グロース市場が本年高値!主役候補の情報通信7銘柄

グロース市場が本年高値!主役候補の情報通信7銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2025/08/06

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グロース市場が本年高値!主役候補の情報通信7銘柄

8/4(月)の東京株式市場は波乱となりました。8/1(金)発表の米雇用統計(7月)で雇用者数が市場予想を下回り、過去数値が大幅下方修正されたこと等を受け、米国経済への不透明感が強まったことが要因です。8/1の米国株は大幅安となり、週明け8/4(月)の日経平均株価は一時40,000円を割り込みました。

そうした中、中小型株市場は相対的にしっかりとした動きとなりました。8/4(月)は一時売り込まれる場面があったものの、後半切り返し、終値では東証グロース市場指数は上昇に転換。8/5(火)には年初来高値を更新しました。8/6(水)には一時、約2年ぶりに1,000ポイントを回復しています。

同市場の中心的存在である「情報・通信」関連銘柄の決算が、東証プライム市場において好調なことが要因の一つと考えられます。また、内需が中心の業種であり、米国経済減速・悪化の影響を受けにくいことも追い風とみられます。

今回の「新興株ウィークリー」では、年初来高値更新の東証グロース市場上場銘柄を対象に、中核的存在である「情報・通信」セクターの中から主役候補の銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

① 東証グロース市場に上場

② 時価総額が100億円以上

③ 6/20(金)~8/1(金)に決算発表を実施

④ 東証33業種の中の「情報・通信」に所属

⑤ 過去20営業日の1営業日当たり平均出来高が2万株超

⑥ 直近四半期累計の経常利益が前年同期比20%超の増益、または黒字転換

⑦ 直近四半期累計の増益率が通期会社計画の経常増益率を上回る(黒字転換は最優先)

⑧ 取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記条件をすべて満たしています。掲載は、直近四半期累計の経常増益率(前年同期比)が大きい順(黒字転換は最優先)です。

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【参考】 7/29(火)~8/5(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表  グロース市場が本年高値!主役候補の情報通信7銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名(決算月) 株価
(8/5・円)
直近四半期累計経常増益率(前年同期比) 今期・通期会社予想経常増益率
(前期比)
4479 4479 4479 4479 マクアケ(9) 1,137 黒転 黒転
4412 4412 4412 4412 サイエンスアーツ(8) 1,219 黒転 黒転
5243 5243 5243 5243 note(11) 1,333 126.2% 6.7%
5574 5574 5574 5574 ABEJA(8) 3,525 114.1% 54.5%
4498 4498 4498 4498 サイバートラスト(3) 2,934 111.3% 8.4%
5578 5578 5578 5578 ARアドバンストテクノロジ(8) 2,912 93.1% 57.6%
4176 4176 4176 4176 ココナラ(8) 449 21.5% 2.2%
  • ※会社発表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■ABEJA (5574)~非IT分野への仕事効率化支援。アジア初、エヌビディアと資本提携。今期通期計画を2回上方修正

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■AI技術を活用し、企業の仕事効率化を支援

AI技術を活用し、企業の仕事効率化を支援するサービスを提供しています。具体的には、スーパーマーケットでの人手配置や発注作業、製造業での不良品発見、保険申込の確認作業などの効率化支援を行っています。

顧客は大企業や上場企業が中心で、SOMPOホールディングス(24.8期売上高の20%)や味の素(同11%)などが挙げられます。製造業や小売業、保険業といった非IT業界への導入がメインです。実装・運用に強みを持つ伴走型企業です。自社開発の企業向けの業務支援AIソフトウェアの総合パッケージ「ABEJA Platform」で、データ収集から分析、運用支援までが行えます。

また、AI向け半導体最大手エヌビディアと2017年から資本提携しており、NVIDIA Partner Networkに参画する公式パートナーです。エヌビディアのAI開発ソフトの中でも、高度なIT専門知識が求められるものを自社サービスに組み込み、非IT業界にも使用可能な形にして顧客に届けています。

■テーマ性&業績進捗が好調で、2025年は株価回復基調に転換

2023年6月に東証グロース市場に上場して以降、株価は軟調です。AI/DX関連としてのテーマ性に成長期待が募り、公開価格3,430円に対し上場翌週には10,000円を超える場面もありました。しかし、業績推移が軟調となり、前期(24.8期)は売上高27億円(前期比0.3%減)、経常利益2.8億円(前期比25%減)と減収減益で着地しました。

今期(25.8期)に突入してからは、通期業績計画の上方修正を2回行うなど業績進捗とともに株価も回復基調です。生成AI関連の大言語モデル(LLM)関連の売上の伸びが加速しています。政府出資の研究機関などの公的機関で、提案が採択されたこと等も市場で好感された要因の一つです。

次回の決算発表は、本決算(25.8期)に該当します。来期(26.8期)業績見通しで高い成長性を示すことができれば、一段高も想定されます。次なる高値としては、2024年3月につけた5,000円台が意識されるでしょう。

■サイバートラスト (4498)~「電子証明書」で実績・高シェア。1Qとして過去最高の売上高・営業利益を更新

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■安全なネット取引を実現する「電子証明書」で実績・高シェア

ソフトバンクグループ(9984)の一角を占めるSBテクノロジーが57.9%の株式を保有(25.3末時点)しています。

「トラストサービス」(前期まで「認証・セキュリティサービス」)が売上高(25.3期)の56%を占める主力事業で、「iTrust」が主力商品です。企業や官公庁、個人がインターネットを安心して利用できるように電子証明書(デジタルな身分証明書)を発行し、本人を認証するサービス等が中核です。「暗号」を解くカギが「電子証明書」により確認されることで、施錠されたWebサイトに入ることができる仕組みです。

3種類ある電子証明書の中でも、厳しい審査を通過した企業のみ発行できる、もっとも高機能な「EV証明書」(拡張認証)を発行しています。国内で発行されるEV証明書の約50%(24年7月実績・会社資料)は同社が発行したものです。国内に特化し、2008年から「EV証明書」を発行している実績やサポート品質の高さが強みで、官公庁、大企業(日立、ソフトバンク等)を含む幅広い分野で利用されています。

残りの売上高を占めるのが「プラットフォームサービス」です。LINUXベースのOSサポートや、IoT機器の安全・安心な利用を実現するサービスを提供しています。

■リカーリング売上高主体の安定成長型ビジネスモデル

取引形態別の売上構成比(25.3期)では、リカーリング売上高(契約が継続することで継続的な収益が見込める売上高)が66%を占め、安定成長が期待できるビジネスモデルになっています。

リカーリング売上高は、保守・メンテナンスや証明書利用料などの定額制収益に加え、電子証明書やマイナンバーカードの利用ごとに得られる重量課金制収益から成り立っています。

リカーリング売上高が中心の同社にとって、中心的KPI(経営重要指標)は主力本人確認サービスである「iTrust」のトランザクション(取引数)です。23.3期1,649万件、24.3期2,853万件、25.3期は3,870万件と増加が加速し、26.3期1Qまでの累計では1億700万件に達しています。

1Qとして過去最高の売上高・営業利益

安定成長を可能とするビジネスモデルを武器に、25.3期までは10期連続の増収増益となっています。7/29(火)に発表された26.3期1Q決算も、売上高19億円(前期比27%増)、営業利益3.0億円(同113%増)、経常利益3.1億円(同111%増)と順調で、第1四半期として過去最高の売上高・営業利益を更新。主力の「トラストサービス」が金融機関向けビジネスをテコに拡大し、「プラットフォームサービス」も増収でした。

26.3通期は売上高82億円(前期比10%増)、営業利益15.7億円(同10%増)、経常利益15.7億円(同8%増)が会社計画です。1Q売上高の通期計画に対する進捗率は23.2%で、過去3年(23.3~25.3期)の平均21.7%を上回っています。同様に1Q経常利益の進捗率も20.0%と過去3期の平均14.2%を上回っており、順調なスタートと言えそうです。

なお、会社側は9月末日を基準日として1:2の株式分割を実施することも発表しています。

好調な1Q決算と株式分割の発表が好感され、株価は年初来高値を更新するなど堅調な動きとなっています。今後も安定した成長が見込めそうで、予想PER24.4倍(8/5終値基準)も東証グロース市場の同38倍(8/5)を下回っており、割安感がありそうです。

新着記事(2025/08/06)

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