年前半に活躍し、年後半も期待の好業績銘柄10選

年前半に活躍し、年後半も期待の好業績銘柄10選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2025/07/02

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年前半に活躍し、年後半も期待の好業績銘柄10選

2025年も半分が過ぎました。日経平均株価は、過去3番目の下落幅を記録した4/7(月)の急落後は上昇に転じ、6/27(金)には約5カ月ぶりに4万円台を回復しました。トランプ関税や地政学的リスクが逆風となりましたが、それらのリスクが後退することで値を戻す形になりました。結局、6月末の日経平均株価は2024年末終値比で1.5%上昇、TOPIXは同2.4%上昇となりました。

そうした中、日本の中小型株市場は相対的に堅調に推移しました。6月末終値は2024年末終値に対し、東証スタンダード市場指数で8.9%、東証グロース市場指数で16.7%の上昇となりました。トランプ関税の問題は結局、グローバルなサプライチェーンの構造に不安を与えるものになりましたが、中小型株、特に東証グロース市場の銘柄は内需を主体とする情報通信、サービス業等の構成比が相対的に多く、影響を受けにくいとみられました。

トランプ関税や地政学的リスクへの不安は完全に解消された訳ではありません。2025年後半も、中小型株優位の展開が続く可能性は大きいように思われます。そこで今回の「新興株ウィークリー」では、年前半にある程度活躍し、好業績等を背景に年後半も活躍が期待される銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

①東証スタンダード市場、または同グロース市場に上場

②時価総額100億円超

③6/30(月)終値が2024年末終値に対して上昇。ただし上昇率は100%未満

④6/27(金)まで過去180日間の1営業日当たり平均出来高が2万株以上

⑤前期営業利益が1億円以上の黒字で前々期比増益

⑥今期会社予想営業利益が2億円以上の黒字で前期比10%以上の増益見通し

⑦直近四半期(3ヵ月)営業増益率が前年同期比20%以上の増益で、かつ増益率が通期予想営業増益率以上

⑧取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記条件をすべて満たしています。掲載は③の株価上昇率が大きい順に10銘柄を並べたものです。


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【参考】 6/24(火)~7/1(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 年前半に活躍し、年後半も期待の好業績銘柄10選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
(6/30・円)
株価上昇率(24.12.30~) 今期会社予想営業増益率
5892 5892 5892 5892 yutori 4,235 93.8% 31.1%
5591 5591 5591 5591 AVILEN 1,676 84.0% 32.0%
9211 9211 9211 9211 エフ・コード 2,350 83.9% 53.6%
4015 4015 4015 4015 ペイクラウドホールディングス 897 79.4% 48.0%
4258 4258 4258 4258 網屋 3,180 74.0% 14.0%
6946 6946 6946 6946 日本アビオニクス 4,220 73.4% 14.4%
2998 2998 2998 2998 クリアル 5,180 72.7% 35.1%
4771 4771 4771 4771 エフアンドエム 2,544 67.9% 15.3%
9168 9168 9168 9168 ライズ・コンサルティング・グループ 1,114 66.3% 16.7%
6554 6554 6554 6554 エスユーエス 1,224 52.8% 26.7%
  • ※Bloombergデータ、会社発表データをもとにSBI証券が作成。比較年年度の会計制度が異なる場合は単純計算で比較しています

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■網屋(4258)~国産セキュリティプロバイダ。サブスクモデルへの切替え進み、業績が伸長。大手企業との提携も

★日足チャート(6ヵ月)

★業績推移(百万円)

■国産セキュリティプロバイダ

AI+クラウドを駆使したセキュリティの総合プロバイダ。世界的なセキュリティ市場への底堅い需要を背景に業績を拡大してきました。
主な事業は以下の2つです。

▸データセキュリティ事業

(24.12期:売上高構成比40%、営業利益構成比52%)

自社開発のログ分析プラットフォーム「ALog」シリーズを提供。「誰が、いつ、どのファイルにアクセスしたか」を記録し、不正を早期に検知する見張り役のような機能により、内部不正防止やサイバー攻撃の自動検知などに活用されています。AIと自動化の技術により、顧客はノウハウがなくとも運用が可能です。

▸ネットワークセキュリティ事業
(同:同60%、同48%)

セキュリティサービス対策を包括的に代行する「セキュサポ」を提供しています。従来、ITシステムを支える基盤の管理は人手による管理が必要でした。しかし、ネットワークの複雑化やクラウド活用の進展により、手作業では対応しきれない領域が急速に拡大。同社のサービスでは、そのような問題に対し、低価格でクラウドを使って社内のネット環境を遠隔でまとめて見守ることが可能です。

大手企業を中心に、導入実績は1.1万社に上ります。サーバアクセスログ市場でシェア70%と業界トップを誇ります(FY2023-25中期経営計画、25.12期1Q決算説明資料より)。

■主力製品のサブスクモデルへの切替え進み、業績が伸長

23.12-25.12期までの中期経営計画では、収益性の向上を目指し、売切り型からサブスクへの切替えを掲げています。順調に進んでいる模様で、データセキュリティ事業での業績伸長が際立ちます。

前期(24.12期)は移行期に当たり、主力の「Alog」製品は24.12期2Q(24.4-6月期)にライセンス売切りが終了。同製品の新規契約のサブスク率は、1年で18%(23.12期1Q)→89%(24.12期4Q)まで向上しました。さらに、24.12期1Q(24.1-3月期)の93件→25.12期1Q(25.1-3月期)時点の308件と約3倍まで伸長。また、解約率もライセンス売切り時の14%前後からサブスク移行で1%弱と大幅に低下しています。

25.12期1Q(1-3月期)は、サブスク化の谷(一括計上から分割計上になることで、業績が一時的に落ち込むこと)の影響で売上高は13億円(前年同期比14%増)に留まりましたが、営業利益は2.8億円(前年同期比24%増)と通期計画に対しての進捗率47.1%と半分弱を達成した水準です。過去数期を確認しても、偏重気味ではないため単に堅調な業績推移と考えられます。

■今期から本格的な海外展開、大手企業との提携開始

ITセキュリティ市場は、先行していた海外製品のシェアが高い市場です。対して同社のサービス・製品は、日本向けの法制度や監査対応など日本企業に最適化された設計という点が強みです。

海外向けでは、9カ国・地域に14の代理店ネットワークを構築。一方、海外売上高比率は現在は非公表で、全体からするとまだわずかと想定されます。今期(25.12期)から本格的な海外展開を行う計画を示しています。

そのような中、2024年5月NTTコミュニケーションズと資本業務提携を締結。グローバルに活躍する大手企業との提携は、技術面のみならず、販売増のための戦略面でも補完関係が強いアライアンスになるとみられます。

高い成長期待から株価は6/27(金)に上場来高値を更新。1:2の株式分割の権利落ち日であり、流動性向上が好感されたもようです。7/1(火)にかけては、やや一服した状態ですが、上値の軽い状態であり、今後の業績動向次第での上昇にも期待が持てるでしょう。

■日本アビオニクス(6946)~陸・海・空に防衛装備品を提供し、防衛予算が強い追い風に

★日足チャート(6ヵ月)

★業績推移(百万円)

■陸・海・空の防衛整備品、航空宇宙向けが主力

1960年、日本電気と米国ヒューズ・エアクラフト・カンパニー(航空機製造)の合弁会社として設立されました。1988年に東証二部(当時)に上場し、2020年に親会社がNAJホールディングス(非上場)に替わりました。

情報システムが売上高(25.3期)の80%を占める主力事業で、営業利益のすべてを稼ぎ出しています。対空戦闘指揮装置や艦船の情報表示装置、自動警戒管制システム等の防衛装備品が主力製品です。また、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の認定企業として高速・高周波用のハイブリッドIC(各種半導体チップや抵抗、コンデンサ他を一つの基板上に組み込んだ集積回路)の供給を行っています。

電子機器事業は売上高(同)の20%を占め、営業損益(同)は2.5億円の赤字となっています。精密接合のリーディングカンパニーとしてスマートフォンやEV車等の組み立てに最適な接合ソリューションを提供。また、人には見えない熱変化・温度差を捉えて問題の早期発見に寄与するサーモグラフィーを提供しています。

■防衛予算拡大傾向が追い風

主要取引先は日本電気(25.3期売上高の33.2%)、富士通(同17.2%)、住商エアロシステム(同16.8%・防衛専門商社)で、それらを通じ、防衛省向けに防衛装備品が納入されているとみられます。

24.3末現在、海上自衛隊艦船のうち、護衛艦50艦、潜水艦22艦、掃海艦艇21艦が運用中で、そのほとんどに同社製の情報表示装置が搭載されています。

株式市場では、同社は防衛関連銘柄の一角として捉えられています。日本でも防衛予算は拡大傾向で、スタンド・オフ防衛(日本に侵攻する艦艇や上陸部隊に対し、その射程圏の外から対処)・無人アセット防衛(無人航空機、無人水上艇他を用いた防衛)等、将来の防衛装備品の開発・装備化に重点配分されるとみられ、同社の活躍領域は拡大傾向とみられます。

■業績は好調。受注も堅調

業績的には20.3期まで6期連続で減収が続くなど長い低迷期がありました。しかし、19.3期にプリント配線板事業から撤退するなど事業基盤を強化し、費用構造改革、成長分野への投資等の改革・施策を経て、20.3期に営業黒字を回復。その後は営業増益が続いています。

5/13(火)に発表の25.3期本決算では売上高が201億円(前期比11%増)、営業利益27億円(同28%増)となりました。将来の売上高につながる受注高は274億円(前期比25%増)と増加。主力の情報システム事業で防衛予算増額の追い風を受けました。税金費用の増加により純損益は19.6億円(前期比9%減)にとどまりました。

26.3期は売上高225億円(前期比11%増)、営業利益32億円(同14%増)が会社計画です。豊富な受注残の消化に加え、積極的な提案活動を行っていく方針です。中期計画の最終年度となる27.3期には売上高300億円、営業利益40億円を目指しています。

株価は年初来高値4,790円(6/23)を付けた後の一服状態にあります。ただ、世界的な防衛費拡大傾向に加え、主力防衛関連が上昇傾向を続けており、心理的な節目である4,000円以下の水準では押し目買いも増えそうです。

新着記事(2025/07/02)

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