決算発表が佳境!大幅増益期待の銘柄を探る

決算発表が佳境!大幅増益期待の銘柄を探る

投資情報部 鈴木 英之 栗本 奈緒実

2023/04/28

決算発表が佳境!大幅増益期待の銘柄を探る

4/28(金)は、4月相場の名実ともに最終日でした。日経平均株価は3月末の28,041円から、米景気に対する不透明感を背景に、4/6(木)には27,427円まで下げる場面もありました。しかし、4/7(金)~4/18(火)に8営業日続伸するなど、その後は持ち直す展開となりました。4/11(火)に米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が日経新聞とのインタビューで日本株を買い増す可能性を示唆したこと、東証がPBR1倍割れ企業に「解散価値」から脱出する対策を求めていること、インバウンド需要回復の動きが顕著になってきたこと等が追い風になりました。

そうした中、4月下旬以降、国内上場企業の決算発表が本格化してきました。5月中旬まで、3月決算企業を中心に多くの上場企業が決算実績と業績見通し(修正を含む)を発表する予定です。4/28(金)は200社超の企業(主力級企業が多数)が発表を予定する最初のヤマ場となっています。大型連休の谷間となる5/1(月)・5/2(火)こそ少なめの発表ですが、5/9(火)~5/15(月)の1週間は連日3ケタの数の上場企業が発表を予定しています。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、ここまでに決算発表を終えた企業のうち、会社予想営業増益率が大きい銘柄をご紹介するとともに、5月に決算発表を予定している企業の中で、市場が大幅増益を期待している銘柄を抽出し、ご紹介することとしました。

図1の銘柄は、以下の条件を満たしています。

(1)東証プライム市場に上場
(2)時価総額1000億円超(4/26時点)
(3)3月決算企業
(4)銀行、保険、証券商品先物業を除く
(5)4/26(水)までに決算発表を終了
(6)23.3期4Q(23.1~3期)の営業損益が黒字
(7)24.3期会社予想営業利益が5%超の営業増益

図2の銘柄は、以下の条件を満たしています。

(A)上記(1)~(4)の条件を満たす
(B)決算発表予定日が5/8(月)~5/15(月)
(C)23.3期3Q(22.10~12期)の営業利益が前年同期比20%超の増益、または黒字転換
(D)23.3期3Q累計(22.4~12期)の営業利益が前年同期比20%超の増益、または黒字転換
(E)予想EPSを公表しているアナリストが3名以上
(F)市場予想EPSが過去4週間で上昇
(G)24.3期の市場予想営業利益が前期(23.3期)比10%超の増益

掲載の順番は、いずれも決算発表(予定)日順(同じ場合はコード順)となっています。

なお、企業サイドから期初に発表される業績予想は、景気実態以上に保守的になる傾向があります。特に24.3期はグローバル景気に不透明感が強まっていることや物価の高止まり等を背景に、「期初は慎重な予想を出しておこう」というバイアスが働きやすいとみられます。このため、24.3期の会社予想業績が市場予想よりも保守的になるケースが増えると警戒されますので、決算発表日をまたいでの保有には、細心の注意が必要であると考えられます。

■図表1 決算発表が4/26(水)までに終了し、今期営業増益を予想している銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名(決算発表日) 株価(4/27) 24.3期会社予想営業増益率 業績をみる上でのポイント
4733 4733 4733 4733 オービックビジネスコンサルタント(4/25) 5,150 8.4% 22.11発売の「奉行V ERPクラウド」により、対象マーケットを網羅する製品が揃う
6436 6436 6436 6436 アマノ(4/26) 2,694 12.1% 企業のDX等への取り組みが情報システムにプラス。海外でのパーキングシステム伸長。自社株買いも発表
7276 7276 7276 7276 小糸製作所(4/26) 2,592 37.7% 世界自動車販売が半導体不足解消で回復へ。新規受注により全地域で2期連続過去最高売上へ
9022 9022 9022 9022 東海旅客鉄道(4/26) 16,650 14.8% 23.3期の営業利益は事前予想を955億円上振れ。24.3期の予想営業利益は19.3期の61%まで回復へ

  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。銘柄名右カッコ内は決算発表日

■図表2 決算発表が5月の予定で、市場が24.3期の大幅営業増益予想を期待する銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名(決算発表日) 株価(4/27) 3Q累計営業増益率 24.3期市場予想営業利益(億円) 前期比増減
7752 7752 7752 7752 リコー(5/8) 1,088 54.1% 915 12.9%
3099 3099 3099 3099 三越伊勢丹ホールディングス(5/9) 1,499 716.5% 347 23.6%
6908 6908 6908 6908 イリソ電子工業(5/9) 4,530 54.8% 84 18.9%
4507 4507 4507 4507 塩野義製薬(5/11) 6,058 142.4% 1,758 15.6%
9024 9024 9024 9024 西武ホールディングス(5/11) 1,512 黒字転換 396 124.1%
9045 9045 9045 9045 京阪ホールディングス(5/11) 3,685 97.4% 285 35.7%
6383 6383 6383 6383 ダイフク(5/12) 2,440 21.8% 636 11.1%
6472 6472 6472 6472 NTN(5/12) 330 289.1% 380 53.6%
7004 7004 7004 7004 日立造船(5/12) 823 124.4% 242 19.7%
9008 9008 9008 9008 京王電鉄(5/12)  4,980 353.0% 293 62.4%
2222 2222 2222 2222 寿スピリッツ(5/15) 10,100 696.8% 123 34.1%
4902 4902 4902 4902 コニカミノルタ(5/15) 555 黒字転換 355 121.1%
7780 7780 7780 7780 メニコン(5/15) 2,816 31.7% 134 10.5%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。市場予想はBloombergコンセンサス。
  • ※銘柄名右横カッコ内の数字は決算発表予定日。なお、決算発表予定日は予告なく変更されることがあります。
  • ※3Q累計営業増益率は、22.4~12期営業利益の前年同期比増減率。
  • ※前期比増減は、24/3期市場予想営業利益を、23/3期市場予想営業利益と比較した増減率。

大幅増益期待の銘柄を解説

以下、一部の掲載銘柄について、ポイントをご紹介します。

■イリソ電子(6908)~EV化・電動化が車載用コネクタに追い風、最高益に

★月足チャート(10年)

  • ※データは2023/4/28(月足)10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■おもに車載向けコネクタに展開

コネクタ(電気や信号を接続する電子部品)の製造・販売を行っています。同社製品の79.4%(23.3期3Q累計)が車載向け、12.0%(同)がコンシューマー関連機器(プリンター、複合機、ゲーム機、テレビ他)向け、残りがインダストリー(FA関連機器等)向けになっています。

プリント基板の接続用に開発されたBtoBコネクタは可動バネ部分をもたないものが多いですが、同社は多くの種類の可動BtoBコネクタを有していることが強みです。高い信頼性、耐熱性、耐振性等があり、EVやHV、PHVなどに使われています。

世界のほとんどすべての「ティア1」自動車部品メーカー(自動車メーカーに直接納入する一次サプライヤー)と取引し、世界中の自動車メーカーに、同社のコネクタが使用されています。

地域別売上構成比では、日本は19.2%にとどまり、中華・韓国圏が40.8%をはじめ海外比率が80.8%に達するグローバル企業です(23.3期3Q累計)。

■最高益視野も株価は高値から4割弱下落

2/3(金)に発表された23.3期3Q累計決算では、売上高395億円(前年同期比21.9%増)、営業利益52億円(同54.8%増)でした。中華・韓国圏で経済再開が進んだこと、パワートレイン分野(エンジンで発生した回転エネルギーを駆動輪に伝える装置の総称)の好調がプラス要因でした。

通期では売上高540億円(前期比23.1%増)、営業利益67.5億円(同49.3%増)、純利益55億円(同40.6%増)を会社側では予想しています。会社予想通りであれば純利益は過去最高益更新の見込みです。

市場では今期営業利益は70億円と会社予想を上回る業績予想となっており、最高益更新の可能性はありそうです。なお、来期の市場予想営業利益は84億円とさらに伸びそうです。

業績的に最高益更新が視野に入っているのにもかかわらず、株価は2018年高値7,480円から4割弱下げた水準にあります。当社製品はEV化、電動化で追い風を受ける可能性が大きく、株価は出遅れていると言えるかもしれません。

■ダイフク(6383)~世界一のマテハンメーカー。23.3期は過去最高売上・利益の更新見込む

★月足チャート(10年)

  • ※データは2023/4/28(月足)10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■世界一のマテハン総合メーカー

マテハン業界で、売上高世界第1位を誇る企業です(同社HPより)。

マテハンとは、マテリアルハンドリング(Material Handling)の略称です。製造業や物流業において、あらゆるモノの移動(保管、仕分け、運搬...etc)を効率的に管理することを指します。マテハン機器とは、マテハンを効率化させるための機器にあたります。最近では、コロナ禍でeコマース需要が拡大した際、物流事業を中心にマテハン機器の需要が急激に高まりました。

同社はマテハン機器の製造のみならず、導入のための企画、設計、アフターサービス等のシステムインテグレーターとしてのサービスも展開しています。

顧客業種は多岐に渡り、売上高構成比は商業及び小売業が30%、半導体を含むエレクトロニクスが29%、自動車及び自動車部品が12%、運輸・倉庫が6%他です(22.3期)。

海外売上高は65%で、そのうちアジアが32%、次いで北米が27%を占めます(同)。

■豊富な受注残は、24.3期から開花予定?

前述のコロナ禍によるeコマースの巣ごもり特需を受け、2020年の同社株価は一貫して右肩上がりでした。2021年に取引時間中最高値を4,500円をつけた後、現時点(23.4.27)はおよそ▲45%水準まで低下しています。

株安の背景には、2021年2月に発表された中計数値が弱かったことや、原材料不足の影響による採算悪化に伴い利益見通しを下方修正したことが嫌気されたことがあった模様です。

23.3期3Q決算発表時には業績見通しに関して、売上高の上方修正はありました。一方で、利益は原材料費高騰等の影響で据え置きとなっています。

ただ、未来の売上げの根幹となる受注残高は順調に推移していることが確認されており、24.3期以降の好業績が期待できます。リスク要因としては、利益を圧迫している原材料費や人件費等のコスト上昇が業績見通しに関してどれだけ重しとなってくるのかが、5/12(金)の本決算発表では注目されるでしょう。

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