《「日本株投資戦略」特選》20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」

《「日本株投資戦略」特選》20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」

投資情報部 鈴木 英之

2023/02/24

《「日本株投資戦略」特選》20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」

東京株式市場はやや不安定な展開となっています。米国でインフレ・金利上昇圧力が再燃したことを背景に、米10年国債利回りが上昇し、米国株の上昇が一服したことが逆風になっています。

こうした中、物色的にはバリュー株が相対的に堅調な動きとなっています。(1)金利上昇局面では、グロース株よりもバリュー株の方が選好されやすいこと、(2)東証が低PBR(株価純資産倍率)銘柄の多さを問題視しており、PBR1倍割れ銘柄に対策を促していること、(3)3月末を控え、配当取りの動きが増えていること等が背景です。

投資家は当面、どう対処すべきでしょうか。外部環境が不透明な折だからこそ、堅実に配当や株主優待の権利を確保し、パフォーマンスの向上を図りたいところです。そこで今回の「日本株投資戦略」では、3月株主優待銘柄についてチェックを行ってみました。3月末に株主優待の権利が確定する会社数は800社(SBI証券株主優待検索ページ参照)あり、月別では最多となっています。株主優待に強く関心をもつ投資家であれば、3月は非常に重要な月と考えられます。今回は20万円未満で株主優待の権利を確保できる銘柄に絞ってみました。

なお、「3月に権利が確定する株主優待銘柄」のほとんどが3/29(水)を権利付最終日としています。この場合、3/30(木)の権利落ち日以降に買い付けができても、配当および株主優待の権利を確保することはできませんので、ご注意ください。

権利付最終日に株主優待実施銘柄を買い、権利落ち日に売ることで、効率良く株主優待の権利獲得を考える投資家の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここで注意すべき点は、買い付ける時の株価が予想外に高くなったり、売る時の株価が予想外に安くなったりなど、相当額の売却損がでてしまうケースです。配当取りも同様で、権利落ち日には配当実施分だけ株価が下がることが多くなっています。ノーコスト・ノーリスクで株主優待や配当を享受することは難しいでしょう。

それでも、コストやリスクを軽減して、株主優待の権利を確保する方法はあります。

ひとつは、複数銘柄に投資をし、リスク分散を図る方法です。今回は20万円未満で株主優待の権利を確保できる銘柄に絞ってみましたので、分散投資が比較的容易となっています。たとえば、投資資金が100万円の場合、5銘柄以上への分散投資も可能になります。
もうひとつは「つなぎ売り」を活用した取引です。「つなぎ売り」で株主優待をお得に活用する方法については、SBI証券のWebページでご紹介していますので、ご参考ください。ただ、「つなぎ売り」をした場合、信用取引の「売り」により、配当調整金を支払う必要が出て、実質的に配当を受け取れなくなるなど、重要な注意点*(下記脚注の詳細参照)もあります。メリットとデメリットを十分理解した上でのご利用をお願い申し上げます。

今回、「3月株主優待銘柄」として、ご紹介したい銘柄は、以下の条件により抽出された銘柄です。
(1)東証上場銘柄。
(2)3月に株主優待の権利確定を予定する銘柄で、権利付最終日が3/29(水)。
(3)2/21(火)までの20営業日で、1営業日当たりの平均出来高が2万株超
(4)株主優待の権利確保に必要な最短保有期間の条件がない。
(5)3月決算企業の場合、第3四半期累計の営業損益が黒字。9月決算の場合、第1四半期の営業損益が黒字。
(6)株主優待の権利確定に必要な売買代金(諸コストを除く)が20万円未満。
(7)信用取引規制が実施されていない(2023/2/22時点)
(8)SBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い上位100銘柄以内(2/22時点)
(9)株主優待がクオカード、またはJCBカードの場合は、1,000円相当以上

下の図表の銘柄は、(1)~(9)のすべての条件を満たす銘柄を、SBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い順に20銘柄を並べたものです。

*重要な注意点 ~つなぎ売りを利用した場合の「配当金(現物と信用)受け払いの差額」~

※権利付き最終日の大引け時点でつなぎ売りをしている場合、現物については税金が差し引かれた配当金(配当金の約80%)を受取り、一般信用売り建玉については配当落ち調整(配当金の100%)金をお支払いいただきます。したがいまして、配当金の約20%の差額をお客さまにご負担いただくことになります。
※現物株式の配当金は、源泉税(20.315%)が差し引かれた金額で支払われます。
※一般信用売り取引の場合は、配当落ち調整金として配当金の100%をお支払いいただきます。
※権利付き最終売買日と権利落ち日をまたいで信用売建玉がある場合、権利落ち日に予想配当金相当額(予定配当調整金)をあらかじめ委託保証金現金から拘束させていただき、配当金が確定後に拘束金から支払いを行います。信用売建玉に対する支払予定配当金相当額合計(予定配当調整金合計)は、「口座管理」>「信用建余力」>「建余力・追加保証金」の「増担保・配当調整金」に表示させていただいております。

図表 《「日本株投資戦略」特選》20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」

 取引  チャート  ポートフォリオ コード 銘柄名 株価(2/22) 3月予想配当 優待獲得最低株数での優待内容
2001 2001 2001 2001 ニップン 1,595 19.0 (全株主)自社商品優待価格販売、他
1384 1384 1384 1384 ホクリョウ 867 20.0 たまごギフト券(100円)×5枚
2531 2531 2531 2531 宝ホールディングス 1,048 34.0 自社グループ商品詰合せ等1,000円相当
3167 3167 3167 3167 TOKAIホールディングス 860 16.0 天然水(500ml入り)×12本、他から選択
1780 1780 1780 1780 ヤマウラ 1,063 2.5 地場商品3,000円相当
2908 2908 2908 2908 フジッコ 1,852 23.0 自社製品(煮豆・佃煮・惣菜等)1,000円相当
9831 9831 9831 9831 ヤマダホールディングス 480 ※17.56 優待割引券(500円)×1枚
2730 2730 2730 2730 エディオン 1,308 22.0 自社ギフトカード3,000円相当
9997 9997 9997 9997 ベルーナ 678 10.0 通信販売優待券1,000相当他から選択
1762 1762 1762 1762 高松コンストラクショングループ 1,999 40.0 新潟県南魚沼産コシヒカリ新米5kg
2309 2309 2309 2309 シミックホールディングス(9) 1,745 5.0 地域特産品3,000円相当
9995 9995 9995 9995 グローセル 412 12.0 クオカード1,000円相当
1976 1976 1976 1976 明星工業 791 16.0 (200株以上)JCBギフトカード1,000円相当
1808 1808 1808 1808 長谷工コーポレーション 1,548 40.0 自社グループサービス利用券
2915 2915 2915 2915 ケンコーマヨネーズ 1,296 9.0 自社製品(マヨネーズ他)1,000円相当
7483 7483 7483 7483 ドウシシャ 1,825 30.0 オリジナルギフトセット2,000円相当
9980 9980 9980 9980 MRKホールディングス 115 1.0 自社グループ特別割引券(5,000円相当)
4680 4680 4680 4680 ラウンドワン 486 4.0 割引券(500円)×2枚等
7201 7201 7201 7201 日産自動車 520 5.0 新車購入時特典(5,000円相当カタログギフト)
9900 9900 9900 9900 サガミホールディングス 1,271 5.0 飲食割引券(20%割引)×2枚
  • ※会社公表データ、SBI証券株主優待検索ページを参考にSBI証券が作成。
  • ※銘柄名右横が(9)と記載された銘柄は9月末が決算期末の銘柄であり、「3月配当」は中間予想配当を意味しています。
  • ※銘柄名右横が無印の銘柄は3月末が決算期末の銘柄であり、「3月配当」は期末予想配当を意味しています。
  • ※「優待獲得最低株数での優待内容」は、優待獲得最低株数を保有時の株主優待の内容についてその概要を示しており、すべてを示していないこともありますので、ご注意ください。また、保有株数により、株主優待の内容が異なることもありますので、ご注意ください。
  • ※割引券や優待券等の使用に際しては、各社が定めた詳細な条件がある場合も多いのでご注意ください。
  • ※3月予想配当の欄は会社計画ベース。「-」の銘柄は無配予想、または未定の銘柄です。
  • ※ヤマダホールディングス(9831)の2023/3期末配当は「未定」ですが、ご参考数値として市場コンセンサス(Bloomberg)の17.56円を記載しています。
  • ※明星工業(1976)の株主優待内容は、3/29(水)時点で200株以上を保有している株主についての内容となっています。


以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

株主優待の一部をご紹介

■ニップン(2001)~国内2位の製粉会社。飲食店の回復が追い風

製粉で国内2位。製粉と加工食品が主力事業です。2023/3期・第3四半期(累計)は売上高2,746億円(前年同期比13.6%増)、営業利益95億円(同10.1%増)と増収・増益決算でした。原材料価格の上昇は逆風でしたが、飲食店の回復が追い風になり、上半期の微減益から回復しました。通期では、売上高3,550億円(前期比10.5%増)、営業利益101億円(同10.5%減)と増収・減益を見込んでいますが、第3四半期累計営業利益の通期会社予想営業利益に対する進捗率が94.7%に達しており、保守的と言えるかもしれません。

上期19円に続き、期末に19円・通期で38円の1株配当を予想しており、2/22(水)終値1,595円に対し、予想配当利回りは2.38%と計算されます。

全株主を対象に、自社グループ会社の指定商品(アマニ油・サプリメント等)の優待価格販売が予定されています。また、3/29(水)時点で100株以上を保有する株主に「ジュンコ・フローラ・スクール」無料体験・プレコース(小麦粘土でつくるパンの花レッスン)および入会金無料の優待も提供される予定です。さらに、3/29に500株以上保有で3,000円相当の自社商品詰合せ(パスタ等)が贈呈される予定です。

■ベルーナ(9997)~顧客データベースとポートフォリオ経営が強み

カタログ通信販売の大手企業です。通販事業で培ったデータベースやノウハウ、インフラなど経営資源を有効活用し、安定的な成長性、収益性、継続性を実現しています。
2022年3月末現在の登録会員数は2,200万人を数え、その80%以上がミセス層(40代以上の女性)となっています。我が国の65~69歳の女性人口の37.8%が同社登録会員(ベルーナ調べ)の計算。アパレル・雑貨事業(2022/3期売上構成比44.6%)、グルメ事業(同13.7%)、呉服関連事業(同10.9%)、プロパティ事業(7.9%)、化粧品健康食品事業(同7.3%増)、ナース関連事業(同7.3%増)、データベース活用事業(同6.9%)等、異なる事業に多角的に展開し、環境変化のリスクを分散しています。

2023/3期第3四半期累計の営業利益は1,604億円(前年同期比4.4%減)、営業利益は78億円(同22.9%減)です。通期では売上高2,150億円(前期比2.3%減)、営業利益は140億円(同1.2%増)の予想であり、達成へのハードルはやや高いかもしれません。今期は上期10円(実績)、下期(予想)10円、通期で1株20円が会社予想1株配当であり、2/22(水)終値678円に対する予想配当利回りは2.9%と計算されます。

3/29(水)現在同社株を保有する株主に贈呈される予定の優待内容は、保有株数により、以下のようになっています。
いずれも、(1)~(3)のうちから選択となります。

◎100株以上500株未満
(1)1,000円分の通信販売優待割引券
(2)1,000円分のネット専用優待クーポン
(3)1,000円相当の自社取扱の食品またはワインまたは日本酒

◎500株以上1,000株未満
(1)3,000円分の通信販売優待割引券
(2)3,000円分のネット専用優待クーポン
(3)3,000円相当の自社取扱の食品またはワインまたは日本酒

◎1,000株以上
(1)5,000円分の通信販売優待割引券
(2)5,000円分のネット専用優待クーポン
(3)5,000円相当の自社取扱の食品またはワインまたは日本酒

■長谷工コーポレーション(1808)~優待でリフォーム代金、不動産売買仲介手数料等が割引に

マンション建設日本一を誇ります。施工累計実績は、69万戸超。首都圏と近畿圏を中心に事業を展開(22.11末時点、同社HPより)。首都圏の新築分譲マンションでは、シェアが3割以上を誇ります。2023/3期・第3四半期(累計)は売上高7,065億円(前年同期比12.9%増)、営業利益565億円(同7.9%減)。通期では、売上高9,600億円(前期比5.5%増)、営業利益870億円(同5.2%増)と増収・増益を見込ます。

上期末40円+期末40円=通期80円の配当を計画し、2/22(水)終値1,548円に対する年間予想配当利回りは5.16%と計算され、東証プライム市場の予想配当利回り(2.38%)を大きく上回っています。

3/29(水)時点で100株以上保有する株主は、(1)自社子会社室内リフォーム代金(税抜)3%割引、(2)自社子会社不動産売買仲介手数料(税抜)10%割引、(3)自社子会社高齢者住宅・老人ホーム入居一時金3%割引、(4)自社子会社販売商品(滋賀県上田上産コシヒカリ、同コシヒカリ・レトルトカレーセット)20%割引販売、を各1回利用可能となっています。ここで(1)は100万円以上の工事に利用可能です。リフォームや不動産売買等は金額が大きいだけに、計画のある投資家にとっては、利用価値の大きい株主優待と言えそうです。

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