NISA活用も!30万円未満で買える高配当・好業績10銘柄

NISA活用も!30万円未満で買える高配当・好業績10銘柄

投資情報部 鈴木 英之/栗本奈緒実

2023/08/25

NISA活用も!30万円未満で買える高配当・好業績10銘柄

日経平均株価が戻り局面となりました。8/1(火)取引時間中高値33,488円から8/18(金)には一時31,275円まで2,200円超の下げとなっていましたが、8/24(木)までに約1,000円値を戻した形になっています。米金利上昇の一服に加え、米半導体大手エヌビディアの決算が、AI(人工知能)向けの急拡大を背景に予想を上回り、日本でも多くの半導体関連株が上昇したことが影響しました。ただ、ジャクソンホール会議で、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長がタカ派的発言をするのではないかという警戒感から、8/25(金)の寄り付きは反落スタートとなりました。

こうした中、8月相場も残りわずかとなりました。来週(8/28-9/1)には9月相場がスタートします。9月には、多くの3月決算銘柄の中間配当の権利が確定する予定です。

最近は、日本でも長期金利へ上昇圧力が強まっていることが話題ですが、それでも年利0.6%台です。対して、東証プライム市場の予想配当利回りは平均で2.2%(8/23時点)となっています。中長期スタンスの投資家であれば、配当を着実に確保し、総合的な投資利回りの向上を図りたいところです。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、高配当利回り銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行なってみました。最低売買金額を30万円未満にしており、分散投資をしやすくしているうえ、業績面でも一定の配慮を加え、株価下落リスクの低減を図っています。

(1)東証プライム市場上場銘柄

(2)時価総額が500億円超

(3)3月決算銘柄。9/27(水)を権利付最終日として、中間配当の権利を確定

(4)株価が3,000円未満(8/24時点)

(5)年間予想配当利回り(会社予想ベース)が4%以上

(6)第1四半期(23.4-6期)の営業利益が黒字で、増益率(前年同期比)が通期(24.3期)会社予想営業増益率を超過

   ※営業利益の公表を行っていない銘柄の場合は純利益で上記の条件を満たしていること

(7)証券商品先物取引業は除く

(8)信用取引上の規制銘柄、注意喚起、日々公表銘柄に該当しない

図表の銘柄は、(1)~(8)のすべての条件を満たしており、(5)の年間予想配当利回りが高い順に並んでいます。なお、東証プライム市場の平均予想配当利回りは2.2%(8/23)であり、これを大きく上回る抽出銘柄は「高配当利回り」が予想されている銘柄とみなして良いでしょう。

なお予想配当利回りは、9月末の中間配当、来年3月末の期末配当をすべて受け取ったと仮定した場合の利回りになります。中間配当、または期末配当をいずれかを受け取っただけでは、達成されない利回りになります。

また、一般的に配当利回りは「税込み」での表記になっています。個人投資家の場合原則、配当金に対しては、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金が課されることになります。たとえば、下図の神戸製鋼所(5406)の場合、年間で得られる予定の配当は90円で、100株につき9,000円ですが、税金(1,828円=9,000円×20.315%)が源泉徴収され、残りの7,172円を受け取ることになります。

ただ、この配当課税を受けないで済む方法があります。それがNISA(少額投資非課税制度)の活用です。現行制度では年間120万円までの非課税投資枠を使って購入した金融商品について、NISA口座で保有している間(最大5年間)は配当や売却益が非課税になる仕組みです。上記の通り、神戸製鋼であれば年間1,828円の課税が予想されますが、仮に今後5年間の配当金額が変わらないと仮定した場合、5年分の計9,140円の配当課税を受けないで済むことになります。※

※NISAで上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録する必要がありますので、十分ご注意ください。

ちなみに、2024年からは「新NISA」に移行します。「新NISA」のポイントは以下の通りです。

(1)非課税保有期間の無期限化

(2)口座開設期間の恒久化

(3)つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能

(4)年間投資枠の拡大・・・つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計最大年間360万円までの投資が可能

(5)非課税保有限度額は全体で1,800万円(成長投資枠は1,200万円、枠の再利用が可能)

詳細は、SBI証券「NISA つみたてNISA」特設サイトをご覧ください。

また、現行のNISA・つみたてNISAと新NISAは非課税枠が別枠になります。現行のNISA・つみたてNISAで非課税枠を使用している場合でも、新NISAでの非課税枠がその分減ってしまうことはありません。

したがって、仮に2023年にNISA120万円の年間非課税枠を全額使った場合でも、2024年は上記の(4)と(5)で示された非課税枠が新たに使えることになります。それにより、2024年からNISA・つみたてNISAを始めるよりも、より大きな非課税枠を享受できるできることになります。しかも、2023年にNISAを始めれば、特別な手続きなしで新NISAに移行することができます。配当を享受して中長期的に投資利回りの向上を目指す投資家であれば、NISAの活用は御一考の価値ありと考えられます。

■図表 NISA活用も!30万円未満で買える高配当・好業績10銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
(8/24・円)
予想配当利回り 23.9末(2Q末)会社予想1株配当(円) 24.3末(期末)会社予想1株配当(円) 業績ポイント
5406 5406 5406 5406 神戸製鋼所 1,747 5.15% 45.0 45.0 1Qは鉄鋼メタルスプレッド(鉄鋼メーカーの基本的収益率)が大幅に改善し増益に。24.3期の業績予想上方修正とともに、配当性向目安を15~25%から30%に引き上げ
1720 1720 1720 1720 東急建設 754 4.77% 18.0 18.0 企業の設備投資の高まりが追い風。1Q営業利益は2億円で、前年同期の赤字5.2億円から黒字転換。今期受注高は3.1%増の予想。自己資本配当率(DOE)4.0%が目安
7278 7278 7278 7278 エクセディ 2,541 4.72% 60.0 60.0 アイシン(7259)の持分法適用会社で、変速装置等の駆動系部品の専業。海外比率高い。1Qは受注回復、値上げ、円安等を背景に大幅増益
8130 8130 8130 8130 サンゲツ 2,888 4.50% 65.0 65.0 インテリアを企画・開発し、製造は外部委託。値上げの効果で1Q営業利益は前年比44%増。今期は10期連続増配の予想。1株年間配当130円を下限に、安定的な増配を目指す方針
1808 1808 1808 1808 長谷工コーポレーション 1,777.5 4.50% 40.0 40.0 マンション施工に強みをもつ準大手ゼネコン。首都圏のマンション施工シェアは35%(2022年)。1Qは施工量増加で増益。配当は年80円を下限に。総還元性向(DOE)は40%が目安
7202 7202 7202 7202 いすゞ自動車 1,789.5 4.47% 40.0 40.0 1Q営業利益は前年比25%増。国内車両販売の回復や価格対応、車型構成の改善等が寄与。6月に「日経平均高配当株50」へ新規採用。配当性向の目安は40%
7313 7313 7313 7313 テイ・エス テック 1,712.5 4.26% 35.0 38.0 車のシート(座席)メーカー。ホンダ(7267)の関連会社。安定的な配当の継続が基本方針。総還元性向(DOE)の目標は3.5%超
8411 8411 8411 8411 みずほFG 2,333 4.07% 47.5 47.5 累進的な配当を基本方針に掲げる。配当性向の目安は40%。(純)利益が8期ぶり水準まで回復が会社予想。1Q時点で進捗率は40%超
7181 7181 7181 7181 かんぽ生命保険 2,312.5 4.06% 47.0 47.0 総還元性向(DOE)の目安は40~50%。自社株買いも19、21、22、23年と頻繁に実施。業績は軟調傾向だが、1Q(経)利益は通期計画の30%超
9513 9513 9513 9513 電源開発 2,248 4.00% 45.0 45.0 愛称:J-POWER。電力を各社に供給。配当性向の目安は30%。前期の石炭価格急騰の反動で、今期は減益予想だが配当金額は維持される見通し
  • ※Bloombergデータ、会社データ、各種報道等をもとにSBI証券が作成。
  • ※予想配当利回りは会社予想ベース

一部掲載銘柄を解説

■サンゲツ(8130)~壁紙で国内シェア50%。10期連続増配を予想

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/8/24(日足)15:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■インテリア内装材シェアトップ。利益率が大幅改善

床材、カーテン・椅子生地等のインテリア内装材でシェアトップを誇る企業です。壁紙の国内シェアは50%に上ります(同社HPより)。

主軸はインテリア事業(売上高構成比:80%)です。他には、フェンスや扉を扱うエクステリア事業(同4%)や海外事業(同12%)、空間のデザイン・提案・施工を行うスペースクリエーションセグメントを展開しています(23.3期)。

複数回にわたる値上げが奏功し、前期(23.3期)は売上高・各利益で全て過去最高を更新。営業利益率は11%で、22.3期以前の4~5%台から大幅改善となりました。



■10期連続で増配実施予定。配当狙いの長期投資が多い

今期(24.3期)は10期連続となる増配を実施する予定です。また、1株当たり年間配当金に130円の下限を設定。自社株買いも2014年から2022年まで毎年行われています。

個人投資家との交流も大事にする企業です。役員との歓談を交えての「株主さま向け会社説明会およびショールーム見学会」や、「中間報告書」において株主さま向けアンケート等を毎年実施。アンケートによると5年以上保有する株主が57%、取得理由は「配当」が28%と最多を占めました。高い株主還元意欲が好感されていることが窺い知れます。

■長谷工コーポレーション(1808)~マンション施工に強みの準大手ゼネコン

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/8/24(日足)15:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■首都圏でのマンション施工シェアは35.2%

1937年に創業し、1968年からマンションを手がけ始めた準大手ゼネコンです。マンション施工実績は2021年に累計68万戸となり、日本の分譲マンションストックの1割を占めるに至っています。

2022年に首都圏で供給されたマンションは29,569戸ですが、うち10,420戸が同社によるもので、シェアは35.2%に達しています。

こうしたマンションの企画、設計、施工までを行う「建設関連事業」が売上高の67%(24.3期1Q)を占めています。また、マンション分譲や賃貸等を行う「不動産関連事業」が11%、大規模修繕、インテリアリフォーム、賃貸管理、販売受託等を行う「サービス関連事業」が22%を占めています。

24.3期1Qは全セグメントで営業増益となり、全体では前年同期比で13%増の225億円の営業利益となりました。通期の営業利益は2.4%減の880億円を見込んでおり、1Qは順調なスタートを切ったといえそうです。



■総還元性向は40%が目安

22.3期以降、年間1株配当の下限は80円で、総還元性向(DOE)は40%を目安とする方針を掲げています。

24.3期は上期40円、下期40円、計80円の年間配当を計画しています。会社予想1株利益203.48円に対する配当性向は39.3%であり、ほぼ目安通りの予想配当金額です。逆に、業績見通しが上方修正されてくるようであれば、増配の余地が出てきますが、市場が予想する純利益は、会社予想よりやや高めとなっています。

株価は8/2に年初来高値1,866.5円を付けて以降、8/18安値1,726円まで下落しました。しかし、75日移動平均線が下値支持ラインとなり、現在は反発傾向となっています。好業績・高配当銘柄として再認識されれば、再度高値をうかがう可能性もありそうです。

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