決算発表佳境へ!市場予想利益が強気のプライム銘柄8選

投資情報部 栗本奈緒実/鈴木英之
2025/08/01

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
日本株投資戦略
※YouTubeに遷移します。
決算発表佳境へ!市場予想利益が強気のプライム銘柄8選
参院選後、日米関税交渉が急転し合意に至ったことにより、日経平均株価は一時4万円台を回復しました。日本が米国に5,500億ドルを投資し、トランプ大統領が決定権を有し、利益配分の9割が米国に入るという何とも言い難い条件付きではあります。しかし、相互関税の税率が15%で合意に達したことで、先行き不透明感が払拭された格好です。
その後、日米で中銀会合を通過し、日経平均株価は7/31(木)に終値ベースで前週末以来の41,000円台を回復しました。
ただ、7月第5週(7/28-8/1)は、25.4-6月期の決算発表シーズンが本格化したことで、日経平均株価は軟調気味な値動きとなる場面もありました。米関税政策を巡る懸念から、設備投資が減少し、業績が市場の期待に届かなかった企業や、会社計画の下方修正を実施した企業が複数見受けられました。
そのような中、AI・DC(データセンター)への需要は依然として拡大しており、関連銘柄が下支え役となりました。好業績銘柄への物色は継続しているもようです。
今回の決算発表シーズンは、東京株式市場で最も銘柄数の多い3月決算銘柄にとって、4~6月期は第1四半期に当たります。そのため、通期業績の上振れが狙えるかどうか、業績基調を占う重要な四半期となります。好業績が発表された場合には、通期計画の上方修正や市場の期待感につながりやすく、株価が上昇しやすい局面となることもあります。
「日本株投資戦略」では、8/4(月)以降に第1四半期の決算発表予定で、好業績が期待される銘柄を抽出してみました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
①東証プライム市場に上場
②3月に決算期末を迎える予定
③4-6月期決算を8/4(月)以降に発表予定
④予想を公表するアナリストが3名以上
⑤今期(26.3期)予想売上高について、市場予想(Quickコンセンサス)が会社予想より3%以上高い
⑥今期(26.3期)予想経常利益について、市場予想(同)が会社予想より10%以上高い
⑦取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く
⑧継続企業の前提に関する重要事象等が発生していない
図表の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。掲載は、市場予想の経常利益が会社計画を大きく上回っている順です。
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■図表 決算発表佳境へ!市場予想利益が強気のプライム銘柄8選
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 終値(円) 【7/31】 |
決算発表予定日 | 今期(26.3期)市場予想経常利益の会社計画上振れ率 |
7267 | 7267 | 7267 | 7267 | 本田技研工業 | 1,569 | 8/6(水) | 87.2% |
5949 | 5949 | 5949 | 5949 | ユニプレス | 1,070 | 8/7(木) | 28.3% |
6417 | 6417 | 6417 | 6417 | SANKYO | 2,821 | 8/7(木) | 18.9% |
7552 | 7552 | 7552 | 7552 | ハピネット | 5,730 | 8/7(木) | 17.1% |
4980 | 4980 | 4980 | 4980 | デクセリアルズ | 2,197.5 | 8/5(火) | 16.8% |
7701 | 7701 | 7701 | 7701 | 島津製作所 | 3,360 | 8/7(木) | 15.9% |
5803 | 5803 | 5803 | 5803 | フジクラ | 10,375 | 8/7(木) | 14.3% |
4182 | 4182 | 4182 | 4182 | 三菱瓦斯化学 | 2,618 | 8/7(木) | 12.6% |
- ※Quick Workstation Astra Manager、会社発表データをもとにSBI証券が作成。市場予想はQuickコンセンサス。「今期(26.3期)市場予想経常利益の会社計画上振れ率」は、今期市場予想経常利益が会社予想経常利益を何%上回っているのか(7/31時点)を示しています。
一部掲載銘柄を解説!
■ハピネット (7552)~エンタメの総合商社。トレカやカプセル玩具が牽引役
★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■エンタメの総合商社。メーカーを跨いだ複数IPの恩恵が期待
エンタテインメントの総合商社大手。メーカーと販売店をつなぐ、中間流通を担っています。
玩具大手のバンダイナムコホールディングス(7832)は、同社株式の26%を保有する筆頭株主で、持分法適用会社になります(25.3末時点)。創業者は旧バンダイの出身で、バンダイの販売会社として事業をスタート。1994年から資本関係を構築し、バンダイナムコ製品の新製品や再販時の供給枠で強みを有しています。また、タカラトミー(7867)や任天堂(7974)など国内外のメーカー製品の取り扱いがあるほか、非玩具分野の中間流通、自社ブランド商品の販売なども展開中です。
現在の主な事業は以下の4つです。
▸玩具事業(25.3期の売上高構成比:47%)
玩具市場の中間流通で業界最大手。市場シェアは30%を占めます(『2024年3月期 統合報告書』より)。世界的人気の「ポケモンカードゲーム」、人気上昇中の「ONE PIECE カードゲーム」などのトレーディングカード、コンビニエンスストア向けの「一番くじ」などを取り扱っています。複数企業のIP商品を取り扱っているため、特定のIPがヒットした際には、収益への寄与が期待できるビジネスモデルです。
▸映像音楽事業(同:18%)
映像音楽市場の中間流通で業界最大手。市場シェアは約27%を占めます(『2024年3月期 統合報告書』より)。Snow Manなどアーティストの音楽配信や、アニメ、映画などの販売を行っています。
▸ビデオゲーム事業(同:21%)
『Nintendo Switch』や『PlayStation』など、家庭用ゲーム機やソフトを取り扱っており、受発注や需要予測の機能を強化した、独自の売場提案が評価されているとしています(『2024年3月期 統合報告書』より)。
▸アミューズメント事業(同:14%)
カプセルトイ専門店「gashacoco(ガシャココ)」を全国137店舗運営(FC23店舗含む、25.3期末時点)。国内のカプセルトイ市場の約60%のシェアを有しています(同社調べ)。2024年10月には、米国でカプセルトイ専門店の運営を開始。28.3期までに米国で60店舗出店する計画です。
一般社団法人日本カプセルトイ協会の市場動向調査によると、製造元出荷ベースでの市場規模は、2022:約720億円→2023年:約1,150億円→2024年:約1,410億円と拡大傾向です。2025年は、都心部は飽和状態となりつつあるが、地方を中心に拡大が続くと見通しを示しています。
■トレカやカプセル玩具が牽引し、過去最高業績を更新
直近業績である25.3期は、売上高3,644億円(前期比4%増)、経常利益119億円(同33%増)と増収増益を達成。
トレーディングカードやカプセル玩具が業績の牽引役となりました。トレーディングカード市場は、2024年度は3,024億円(前年度109%)と過去最高を更新するなど好調が続いています。
今期(26.3期)会社計画も売上高3,900億円(同7%増)、経常利益120億円(同0.3%増)と過去最高を連続で更新する見通しです。対し、市場予想では、今期予想売上高は4,070億円(会社予想比+4%)、経常利益140億円(同+17%)と乖離が大きく、今後の会社計画に上振れ期待が募っています。
堅調な業績推移を背景に、株価も右肩上がりに推移しています。トランプ関税の影響が懸念される中、その影響を受けにくいIP関連銘柄として注目されている面もあります。
配当政策の目標は、連結配当性向40%。直近5期実績は40%超~42%近辺で推移しており、ほぼ目標数値に準ずる格好です。安定的な配当額として1株当たり年間50円を維持するとしています。そのため、今期(26.3期)の会社計画の年間配当は1株当たり50円ですが、市場予想1株利益に基づき計算すると、1株当たり159円、予想配当利回りは2.7%です(7/31終値で計算)。
■島津製作所 (7701)~計測と分析のパイオニア。会社予想は保守的過ぎ?
★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■科学の未来を切り開く、計測と分析のパイオニア
「計測・分析」をコア技術とし、以下の4分野に展開しています。
◎計測機器(25.3期売上構成比65%)
液体クロマトグラフで強い競争力を有しています。液体中の成分を分離・分析する計測器で、食の安全や医薬品開発、有害物質分析等に貢献しています。消耗品の販売や、製品の保守・点検サービス等のリカーリング売上高比率が上昇傾向です。
◎医用機器(同14%)
血管造影システムは、カテーテル検査・治療で使用され、世界的な競争力を有しています。その他、頭部・乳房用PET装置等を提供しています。
◎産業機器(同13%)
半導体製造用ターボ分子ポンプ、機器の軽量化・高圧化に貢献する油圧機器等を提供しています。
◎航空機器(7%)
防衛、民間向けにフライトコントロールシステムや、コックピットディスプレイシステム等を提供しています。
地域別売上高(25.3期)は日本43.5%、米州14.6%、欧州9.2%、中国16.9%、その他のアジアが12.0%で、海外売上高が5割を超えるグローバル企業です。
■「ノーベル賞」を実現した技術力
同社の計測・精密技術はまさにノーベル賞級です。2002年には同社所属の田中耕一氏が「タンパク質など生体高分子を壊さずにイオン化し、質量を測定する技術(SLDI法)」でノーベル化学賞を受賞し、同社の名を世界に広めました。
現在「ノーベル賞級」との評価されているのは、本年春に受注生産による販売が開始されたイーサクロックです。東京大学の香取教授と同社による共同開発です。「100億年に1秒の誤差」しか生じない正確さが大きな武器です。時間のずれからわずかな高低差を計測できるため、将来は地震の予知につながる可能性があるようです。
■会社予想は保守的過ぎ?
25.3期は売上高5,390億円(前期比5%増)、経常利益720億円(同7%減)でした。全分野で増収となりましたが、成長投資・人材投資を積極化させたことで減益につながりました。
26.3期は売上高5,150億円(前期比4.5%減)、営業利益・経常利益ともに580億円(同20%減)が会社計画です。「トランプ関税」について、90日間10%相互関税の後、日本24%、中国145%の相互関税がかかる「ワーストケース」を前提に売上高250億円、営業利益180億円の下押し圧力を織り込んでいます。
さらに、26.3期前提為替レートはドル・円相場で1ドル140円(25.3期平均レートは152.63円)、ユーロ・円相場で1ユーロ155円(同163.78円)を見込んでおり、年間で70億円営業利益を下押す要因と織り込まれています。
しかし、期初に会社側が想定した条件は厳しすぎた可能性もありそうです。日米関税交渉の合意により、トランプ関税の「ワーストケース」は回避された可能性が大きそうです。2025.4-6期の平均為替レートはドル・円相場で1ドル144円、ユーロ・円相場で1ユーロ163円と計算され、会社想定よりも円安で推移していることも追い風です。
なお会社側は、継続的な商品提供・サービスから得られる経常収益(リカーリング売上高)の比率について、将来的には、計測事業を中心に50%程度まで高めたい方針(株主総会での質問に対する回答)です。計測事業での同比率は25.3期38%となっています。会社計画通り、この比率が上昇すれば、収益の一層の安定化が期待できそうです。
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