日経平均株価が4万円を超えて上昇!上昇継続か要注意か?

日経平均株価が4万円を超えて上昇!上昇継続か要注意か?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2025/07/01

日経平均は年初来高値、S&P500とナスダックは最高値を更新!強気相場を維持

6月第4週(6/23~6/27)の日経平均株価は、前週末比568円98銭高(+1.50%)と週足ベースで3週続伸。イラン・イスラエルの停戦合意や、世界的なAI関連半導体株への見直し買いが継続し、強気トレンドが維持された格好です。6/27(金)の日経平均株価は、値がさのテック株が上昇をけん引し、本年1月以来となる4万円を回復しました。米国市場も堅調さを維持し、同じく6/27(金)にS&P500とナスダックは最高値を更新しました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(6/20~6/27・図表7)の首位は、ポンプ大手荏原製作所(6361)です。半導体業界向けの好調を背景に、国内証券会社の目標株価引き上げが相次ぎました。トランプ大統領の関税政策に対しても、現地生産体制の強化などを講じており、影響は限定的との見方が強いです。また、3位の東京エレクトロン(8035)や6位のソフトバンクグループ(9984)といった日経平均株価への寄与度の高い、主力半導体関連株もランクインしました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(6/20~6/27・図表8)の首位は、内視鏡などの医療品で大手のオリンパス(7733)です。米食品医薬品局(FDA)が一部の医療機器へ輸入警告を発表し、販売減が連想されました。他には、3位のINPEX(1605)や10位の日本たばこ産業(2914)など、配当で人気の銘柄です。6月末で配当の権利確定予定銘柄のため、6/27(金)の権利落ち日を迎え、売り圧力が強まったと考えられます。前者については中東の緊張緩和で原油価格が下げたことも影響したとみられます。

7月第1週(6/30~7/4)の日経平均株価は、前週末に米国でS&P500とナスダックが最高値を更新した流れを引き継いで、6/30(月)の日経平均株価は連続で年初来最高値を更新。6/9(月)の米国市場でもS&P500とナスダックは連続で最高値を更新し、強気相場を維持しています。

一方で、7/9(水)は「相互関税」の上乗せ部分の一時停止措置が終了する予定で、先行きへの警戒感も再び漂っている状態です。利益確定の動きもみられ、7/1(火)の日経平均株価は製造業を中心に売られ、▲146円安で寄り付きました。さらに、7月上旬となったことで、ETFの分配金捻出売りが下落圧力として意識されると想定されます。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(6/20~6/27)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(6/20~6/27)

日経平均株価が4万円を超えて上昇!上昇継続か要注意か?

日経平均株価が急速に値を戻しています。4/7(月)に前週末比2,644円下落(過去3位の下落幅)し、終値ベースで31,136円の年初来安値を付けた後、6/27(金)終値40,150円まで29%上昇しました。5月中旬まではおおむね38,500円を上値抵抗ラインに跳ね返される展開が続いていましたが、6/24(火)以降は抵抗ラインも上放れ、大きな心理的節目とみられる40,000円も一気に上放れてきました。6/30(月)も5営業日続伸し、6月の月間上昇率は7.3%と「月足」は3ヵ月連続で上昇しました。

日経平均株価上昇の要因としては(1)米国株の上昇、(2)地政学的リスクの後退、(3)海外投資家の買い越し基調、(4)日本の企業業績の先行き見通しに対する懸念の後退、等が指摘されます。

(1)については、(2)の地政学的リスクの後退に加え、米経済指標が堅調さを維持し、いまだインフレ高進を明確には示していないことがあげられます。6/27(金)時点でS&P500およびナスダック総合指数は過去最高値を更新しています。半導体関連企業がAI(人工知能)普及による強気な需要見通しを示唆し、AI・半導体関連株が上昇したことで、日本株にも強い追い風が吹きました。

(2)については特に6/23(月)以降、イラン・イスラエル間の戦争が停戦となったことで、世界的に株式市場がリスクオンの状態になり、上記したように米国株の高値更新を導くのみならず、日本株にも追い風になりました。

(3)については、東証が発表する投資部門別売買動向において、6月第3週(6/16~6/20)まで、海外投資家が12週間連続の買い越しが続いています。上場企業による資本効率を意識した経営が目立つようになり、企業買収や自社株買い、親子上場の解消、株主還元の強化等が目立つようになりました。

(4)については、図表9が参考になると思われます。日経平均採用企業の業績を示唆する日経平均の予想1株利益(EPS)は、3月決算銘柄の本決算発表が一巡した5/16(金)に2,186円まで低下していました。本年2/13(木)の過去最高値2,564円からは15%近く低下した計算です。しかし6/27(金)には2,528円まで回復し「最高値」が意識される水準となりました。

図表9のたとえば、PER16倍のラインは、日々計算される予想EPSに16倍を掛けた数字を折れ線グラフでつなげたものです。この数字が上昇していることは、予想EPSが上昇基調にあることを示しています。

図表9  日経平均株価の予想EPSが「反発」

上記したように、日経平均株価は4/7(月)の年初来安値から、6/27(金)終値まで29%上昇しました。図表10はそうした戻り相場の「主役」を示していると考えられます。防衛関連として重工大手、データセンター需要拡大を背景とした電線・情報通信大手、生成AI向けの半導体関連株などが、上昇をけん引したことがわかります。

こうした中、日経平均株価はテクニカル的に「過熱感」を帯びつつあります。日経平均株価が年初来安値を付けた4/7(月)取引時間中の安値30,792円に対し、6/30(月)取引時間中の高値は40,852円で、上昇幅が3ヵ月弱で1万円を超えてきた格好です。さらに6/30(月)取引時間中高値での予想PERは16倍を超えています。図表9にもあるように、日経平均株価の予想PERは昨年8月以降はおおむね16倍が高値になっています。

日経平均株価が最高値の42,426円(2024/7/11)を超えてくるには、トランプ関税問題の着地や、日経平均予想EPSの高値更新等の材料が必要とみられ、それらを伴わないままでの株価の上昇は「反落に要注意」になる可能性もありそうです。

図表10 日経平均株価採用銘柄の上昇率(4/7および6/23~6/27)

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