石破首相退陣!日経平均株価の今後は?

投資情報部 鈴木英之 植田雄也
2025/09/09
日経平均株価は上昇基調
9月第1週(9/1~9/5)末の日経平均株価は、前週末比300円28銭(0.7%) 高と週足ベースで続伸。9/1(月)には、米中AI(人工知能)半導体の競争激化への懸念から、アドテスト(6857)を筆頭に半導体関連株が下落。日経平均は一時900円近く下げましたが、節目の4万2,000円を割る場面では医薬品のほか、食料品、電鉄などの内需株を中心に買いが入りました。週後半には値がさ株のAI関連や半導体関連、自動車等の輸出関連株の上昇が下支えとなり、日経平均は4万3,000円を超えました。第1週目は重要な米雇用統計を控える週でしたが、各種経済指標の軟化を背景に利下げ期待の強まりも相まって株価指数は上昇となりました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(8/29~9/5、図表7)には医薬品が入りました。エーザイ(4523)は米バイオジェンとアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の皮下注射製剤「レケンビ・アイクリック」が米食品医薬品局(FDA)から承認されたと発表し、買いが入りました。同じく住友ファーマー(4506)も上昇しました。マツダ(7261)は9/5(金)に年初来最高値を更新。トランプ米大統領が日本との合意に基づき自動車などへの25%の追加関税を従来の税率とあわせて15%に引き下げることなどを盛り込んだ大統領令に署名し、日本から輸入する自動車への関税率が15%に下がることが好感されました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(8/29~9/5、図表8)には半導体関連株や機械等の輸出関連株が多く入りました。これらの銘柄には底堅い米国経済と旺盛なAI関連投資を背景に資金流入が見られていました。米テック株の上昇を受けて、一時的に上昇する場面もありましたが、週末に控えた雇用統計における景気減速懸念を背景に売られる展開が続きました。また、ニデック(6594)は、9/3(水)に不適切な会計処理の事案が発見された可能性があるとのことで急落しました。
9月第2週のスタートとなる9/8(月)の日経平均株価終値は大幅高でスタート。9/7(日)の石破茂首相の辞意表明を受けて、次期政権による経済政策を見越した買いが優勢となりました。
今週は9/11(木)に米CPI(消費者物価指数)の発表が予定されています。引き続き高いインフレ率が想定される中、金利先物市場は9/9(火)時点で9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での0.5%ポイント利下げの確率を10.6%、0.25%利下げの確率を89.4%と織り込んでいます。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(8/29~9/5)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(8/29~9/5)

石破首相退陣!日経平均株価の今後は?
9/8(月)の東京株式市場では日経平均株価が3営業日続伸となり、午前中の取引時間に、8/18(月)に付けた過去最高値43,714円(終値ベース)を一時上回りました。一方、TOPIXは過去最高値を終値ベースで更新しました。続く9/9(火)の東京株式市場も買い先行の展開となり、日経平均株価は午前の取引時間中に、史上初めて44,000円台に乗せてきました。
9/7(日)に石破首相が内閣総理大臣・自民党総裁からの辞任を表明したことが要因とみられます。石破首相は市場では、財政規律派として認識されており、同氏の辞任や野党との協調進展観測から、積極財政路線が強まるとの思惑が強まっています。
市場の関心は当面「次の自民党総裁・内閣総理大臣」は誰になるのかという点に集まってくるとみられます。現時点では、2024年9月に実施された自民党総裁選挙に立候補した候補者の多くが再び、次期総裁選挙に臨んでくると予想されます。
ご参考までに前回総裁選挙の立候補者(石破首相を除く)は、高市早苗、小林鷹之、林芳正、、小泉進次郎、上川陽子、加藤勝信、河野太郎、茂木敏充の各氏となっています。
市場では、高市氏、小泉氏を有力視しているようです。うち、高市氏については金融緩和、積極財政、防衛強化等が政策の特徴で、小泉氏は構造改革、規制緩和重視とみられます。東京株式市場では、防衛関連株や日経平均への寄与度が大きい値がさ株の上昇が目立ち、金融緩和への回帰を警戒して銀行株が軟調に推移しており、ゆるやかな「高市トレード」が垣間見られる現状です。
今後はどうなるでしょうか。9/8(月)時点で、日経平均株価の予想PERは17.96倍、PBRは1.59倍まで上昇。日経平均株価が44,000円台で推移する場面で予想PERは18倍を超えてくるとみられます。過去10年の日経平均株価の推移(コロナ禍の特殊な時期とみられる2020年~21年を除く)をみると、PER18倍台以上で推移した例はありません。また、現在のPBRは過去10年で最高値圏です。
当面は強弱感が対立し、株価が乱高下する展開に注意が必要かもしれません。
図表9 日経平均株価のPBRは過去10年間、1.6倍未満で推移

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