決算発表接近!業績予想上方修正期待の中小型10銘柄

決算発表接近!業績予想上方修正期待の中小型10銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2024/10/09

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決算発表接近!業績予想上方修正期待の中小型10銘柄

日経平均株価は堅調に推移しており、4万円回復を実現する日も近いように思われます。

そう考える理由のひとつは、為替市場の安定化です。先月18日まで開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、0.5%の利下げが決められたものの、FRB(米連邦準備制度理事会)が大幅利下げの継続に慎重な姿勢をみせ、米経済のソフトランディングに自信を示したことで、外為市場の流れが変わりました。その後、雇用統計を含む複数の経済指標が、米経済の強さを示したことで、ドルが買われやすくなりました。

石破首相の経済対策に対する不透明感が後退したことも重要な理由です。石破氏は総裁選前に、金融所得課税の強化を主張していたと言われますが、現状でその考えはなく、むしろ現在の経済政策を引き継ぎ、デフレからの脱却を図りたいとしています。利上げに慎重な見方をしたことも、不透明案の後退につながりました。

さらに、企業業績の堅調も株高につながりそうです。現在、日経平均株価の予想1株利益は過去最高水準となっています。1日に発表された日銀短観(9月調査)では、業況判断指数が製造業は前回比横ばいとなり、非製造業は上昇となりました。7~9月期の平均為替レートは1ドル149円台で、前四半期に比べれば6円超の円高・ドル安水準ですが、前年同期比では5円程度の円安・ドル高でした。為替相場は企業業績にあまり悪影響を与えないでしょう。

もっとも、全般的な株価上昇の恩恵が中小型株全般に波及しているようにはみえません。10/8(火)終値の前月末終値に対する騰落率は、東証プライム市場指数が2.0%上昇に対し、東証グロース市場指数は1.5%の下落です。足元、米長期金利が上昇したことで、グロース株全般に逆風が吹いた形です。ただ、米国で半導体株が動意をみせており、グロース株に追い風が吹き始める可能性も出てきました。

そうした中、本日の「新興株ウィークリー」では、業績予想上方修正期待の銘柄にスポットを当ててみました。10月下旬からは、上場企業の24年7~9月期決算発表が本格化します。きたる決算発表で業績予想上方修正または好決算を発表する企業は、その後も市場をけん引できる可能性があると考えられます。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場上場銘柄

(2)時価総額1,000億円未満

(3)10/7(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高2万株以上

(4)3月末決算、または12月末決算銘柄

(5)予想EPSを公表しているアナリストが2名以上

(6)今期の市場予想(Bloombergコンセンサス)EPSが過去4週間で低下していない

(7)四半期(累計)営業利益が前年同期比黒字転換、または増益

(8)今期市場予想営業利益が前期比増益(または黒字転換)で、会社予想以上

(9)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(9)の条件をすべて満たしています。今期予想営業利益について、市場予想が会社予想をどの程度上回っているのかを計算し、その比率が高い順に掲載しました。

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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 10/1(火)~10/8(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 決算発表接近!業績予想上方修正期待の中小型10銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(10/8終値)
今期市場予想営業利益/同会社予想営業利益
4477 4477 4477 4477 BASE(12) 230 277.0%
4419 4419 4419 4419 Finatextホールディングス 990 25.7%
6957 6957 6957 6957 芝浦電子 3,530 10.4%
8929 8929 8929 8929 青山財産ネットワークス(12) 1,376 8.9%
2469 2469 2469 2469 ヒビノ 3,525 7.9%
4970 4970 4970 4970 東洋合成工業 8,040 7.2%
9467 9467 9467 9467 アルファポリス 2,161 5.8%
7342 7342 7342 7342 ウェルスナビ(12) 1,141 3.7%
4417 4417 4417 4417 グローバルセキュリティエキスパート 6,050 0.5%
6405 6405 6405 6405 鈴茂器工 1,656 0.0%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※「今期市場予想営業利益/同会社予想営業利益」は、今期予想営業利益について、市場予想(Bloombergコンセンサス)が会社予想をどの程度上回っているのかを計算して求められた比率。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■芝浦電子(6957)~サーミスタのトップ企業。配当政策も魅力的?

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■「サーミスタ」で世界トップ

当社はサーミスタで世界シェア13%(2022年・会社調べ)とトップを誇る企業です。

サーミスタは、温度が低くなると電気が流れにくくなり、高くなると電気が流れやすくなる電子部品です。小さくて、衝撃や振動に強く、温度に対する感度が高いため、生活を支える様々な製品に使われています。

当社が生産するサーミスタの部門別売上高(24.3期)は、エアコンや電子レンジなどの省エネ家電向けを中心とする「ホームアプライアンス」が44%、EVやHV向けを中心とする「オートモーティブ」が38%、再生可能エネルギー発電機や産業用ロボットなど「インダストリアル」が12%となっています。

地域別売上高(24.3期)は日本が60%、アジアが34%で、その他は欧米等。日本はオートモーティブ向けの売上が最大ですが、アジアはホームアプライアンス向けの割合が多くなっています。

従来型計測用サーミスタは経年劣化が激しく高価という短所がありました。当社は耐久性に優れ、大量生産可能なガラス封止タイプのサーミスタを開発し、日米欧主要8か国で特許を獲得。サーミスタのトップサプライヤーとしての地位を確立してきました。

25.3期の第1四半期は好調なスタート

25.3期の会社計画は以下の通り、減収減益見通しです。

 

◎売上高 320億円(前期比1.2%減)

◎営業利益 48億円(同6.0%減)

◎予想1株利益 220.42円

※2Q累計営業利益 24億円(前期比6.8%減)

しかし、1Q(24.4~6期)は以下の通り好調な内容でした。

◎売上高 82.4億円(前年同期比4.5%増)

◎営業利益 13.7億円(同6.6%増)

ホームアプライアンスは前年同月比で減りましたが、EV/HV向けにオートモーティブが同13%伸びました。

25.3期2Qの決算発表は11/11(月)の予定です。2Q累計の会社計画を上回ることができれば、業績予想上方修正に近づくと考えられます。25.3通期市場(Bloomberg)予想営業利益は53億円が実現すれば、「一転増益」のパターンが期待できます。

■累進配当継続中で「高配当利回り」期待銘柄

1株配当は会社資料で確認できる2011.3期以降「増配または据え置き」の「累進配当」パターンが継続。24.3期は1株当300円の配当が実施されました。25.3期は1株150円の計画ですが、6月末に1→2の株式分割を実施しているので実質据え置きの予想です。10/8(火)終値3,530円で計算した予想配当利回りは4.2%と計算され、東証スタンダード市場の平均である2.4%を大きく上回っており、「高配当利回り」期待銘柄と言っても、差し支えないでしょう。

会社側の中期計画で示された予想営業利益は25.3期48億円、26.3期60億円、27.3期75億円と着実に拡大する見込みです。ガソリン・ディーゼル車では1台につき15本程度使われているサーミスタですが、EV車では20~70本使われると予想(会社資料)されています。今は踊り場のEV市場ですが、同市場の発展は着実に当社の成長に寄与しそうです。

なお、上場企業で同業者としてはSEMITEC(6626)があります。会社予想ベースのPERは当社16倍に対し、SEMITEC7.7倍で、割安感ではSEMITECに分がありそうです。ただ、同社の予想配当利回りは1.8%で、株式の流動性も低めになっています。また、大泉製作所という会社も上場していましたが、現在はフェローテック(6890)の完全子会社になっています。

株価(10/8終値)は、ほぼ年初来高値水準(9/27 3,570円)近辺となっており、その更新に期待したいところです。

■アルファポリス (9467)~自社サイトで人気のコンテンツを書籍化!電子出版は拡大傾向、ヒット作のアニメ化も追い風

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■出版業者。自社サイトで人気のコンテンツを書籍化!

ライトノベルやコミックを中心に出版事業を行う企業です。

誰でも簡単に、小説や漫画等の投稿が可能な「アルファポリス」というウェブサイトを自社で運営。人気のあるコンテンツが書籍化されるビジネスモデルです。

伝統的な出版社でコンテンツが書籍化に至るまでは、作者が作品の持ち込みを行ったり、賞レースに投稿したりするなど、多数の労力がかかります。また、実際に人気を得らるかは不明瞭な部分が大きいのが現実です。

その点、同社は既に人気を得ているコンテンツから書籍化がされているため、高い評価と人気を得て、ヒット作となる確度が高い傾向があります。アニメ化やドラマ化にもつながりやすいとみられます。

■出版業界全体は軟調だが、電子出版は拡大傾向

日本の出版市場全体は軟調です。公益社団法人 全国出版協会の調査では、出版物の推定販売額は1996年のピーク以降、右肩下がりに推移。しかし、電子出版は年々増加傾向です。出版物売上げシェアでは、2014年の電子出版は6.7%に過ぎませんでしたが、2022年には30.7%にまで拡大しています。

同社では、電子書籍の売上が全体の82%を占めています(24.3期)。とくに、コミックは電子との親和性も高いようです。

■世界で人気の『Manga』9月からはフランス語翻訳も

2021年より公式漫画の英語翻訳版アプリの配信をスタート。Kindleストアでの販売も開始し、Manga部門の上位に数多くのタイトルがランクインしています。

本年9/26(木)からフランス語翻訳漫画の電子書籍の展開を開始。翻訳言語の追加と販売地域の拡大を継続してゆく方針です。

中期重点戦略の一つ目に海外における電子漫画のシェア拡大を掲げています。電子漫画に係る利益の海外比率は、24.3期実績は2%でしたが、30.3期には30%達成が目標です。

■ヒット作のアニメ化等で販売好調

24.3期の売上高は7期連続での増収を達成。電子書籍の販売増や、ヒット作品のアニメ化効果などが寄与しました。一方、印税率の改定、人材・設備の拡充の成長投資に加え、製本コスト増加等の影響で、営業利益は前期比6%減でした。

今期(25.3期)は過去最高の売上と各利益項目を更新する見通しです。『月が導く異世界道中』や『異世界ゆるり紀行』などヒット作のアニメ化効果で、1Q(25.4-6期)時点での売上高・営業利益は、いずれも25%超と標準以上の進率捗を達成。なお、売上高は四半期単位で、過去最高を更新しました。

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