414 4414 フレクト 2,259 企業向けにIoT/AI等のDX支援
5588 5588 5588 5588 ファーストアカウンティング 1,019 AIの力で「正確で早い会計」「戦略経理」を実現
5572 5572 5572 5572 Ridge-i 2,151 社会課題・顧客課題をAI等で解決
5034 5034 5034 5034 unerry 2,159 月間840億件以上の人流ビックデータをAI解析
4264 4264 4264 4264 セキュア 1,678 顔認証・入退室システム等のAIソリューション
4441 4441 4441 4441 トビラシステムズ 751 AIを活用して営業活動をDX化
2436 2436 2436 2436 共同ピーアール 686 AI論調・報道分析機能を開発
4167 4167 4167 4167 ココペリ 466 AI審査・法人向け融資サービス
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■クラウドワークス(3900)~人材マッチングビジネスにも生成AI普及は追い風。記念株主優待も

★日足チャート(1年)

  • ※データは2024/9/11(日足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■インターネットを使い人材をマッチング

企業や個人がインターネットを通じ、不特定多数の人に業務を委託するビジネス形態をクラウドソーシングといいます。当社は、クラウドソーシングを可能とする日本最大級のプラットフォーム「クラウドワークス」を提供しています。

「クラウドワークス」を利用した「マッチング事業」のうち、「プラットフォーム領域」が営業利益(23.9期)が約4.6億円です。企業(クライアント)等がプラットフォーム上で仕事を依頼し、個人(ワーカー)等がそれに応じることになります。業務委託契約は企業と個人の間で締結されます。企業はいったん当社に契約金額を仮払いし、当社が企業から代金を徴収。成果物の納入が終わった後に、当社が個人等に報酬を支払うことになります。ちなみに、個人等は当社にシステム利用料を支払うことになります。

「マッチング事業」のうち、「エージェント領域」が営業利益(23.9期)の約8.5億円です。企業等が仕事を依頼し、個人等が仕事を受ける点では上記と変わりませんが、業務委託契約は当社エージェントと企業、当社エージェントと個人の間で締結されます。企業が当社に業務委託料・手数料を支払い、当社が個人に業務委託料を支払う形態です。

この他、SaaS事業その他を展開していますが、23.9期(累計)段階では約1.7億円の営業赤字(24.7~9期は黒字)でした。

■「DXコンサル」含むAI案件の契約数が急増

ITを使いビジネスモデルそのものの変革を狙うDXですが、中小企業にとっては資金も人材も不足し、なかなか前に進めないのが現実です。

そうした中、生成AIの登場で、フリーランスのDXコンサルやIT人材の対応力が向上した効果もあり、AI関連の契約数は23.9期1Q2,707件から、24.9期3Q41,508件と急増。生成AIの普及は当社のビジネス拡大に追い風になっているといえそうです。

AIの普及は、当社のSaaS事業にとっても追い風です。24.9期3Q以降グループ入りした子会社「AI tech」がAI事業を相次いで立ち上げました。長く営業赤字が続いてきたSaaS事業ですが、3Q(24.7~9期)に営業黒字に転換しています。

■業績は順調。上場10周年記念株主優待も実施

当社は8/2(金)に、24.9期3Q累計(23.10~24.6期)の決算を発表しました。売上高は124億円(前年同期比28%増)、営業利益は10.7億円(同30%増)と増収増益でした。

仕事を受ける登録ワーカーは、同四半期末に前年同期比79.1万人増加し654.8万人となりました。また、業務を委託する登録クライアント数も同7.3万社増え99万社になりました。

24.9通期では売上高は158億円(前年同期比20%増)、営業利益は12.7億円(同10%増)が会社計画です。営業利益の進捗率は84%に達しており、業績は順調に推移しています。

本年は2014年12月の東証マザーズ(当時)上場から10周年にあたり、会社側は記念株主優待を実施する方針です。12/26時点で300株以上保有する株主にクオカード15,000円相当が贈呈される計画です。記念株主優待であるため、記念優待は今回限りですが、長期保有の投資家への優待については充実したいとしています。なお、配当については24.9期末に1株18円の配当を予定しています。

株価は8/2(金)に好決算と記念株主優待を発表し、8/5(月)には逆行高となり、その後も上昇基調となりました。8/26(月)に1,418円まで上昇した後は一服状態です。ただ、今期予想1株利益69.85円(Quick)をベースとしたPER(9/10)は19.3倍と計算されます。AI関連株として特に割高感は少ないように思われます(参考:東証グロース市場指数の予想PERは51.3倍、9/10時点)。

■アイビス (9343)~世界最大級の利用者数を誇るモバイルペイントアプリを提供

★日足チャート(1年)

  • ※データは2024/9/11(日足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■モバイルペイントアプリのパイオニア的存在。欧米でアクティブユーザー数、4年連続No.1

モバイルペイントアプリ、『ibisPaint(アイビスペイント)』を2000年代初頭から提供。PC並みの高性能を搭載し、スマホで指だけで絵を描けるアプリです。同アプリの累計ダウンロード数は、全世界で4億超に上ります(24.5末時点)。

同アプリの運営・開発を行うモバイル事業が売上高構成比(23.12期)の約6割を占めます。同事業での海外ダウンロード数の伸びが、同社の成長ドライバーです。アプリ内広告が収益の75%を占め、残りは広告非表示機能や追加素材等が利用できるサブスクリプションが13%、売切型アプリが11%と、事業者とユーザーの2方向から収益を得ています。

残り約4割は、創業来の安定事業で、国内企業向けの受託開発やIT技術者派遣を行うソリューション事業です。

ユーザーの特徴として、海外利用とZ世代の割合が高いことが挙げられます。海外での人気が高い欧米アプリ市場で4年連続アクティブユーザー数No.1を達成。モバイル事業における海外売上高比率は7割以上に上ります(23.12期)。

■生成AI学習妨害機能、ユーザーから好評を博す

2024年5月、画像生成AI学習妨害機能を有料のプレミアムユーザー向けにリリース。SNSにアップした際に、作風を学習されてしまう問題を解決する手段としてユーザーに好評を得ているもようです。

■直近業績は過去最高を更新。為替には注意?

直近の24.12期2Q(24.1-6月期)は売上高23.4億円(前年同期比33%増)、営業利益5.3億円(同125%増)、営業利益率23.0%(前年同期は13.5%)といずれも過去最高を更新。営業利益率の改善が目立った格好です。

サブスク売上が前年同期の1.3億円から2.8億円と2倍超になったことや円安進行等が寄与しました。堅調な業績推移に伴い、通期計画の上方修正を実施。2Q時点の進捗率は50%弱程度ですが、会社側は下期に比率を高く見込んでいると言及しています。

1点注意しておきたい点は為替です。下期計画の想定為替レートは1ドル152.8円と9/10(火)時点で、10円弱の円安水準で設定し、宣伝広告費もドル建で払っている分の相殺もあるとしています。売上高の為替感応度は、1円に対し通年で1,400万円、半期では700万円で想定しており、短期的な影響は決して小さくないようです。

新着記事(2024/09/11)

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