アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~値ごろ感の出た銘柄から反発!?GM、NEE、JPM、KO、AXP~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~値ごろ感の出た銘柄から反発!?GM、NEE、JPM、KO、AXP~

投資情報部 榮 聡

2024/06/03

先週は国債入札の低調を受けた米10年国債利回りの上昇に加え、セールスフォースの不振決算がソフトウェア株全般に波及したこともあり、軟調な展開でした。今週の株価材料として、5月雇用統計、5月企業景況感、エヌビディアの株式分割(1株を10株に分割)、などが注目されます。

今回は過去1か月半に「アメリカNOW!今週の5銘柄」で取り上げた主要銘柄で、5/31(金)に1%以上の株価上昇となったものから、ゼネラル モーターズ(GM)ネクステラ エナジー(NEE)JPモルガン チェース(JPM)コカ-コーラ(KO)アメリカン エキスプレス(AXP)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

一目均衡表の「転換線」を割り込んで推移する一方、5/31(金)には25日移動平均線が意識されて反発したとみられます。一旦天井をつけて調整に向かうか、再び高値をとりにいくか、微妙なところに見えます。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率(「5日」は5/23(木)終値~5/31(金)終値によります。)

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
公益事業 2.6% 5.8% 18.0%
エネルギー 2.1% 0.2% 7.1%
不動産 1.8% 2.6% -4.1%
素材 1.0% 2.1% 4.0%
金融 0.7% 2.5% 3.4%
コミュニケーションサービス 0.7% 3.4% 8.2%
一般消費財・サービス 0.4% -2.1% -4.5%
生活必需品 0.3% 1.8% 4.5%
S&P500 0.2% 2.9% 2.7%
資本財・サービス -0.3% 0.4% 1.6%
情報技術 -0.3% 6.4% 4.1%
ヘルスケア -0.9% 1.9% -1.9%
騰落率上位(5日) 騰落率
ターゲット 8.1%
CVSヘルス 7.1%
チャーター・コミュニケーションズ 7.0%
ネクステラ・エナジー 6.2%
TモバイルUS 6.1%
騰落率下位(5日) 騰落率
セールスフォース -15.8%
アドビ -8.0%
アクセンチュア -7.7%
オラクル -5.6%
ブロードコム -4.6%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.0%、ダウ平均は0.5%、ナスダック指数は1.1%の下落となりました。

週初から米10年国債利回りが上昇、株式市場の割高感が意識されて株式市場は反落となりました。金融当局者から利下げを急がないとの発言が相次いだほか、5/28(火)、5/29(水)に実施された2年、5年、7年国債の入札が低調だったことが影響したと見られます。

一方、5/30(木)には1-3月期実質GDPの改定値が前期比年率+1.3%へ速報値の同+1.6%から下方修正されたことを受けて米10年国債利回りは低下しました。しかし、ソフトウェア大手セールスフォースの5-7月期売上ガイダンスが前年同期比7~8%増となり、1桁台の伸びに落ち込むのが初めてだとして嫌気され、幅広くソフトウェア株全般に波及して株式相場は続落となりました。

5/31(金)はナスダック指数に先んじて調整が進んでいたダウ平均が主導して反発となりました。5月個人消費支出物価指数が、総合指数、コア指数とも市場予想通りに前月から横ばいとなって、米10年国債利回りが低下したことが好感された形です。

業種指数では米10年国債利回りが週末にかけて反落となったことから、配当利回りの高さに注目して投資されやすい「公益事業」、金利低下がメリットとなる「不動産」、株価に割安感のある「エネルギー」などが騰落率上位となりました。

今週の米国株式市場

S&P500指数の最近の日足チャートをみると、一旦天井をつけて調整に向かうか、再び高値をとりにいくか、微妙なろころに見えます。インフレ低下のトレンド、リセッションに陥らない程度の適度な景気減速が観測されていますので、高値をとりにいく可能性も十分にありますし、調整の方向としても深いものにはならないとみられます。

なお、先週の相場調整を大きくしたセールスフォースの株価下落は過剰反応とみられ、波及したソフトウェア株を含め、ある程度の反発が期待できるとみられます。同社は2022年末から収益性を重視する方針転換を行い、マーケティング費用の削減などで利益率を大きく改善する一方、売上の伸び率は鈍化してきました。

今回5-7月期の売上成長率が同社の歴史上初めて1桁台に落ち込んだことがセンセーショナルに取り上げられましたが、上記のような同社固有の経緯があることは押さえておくべきでしょう。

今週の株価材料として、5月雇用統計、5月企業景況感、エヌビディアの株式分割(1株を10株に分割)、などが注目されます。

5月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比19.0万人増の予想です。前月に続いて雇用市場の適度な鈍化を示すなら、株式相場にポジティブになると期待できるでしょう。

5月の企業景況感は、6/3(月)にISM製造業景気指数が前月の49.2から49.6に改善の予想、ISM非製造業景気指数が前月の49.4から51.0に改善の予想です。ここ数ヵ月、製造業は改善傾向、サービス業は低下傾向がみられています。

エヌビディアの株式分割は、権利付最終売買日を現地時間6/7(金)とし、同6/10(月)から分割後の取引が開始されます。市場では株価水準を下げることで、ダウ平均への採用が意識されているのではと注目されています。時価総額の大きさやAIコンピュータの重要性を考えれば、採用資格は十分でしょう。なお、1株当たり4セントから10セントへ増やされる四半期配当については、6/11(火)が権利付最終売買日となります。

経済指標では、、6/4(火)に米国の4月製造業受注(前月比+0.6%の予想)、6/5(水)に米国の5月ADP雇用統計(前月比17.5万人増の予想)、6/7(金)に中国の5月貿易統計(輸出は前年比+5.1%の予想、前月は同+1.5%)、輸入は同+4.5%の予想、前月は同+8.4%)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

先週の週末にかけて株式市場で気にされていた米10年国債利回りが5/30(木)、5/31(金)と低下する中でも、先駆して上昇していたテクロジー株が低調な一方、5/31(金)にダウ平均が大きく反発したのが目立ちました。

図表3でダウ平均のチャートを確認すると、4月中旬から下旬にかけてもみ合った38,000ドル前後まで低下して、図表1のS&P500指数に比べて調整が進んでおり、値ごろ感が出たということだとみられます。

そこで今回は、過去1か月半の「アメリカNOW!今週の5銘柄」で直近四半期決算の好調を理由に取り上げた大型株の中で、5/31(金)に1%以上の株価上昇となった銘柄をピックアップしてご紹介いたします。

それらの銘柄と5/31(金)の株価上昇率は、ゼネラル モーターズ(GM)+3.6%、ネクステラ エナジー(NEE)+2.3%、JPモルガン チェース(JPM)+1.7%、コカ-コーラ(KO)+1.6%、アメリカン エキスプレス(AXP)+1.2、です。

図表3 ダウ平均は調整が先に進んで値ごろ感が出た!?

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(5/31)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートゼネラル モーターズ(GM)44.99ドル4.8

【大型ピックアップトラックの販売が好調】

・米国市場で収益性が高い大型ピックアップトラックの販売が好調で、1-3月期のEPSは市場予想を24%も上振れました。同じ要因でライバルのフォードも16%上振れています。米国の個人消費は減速が懸念されますが、富裕層は堅調を維持すると期待されます。

・2023年は労働者のストライキに加え、EVトラックの不振、自動運転によるロボタクシーに対する当局の調査など、苦しい年になりましたが、2024年は明るい見通しをもっています。CEOは「(同社が独自開発した)『アルティウム』バッテリーによるEVのブレイクスルーの年にする」とコメントしています。また、米政府がEV普及策の規制を緩和したことも安心感を生んでいます。

買付チャートネクステラ エナジー(NEE)80.02ドル23.5

【買いやすいバリュエーションに低下】

・フロリダ基盤の電力会社。子会社のネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)は再生可能エネルギーで世界最大級です。NEERを保有することで、株価は高いPERで買われていましたが、過去2年余りにわたる株価下落で買いやすいバリュエーションに低下したと言えそうです。最近はデータセンター投資の拡大に伴う電力需要の拡大が市場で注目されています。

・1-3月期の調整後EPSは前年同期比8%増で市場予想を上回りました。調整後EPSはFPL(フロリダの電力事業)が同7%増、NEERが同11%増と両事業とも堅調です。中期の業績見通しとして、2026年にかけて調整後EPSは年率6~8%の成長、配当は年率約10%の成長を見込んでいます。

買付チャートJPモルガン チェース(JPM)202.63ドル12.3

【決算後の株価下落から回復】

・4/12(金)の1-3月期決算の発表を受けて株価は大きく下落しました。1-3月期の純金利収入が市場予想をわずかに下回ったこと、通期の純金利収入見通しを約900億ドルで据え置いたこと、調整後の経費は910億ドルと従来見通しから引き上げたことが嫌気されたようです。

・しかし、業績の拡大基調は継続することから株式相場全体の回復に沿って株価は回復してきました。1-3月期の銀行業界決算では投資銀行とトレイディング業務の好調が目立ちましたが、同社は商業銀行主体の銀行ですが、投資銀行・トレーディングでも高い競争力をもっていることがポジティブです。

買付チャートコカ-コーラ(KO)62.93ドル22.3

【通期売上ガイダンスを引き上げ】

・1-3月期業績は売上が前年同期比3%増で、為替変動の同6%ポイント減、事業売却の同2%ポイント減を調整したオーガニック売上成長は同11%増(内訳は販売数量が同2%減、販売価格が同13%増)で、市場予想の同6%増を大幅に上回りました。調整後EPSは同7%増と堅調です。

・販売価格の引き上げは、北米で7%、欧州・中東・アフリカや南米で22%などとしています。1-3月期の販売好調を受けて通期のオーガニック売上ガイダンスを前年比6~7%増から同8~9%増に引き上げています。

買付チャートアメリカン エキスプレス(AXP)240.00ドル18.4

【1-3月期決算は好調】

・1-3月期決算は売上が前年同期比11%増、EPSが同39%増で、EPSは市場予想を12%上回って好調でした。純金利収入が同24%増と売上の伸びをけん引しました。特典が多くついたプレミアムカードが好調で、同社カード保有者の利用額は米国で同8%増、海外は同13%増えています。

・2024年のガイダンスは売上が前年比9~11%増、EPSは前年比13~17%増に相当する12.65~13.15ドルを見込みます。米国の個人消費には減速の兆しが見られますが、同社の主力顧客である富裕層は相対的に好調を維持する可能性が高いとみられ、業績堅調が期待できそうです。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、いずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
6月
3(月)
・財新中国製造業PMI(5月)
・ワーズ自動車販売台数(5月)
・米ISM製造業景気指数(5月)
・米建設支出(4月)
 
4(火) ・米求人労働異動調査(4月)
・米製造業受注(4月)
クラウドストライクホールディングス
5(水) ・米ADP雇用統計(5月)
・米ISM非製造業景気指数(5月)
 
6(木) ・ECB主要政策金利
・ユーロ圏小売売上高(4月)
・米新規失業保険申請件数(6月1日に終わる週)
ニオ
7(金) ・中国輸出・輸入(5月)
・ユーロ圏実質GDP(1-3月期、確報値)
・米雇用統計(5月)
・米家計純資産(1-3月期)
・米消費者信用残高(4月)
・エヌビディアが1株を10株に株式分割(引け後)
10(月) ・日本実質GDP(1-3月期、確報値)
・米NY連銀1年インフレ期待(5月)
・米3年国債入札
 
11(火) ・日本工作機械受注(5月)
・米NFIB中小企業楽観指数(5月)
・米10年国債入札
 
12(水) ・米消費者物価指数(5月)
・米FOMC政策金利
ブロードコム、オラクル
13(木) ・ユーロ圏鉱工業生産(4月)
・米新規失業保険申請件数(6月8日に終わる週)
・米生産者物価指数(5月)
アドビ
14(金) ・日銀政策金利
・米ミシガン大学消費者信頼感(6月)
・米30年国債入札
 

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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