アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~メタ、マイクロソフト、コーニングなど先週の好決算銘柄~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~メタ、マイクロソフト、コーニングなど先週の好決算銘柄~

投資情報部 榮 聡

2025/08/04

先週の米国株式市場は、関税引き下げ交渉の進展による相場押し上げ効果が一巡となる中、雇用市場の減速に対する懸念が台頭して大幅反落となりました。今週の株価材料として、新たな「相互関税」の発動、4-6月期決算発表、10年国債利回りの行方などが注目されます。

今回は先週4-6月期決算を発表して好調と見られる銘柄から、メタ プラットフォームズ A(META)マイクロソフト(MSFT)コーニング(GLW)ビザ A(V)PTC(PTC)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

7/31(木)は前日引け後に発表されたメタ、マイクロソフトの好決算を受けて大幅上昇で始まりましたが、好材料出尽くしとの見方や高値警戒感が市場にあったとみられ、大きな陰線を付けました。さらに、8/1(金)の雇用統計が相場ピークアウト感を強める結果となりました。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
公益事業 1.5% 4.8% 7.5%
コミュニケーションサービス 0.0% 1.1% 13.8%
生活必需品 -1.1% -2.9% -2.4%
情報技術 -1.4% 1.5% 21.1%
エネルギー -1.6% -1.7% 4.3%
S&P500 -2.4% -0.7% 9.7%
資本財・サービス -3.3% 0.2% 11.2%
不動産 -3.5% -1.3% -1.4%
金融 -3.8% -3.4% 3.3%
ヘルスケア -3.9% -3.4% -5.4%
一般消費財・サービス -4.5% -2.7% 8.1%
素材 -5.4% -4.7% 2.5%
騰落率上位(5日) 騰落率
メタ・プラットフォームズ 5.2%
アルトリア・グループ 3.2%
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ 3.1%
CVSヘルス 2.9%
アッヴィ 2.6%
騰落率下位(5日) 騰落率
ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS) -18.4%
ユナイテッドヘルス・グループ -15.4%
ダウ -14.6%
チャーター・コミュニケーションズ -14.5%
ペイパル・ホールディングス -13.9%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で2.4%、ダウ平均は2.9%、ナスダック指数は2.2%の下落でした。

「相互関税」の引き下げ交渉に一旦材料出尽くし感がある中、7月雇用統計が雇用市場の減速を示唆したことから、大幅な反落となりました。

関税交渉は、先々週に日本、EUと関税引き下げに合意できた一方、先週は韓国と合意、中国とは高関税の停止期限延長で合意しましたが、インドには高関税が課され、相場を押し上げる材料としては徐々に弱まってきたと考えられます。

7月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比7.3万人増と市場予想の同11.0万人増を下回ったうえ、6月分が同14.7万人増から同1.4万人増へ下方修正、5月分も12.5万人下方修正されたことから、雇用市場の減速が強く意識されました。FedWatchの政策金利予想では、9月利下げの確率が1週間前の62%から80%に上昇、年内の利下げ回数は1週前の2回から3回の確率が最も大きくなっています。

大手テクノロジー株の決算では、メタプラットフォームズとマイクロソフトの結果は市場に好感された一方、アマゾンはクラウドの伸びがライバルに劣り物足りない、アップルはiPhone販売の予想以上の好調は関税前の駆け込みと捉えられ、市場の評価はまちまちとなりました。

業種指数では、景気への懸念を背景に相場が下落したため、景気感応度の低い公益事業がプラスを確保しました。情報技術は下落ながら、S&P500指数を上回りました。景気敏感な素材、一般消費財・サービスや、関税引き上げが意識されているヘルスケアなどの下落が大きくなりました。

個別株で上昇率2位のアルトリア グループ(MO)は、4-6月期決算が紙巻たばこの販売減少を受けて減収減益ですが市場予想を上回り、通期EPSガイダンスのレンジ下限を引き上げました。経口ニコチンパウチ「on!」の販売量が前年同期比27%増と好調でした。

今週の米国株式市場

○今週の米国株式

先週は重要な株価材料が目白押しだったため、相場が一段高となるか、一旦ピークアウトとなるかの転換点となる可能性が高いと見られていましたが、結果はピークアウトとなりました。

S&P500指数は先週7/31(木)に、2/19(水)高値6,147.43ポイントに対して4.5%上の6,427.02ポイントに到達して、達成感が出やすい状況だったと考えられます。持続的な下落相場につながるとは見ていませんが、これまでが楽観的過ぎた部分もあり、目先は下値を試す可能性が高そうです。調整の目途として、50日移動平均線の6,130ポイント、一目均衡表の雲の上限の6,118ポイント辺り(1週間先)が考えられるでしょう。

今週の株価材料として、新たな「相互関税」の発動、4-6月期決算発表、10年国債利回りの行方、などが注目されます。

新たに合意した「相互関税」の発動を8/7(木)に迎えます。日本、EUなどのケースでは、関税率の15%への引き下げで合意したものの、詳細は詰められておらず、相互に認識の違いがあるとされているため波乱なく発動となるか確認が必要でしょう。

4-6月期決算発表では、パランティアテクノロジーズ、アドバンストマイクロデバイセズ、ファイザー、ウォルトディズニー、イオンキュー、マクドナルド、イーライリリィなどの発表が予定されています。

S&P500指数採用企業の四半期決算発表が66%終わった段階で、4-6月期予想EPS(既発表企業の実績と今後発表する企業の市場予想の混合)は前年同期比10.3%増です。先週末時点の同6.4%増から大幅に改善しています。株価を支える要因として期待できるでしょう。

米10年国債利回りは8/1(金)に4.3%台後半から4.2%台前半に急低下しました。7月雇用統計の発表を受けて景気減速に対する懸念が台頭したことによります。市場の景気の先行きに対する見方が反映されますので、当面動向に注意が必要でしょう。

経済指標では、8/4(月)に米国の6月製造業受注(前月比-4.8%の予想)、8/5(火)に米国の7月ISM非製造業景気指数(前月の50.8から51.5に改善の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は先週4-6月期決算を発表して好調と考えられる銘柄から、メタ プラットフォームズ A(META)、マイクロソフト(MSFT)、コーニング(GLW)、ビザ A(V)PTC(PTC)を選んでご紹介いたします。

図表3 4-6月期決算の概況(主要銘柄の先週発表分から抜粋)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 今週の5銘柄の投資指標

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(8/1)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートメタ プラットフォームズ A(META)750.01ドル22.4

【ネット広告が好調】

・インターネット広告の好調を受けて4-6月期決算が市場予想を上回り、7-9月期の売上ガイダンスも市場予想の462億ドルに対して475~505億ドルと大幅に上回りました。

・広告インプレッションが前年同期比11%増え、広告単価が同9%上昇し、いずれも市場予想を上回りました。広告インプレッションは「WhatsApp」の広告掲載開始が寄与、広告単価はAIによるレコメンデーション、ターゲット精度の改善が寄与しているとみられ、好調は持続する可能性が高いとみられます。

買付チャートマイクロソフト(MSFT)524.11ドル33.9

【クラウドサービスが加速】

・4-6月期は主要3部門の売上がいずれも市場予想を上回り、「アジュール」を含むクラウドサービスの売上が前年同期比39%増と1-3月期の同35%増から加速、市場予想の同34%増も上回って好調でした。

・ナデラCEOは、「Copilot」の月間アクティブユーザー数は1億人以上であり、マイクロソフトの各種製品で何らかのAI機能を利用している人数は8億人に達すると明かしました。同社は今四半期に300億ドルのデータセンター投資を行うとしており、AI投資が成長に寄与することへの自信の表れと見られます。

買付チャートコーニング(GLW)62.05ドル25.2

【AI関連が業績を押し上げ】

・光ファイバーなどを手掛けるガラス関連製品のメーカーです。4-6月期は売上・EPSとも市場予想を5%上回って好調でした。業績拡大をけん引しているのは4-6月期に売上の39%を占めたオプティカルコミュニケーション部門で、売上は前年同期比41%増でした。AIデータセンター向けに光コネクターが急伸しています。

・ディスプレイテクノロジー部門、自動車部門は前年同期比で減収となりましたが、オプティカルコミュニケーション部門の伸びでカバーされました。関税の影響は市場で懸念されたほど大きくはなかったようです。

買付チャートビザ A(V)339.35ドル26.4

【予想を上回る好調な決算】

・米国の消費減速や関税によるマイナスの影響が懸念されていますが、4-6月期決算は市場予想を比較的大きく上回る好決算となりました。現金取引からデジタル決済へのシフトに加え、付加価値サービス(VISAのネットワークを利用する金融機関に対する各種ソリューションの提供)や企業間取引分野への展開などが業績拡大を支えていくと期待されています。

・決算リリースでCEOは今後を見据えて、AIやステーブルコインなどへの取り組みを強化していることを強調しています。事業環境の変化に対応しようとしている姿勢は評価できるでしょう。

買付チャートPTC(PTC)212.11ドル28.8

【製造業向けソフトウェアの世界的大手】

・製造業向けソフトウェアの世界的な大手で、3D CADとPLM(製品ライフサイクル管理)が主力事業です。航空宇宙・防衛、電子機器、自動車などが顧客業界です。

・4-6月期決算は、3D CADソフトウェアや生成AIの機能を組み込んだツールなどが業績をけん引し、売上・利益とも市場予想を大幅に上回りました。同社顧客の事業環境は最悪期を過ぎたと判断しているとのコメントを出し、通期の業績見通しを引き上げました。エヌビディアのメタバースプラットフォーム「Omniverse」との提携強化を発表しています。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、マイクロソフトは2026年6月期、ビザとPTCは2026年9月期、その他は2025年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
4(月) ・米製造業受注(6月) パランティアテクノロジーズ、ヒムズ&ハーズヘルス
キャタピラー、アクソンエンタープライズ
5(火) ・米貿易統計(6月)
・米ISM非製造業景気指数(7月)
・米3年国債入札
アドバンストマイクロデバイセズファイザー
リビアンオートモーティブスーパーマイクロコンピューター
6(水) ・米10年国債入札 ウォルトディズニーイオンキュー
マクドナルド、エアビーアンドビー
ウーバーテクノロジーズ
7(木) ・米新規失業保険申請件数(8月2日に終わる週)
・米卸売売上高(6月)
・NY連銀1年インフレ期待(7月)
・米消費者信用残高(6月)
・米30年国債入札
イーライリリィ、ブラジル石油公社
ワーナーブラザーズディスカバリー
Dウィーブコンピューティング
8(金)  
11(月) ・米NFIB中小企業楽観指数(6月) オクロ
12(火) ・米消費者物価指数(7月) リゲッティコンピューティング
サークルインターネット、コアウィーブ
13(水) ・米工作機械受注(7月)
・シカゴ連銀グールズビー総裁の講演
エコペトロル(E)
14(木) ・日本実質GDP(4-6月期、改定値)
・中国鉱工業生産・小売売上高(7月)
・ユーロ圏実質GDP(4-6月期、改定値)
・米生産者物価指数(7月)
・米新規失業保険申請件数(8月9日に終わる週)
ゴリラテクノロジー(E)、アプライドマテリアルズ
シスコシステムズ
15(金) ・米小売売上高(7月)
・ニューヨーク連銀製造業景気指数(8月)
・米輸入物価指数(7月)
・米鉱工業生産(7月)
・米ミシガン大学消費者信頼感指数(8月、速報値)
 

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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