中小型の高配当期待株8選

中小型の高配当期待株8選

投資情報部 栗本奈緒実 鈴木英之

2025/09/10

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中小型の高配当期待株8選

東京株式市場では、日経平均株価が9/9(火)の取引時間中に4万4,000円台を付け、史上最高値を更新しました。

9/7(日)に石破首相が辞意を表明し、新政権による政策への期待感が相場を押し上げています。他にも①日米関税交渉で自動車などへの関税引き下げを含めた大統領令にトランプ大統領が署名したことや、②米労働指標が弱含みとなり、FRBによる9月利下げ観測が市場でほぼ確実視されたことなど、好材料が相次ぎました。

足元の東京株式市場は全体的に堅調に推移しています。9/8(月)までの直近1カ月のパフォーマンスを確認すると、東証プライム市場指数の+3.79%に対し、東証スタンダード市場指数が+3.94%、東証グロース市場指数が+0.24%と、中小型のグロース株は米金利の上昇が重しとなったもようです。東証スタンダード市場指数が相対的に良好だった要因として、割安株への見直し買いのほか、自社株買いや増配などの株主還元強化が挙げられます。

日本企業の株主還元姿勢は一段と強まっています。自社株買いや増配の発表が相次ぎ、8月の自社株買い決定企業数は120社と過去5年平均の106社を上回りました。また、業績見通しが慎重な企業であっても増配を実施するケースが目立ち、株主還元強化が2025年の大きな特徴となっています。

そして、9月は3月決算企業の中間期に当たるため、多くの銘柄について配当や株主優待の権利が確定する月となります。配当や株主優待を重視する中長期スタンスの投資家にとっては重要な月です。

今回の「新興株ウィークリー」では、9月に配当の権利確定予定の銘柄を抽出するため、以下のスクリーニングを行ってみました。

・東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場

・9月に配当の権利が確定予定

・時価総額が100億円以上

・業種は証券・商品先物を除く

・売買高移動平均(25日)が2万株以上

・直近の各利益項目が、いずれも赤字がない

・今期会社予想売上高が前期比5%以上の増収

・3期平均のフリーキャッシュフローがプラス

・取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

・会社予想配当金に基づく予想配当利回りが3.21%以上(9/5時点のデータ・終値で計算)

紹介銘柄は上記の条件をすべて満たしています。また、紹介銘柄は東証スタンダード市場指数の予想配当利回り(加重平均)2.21%を1%pt上回っているので、「高配当期待銘柄」と表現することは妥当であると考えられます。掲載は、予想配当利回りの大きい順です。

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【参考】 9/2(火)~9/9(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

【銘柄一覧】 中小型の高配当期待株8選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
【9/5・円】
9月獲得予定の
配当金(円)
年間予想
配当利回り(%)
4783 4783 4783 4783 NCD 2,680 60.0 4.48%
7775 7775 7775 7775 大研医器 462 9.0 4.33%
3023 3023 3023 3023 ラサ商事 1,702 36.0 4.23%
296A 296A 296A 296A 令和アカウンティング・ホールディングス 659 12.0 3.87%
3640 3640 3640 3640 電算 2,652 17.0 3.77%
7823 7823 7823 7823 アートネイチャー 813 14.0 3.44%
6877 6877 6877 6877 OBARA GROUP 4,370 90.0 3.43%
1948 1948 1948 1948 弘電社 2,528 42.0 3.32%
  • ※会社発表データ、Quick Workstation Astra Managerデータ等をもとにSBI証券が作成
  • ※OBARA GROUP(6877)のみ9月決算で、他は3月決算

一部掲載銘柄を詳細に解説!

NCD4783

システム開発が中心です。売上構成比(25.3期)は、システム開発事業が42%、サポート&サービス事業が31%、パーキングシステム事業が26%となっています。

メットライフ生命、日本生命グループ、東京海上グループなど保険会社を中心に、大手企業と長期的に安定した関係を構築していることが強みです。ストック売上高比率は約8割、プライム比率(一次請け比率)も8割で、安定した収益の維持が期待できる構造です。また、パーキングシステム事業では、国内最大級の駐輪場管理システムを展開しています。

26.3期は売上高320億円(前期比6%増)、営業利益30億円(同6%増)が会社計画です。さらに、連結配当性向は、これまでの「30%以上」から26.3期以降は「50%以上」に引き上げる方針です。26.3期は中間期60円、期末60円、年間120円の1株配当を計画しており、予想配当利回り(9/9時点)は4.41%と計算されています。ただ、1Qは売上高72億円(前年同期比3%増)、営業利益3.7億円(同25%減)と増収減益でした。主力のシステム開発事業で、大型案件の終了や一部顧客からの撤退が影響しているようです。

■ラサ商事(3023

資源や金属素材、産機・建機等を産業界に供給する専門商社です。産機・建機関連が売上高の39%、営業利益の60%を占める稼ぎ頭です。その他、資源・金属素材関連(売上構成比21%)、環境・設備関連(同7%)、化成品関連(同23%)、プラント・設備工事関連(同9%)、不動産賃貸関連(同1%)に展開しています(25.3期)。資源・金属素材関連のジルコサンド(耐火性高く、熱膨張が小さい天然の砂)、産機・建機関連のスラリーポンプ(固体粒子が混ざった流体を移送するポンプ)等、ニッチな分野で高シェア商品を有しています。

26.3期は売上高280億円(前期比5%増)、営業利益25億円(同2%減)が会社計画です。産機・建機関連が堅調に推移する見込みです。1Q(25.4~6期)は売上高57億円(前年同期比2%増)、営業利益2.9億円(同36%増)と順調です。産機・建機関連で部品・整備関連が好調に推移しました。

株主還元については、配当性向40%前後を維持しつつ、機動的な自己株式取得を行い「総還元性向50%以上」を目指す方針です。26.3期は中間期36円、期末36円、年間72円の1株配当を計画しており、予想配当利回り(9/9時点)は4.25%と計算されています。

■令和アカウンティング・ホールディングス(296A

2024年12月に新規上場。大手企業等の経理分野を対象にコンサルティング事業を行っています。売上構成比(25.3期)は、コンサルティングLongが83.9%、コンサルティングShortが15.5%で、グループ売上高の99.4%がコンサルティングとなっています。取引先のほとんどすべてが大企業(中小企業法で定義された中小企業以外の企業)です。また、REIT(不動産投資法人)の44%(2025年4月末時点)に関与しているのも特徴です。新たな会計処理の対応相談や、会計処理の影響を検討するための情報提供、クライアントに適した会計処理の判断、資料作成の指導、資料作成等、専門性の高い分野が中心です。

26.3期は売上高56億円(前期比12%増)、経常利益16.2億円(同10%増)が会社計画です。経理分野を顧客としている企業らしく、1Q(25.4~6月期)の決算発表は7/22とスピーディーで、売上高12.9億円(前年同期比6%増)、経常利益3.6億円(同5%増)と増収増益(会社資料、営業利益の比較はなし)でした。経常利益の通期計画に対する進捗率は22%で、前年同期の23%から若干低下しました。

配当政策としては、「単体純利益に対する配当性向80%」を基本に、毎期1%から10%の範囲で上乗せする方針です。26.3期は上期11.5円、期末13.5円、年間25円が当初計画でしたが、7/22付で上期を12円に、年間を25.5円に増額修正しました。予想配当利回り(9/9時点)は3.75%と計算されています。

■アートネイチャー (7823

総合毛髪関連事業を手掛ける業界唯一の上場企業です。オーダーメイドウィッグや増毛商品等の販売の他、アフターケアサービスも展開しています。


コロナ禍後の消費志向の変化で、オーダーメイドウィッグの新規販売に苦戦。原材料や人件費などのコスト増も重なり、24.3期と25.3期は連続で各利益項目が減益となりました。今期(26.3期)は、女性向け事業等での販売増を見込み、会社計画では売上高476億円(前期比9%増)、営業利益27億円(同27%増)と業績が回復する見通しです。

配当方針は、連結配当性向40%以上を基本としていますが、ROE10%超を達成するまでは、連結配当性向50%以上が基本となります。1株当たりの配当金は、28円を下限としています。また、2025年7月に株主優待制度の新設を発表。700株以上保有の株主に対し、保有株式数に応じてヘアケア商品や、家電、食品など5,000種類以上の商品と交換可能なポイントが付与されます。

OBARA GROUP (6877

自動車や建設業界の接合機器を取り扱う「抵抗溶接機器関連(24.9期:売上高構成比59%)」と、半導体や精密機器の部品を磨き、表面をなめらかに整える装置を取り扱う「平面研磨装置関連(同41%)」の2事業を中心に展開しています。

次回の決算発表は、今期(25.9)の通期決算に該当し、26.9期の業績見通しで収益性回復を示せるかに注目が集まります。25年4月に年初来安値を付けて以降、両事業で需要が復調したことによる3Q(4-6月期)単体での業績回復や、自社株買いの実施等もあり、株価も回復。9/9(火)時点では年初来高値水準です。

配当方針では具体的な数値目標は掲げられておらず、継続的かつ安定的に実施してゆくとし、今期(25.9期)は3期連続となる1株当たり配当金150円が維持される予定です。



■弘電社 (1948

三菱電機グループの傘下で、「電気を利用可能にするための工事」を行う企業です。電気設備工事事業(25.3期:売上高構成比73%)と、電気機器販売事業(同28%)を展開。高水準な業績に季節的変動がある点が特徴です。4Q(1-3月期)に工事の完成引渡しを行う割合が大きいことが要因と会社側は説明しています。

直近業績は、高水準の設備投資需要を背景に、堅調に推移。28.3期を最終年度とする中計目標を、前期(25.3期)に営業利益、純利益、ROEを前倒しで達成しました。また、2025年内に、目標数値の見直しを行う旨を会社側は述べています。今期(26.3期)は、特殊要因の反動で純利益は前期比減益計画ですが、営業・経常利益はほぼ前年度水準が維持される見通しです。

配当政策では、明確な目標数値は掲げていません。しかし、株主に対する利益還元を重要な経営方針として位置付けており、今期は1株当たり84円(年間)の配当が維持される予定です。

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