アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~ネットフリックス、シーゲイト、アンフェノール、メタ、アルファベット~

投資情報部 榮 聡
2025/01/27
先週は就任したトランプ大統領が即座には関税を引き上げなかったことから安心感が広がったほか、巨額のAIデータセンターへの投資計画、好調な企業決算などてを受けて2週連続の上昇となりました。今週の株価材料として、大手テクノロジーの決算発表、トランプ大統領の関税政策、FOMC、などが注目されます。
今回は先週の好決算銘柄に加え、今週・来週の決算発表で注目できそうなものから、ネットフリックス(NFLX)、シーゲイト テクノロジー(STX)、アンフェノール A(APH)、メタ プラットフォームズ A(META)、アルファベット A(GOOGL)を選んでご紹介いたします。
図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

トランプ大統領の就任は相場に楽観をもたらし、「雲」の上での株価推移を定着させ、最高値更新に進みました。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率
S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
コミュニケーションサービス | 5.2% | 4.3% | 15.1% |
情報技術 | 3.6% | -0.5% | 3.4% |
資本財・サービス | 3.0% | 5.8% | 4.3% |
S&P500 | 2.8% | 2.2% | 5.0% |
一般消費財・サービス | 2.5% | 0.9% | 17.7% |
ヘルスケア | 2.2% | 3.8% | -2.9% |
金融 | 2.1% | 4.2% | 9.0% |
生活必需品 | 1.8% | -1.1% | -2.2% |
素材 | 1.4% | 4.7% | -5.4% |
不動産 | 1.1% | 2.4% | -5.5% |
公益事業 | 1.0% | 4.5% | -1.0% |
エネルギー | -2.1% | 7.4% | 0.5% |
騰落率上位(5日) | 騰落率 |
ネットフリックス | 16.1% |
オラクル | 15.1% |
アボットラボラトリーズ | 9.8% |
GEエアロスペース | 9.5% |
ディア | 9.0% |
騰落率下位(5日) | 騰落率 |
メルク | -5.1% |
コノコフィリップス | -3.6% |
アメリカン・タワー | -2.6% |
アップル | -2.4% |
エクソンモービル | -2.4% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で1.7%、ダウ平均は2.2%、ナスダック指数は1.7%の上昇でした。
トランプ大統領の就任式では、市場が怖れていた即座の関税引き上げはなく、関税引き上げに対する警戒は残るものの、安心感が広がりました。また、ダボス会議に向けた同氏の演説では、関税を避けるために米国での生産を勧誘し、金利・原油価格の引き下げなどに言及して、株式市場を押し上げる要因となりました。
ソフトバンクグループ、オラクル、オープンAIの3社は合弁事業で今後4年間に最大で5,000億ドルをAIデータセンターに投資する「スターゲイト」計画を発表して、テクノロジー株への刺激となりました。決算発表では、大型テクノロジー株のさきがけとなったネットフリックスが好決算となり、発表企業の全体でも好調でした。
業種指数では、ネットフリックスがけん引したコミュニケーションサービス、AIデータセンターの材料が好感された情報技術が大きく上昇しました。唯一下落となったエネルギーは、トランプ大統領の原油増産推奨、OPECに対する価格引き下げ要請などで原油価格が下落したことによります。
個別株で上昇率2位のオラクル(ORCL)は、上記のAIデータセンターへの投資を発表したことが好感されました。同社はかねてより自社でAIデータセンターを運営して、一般事業会社によるAIワークロード(つまり、ハイパースケーラー以外によるワークロード)ではトップシェアを保有していると述べています。データセンター運営で中心的役割を果たすとみられています。
今週の米国株式市場
今週・来週に発表される大手テクノロジーの決算は堅調なもののほうが多いとみられ、相場を押し上げる要因になりそうです。一方、トランプ大統領の関税政策は、カナダ・メキシコに対して何の交渉もなく、従来の発言通り引き上げられるようなら、相場の高値警戒が高まりやすいでしょう。
今週の株価材料として、大手テクノロジーの決算発表、トランプ大統領の関税政策、FOMC、などが注目されます。
マグニフィセント7(決算期が異なるエヌビディアを除く)のうち、今週はメタプラットフォームズ、マイクロソフト、テスラ、アップル、来週はアルファベット、アマゾンが決算発表予定です。中国でのiPhone販売が懸念されるアップル、EVの販売動向に不安要素があるテスラを除いて、4社の決算は堅調と想定されます。特に、「今週の5銘柄」として取り上げたメタ、アルファベットは好調が期待されますし、アマゾンは堅調な年末商戦の恩恵を受けているとみられます。
なお、1/24(金)までに決算発表を終えたS&P500指数採用78銘柄の集計では、EPSが前年同期比16.6%増で、市場予想の同8.7%増を7.9%ポイント上回って、好調に推移しています。
トランプ大統領は、カナダ・メキシコに対して、早ければ2月1日(土)から関税を25%に引き上げると発言しています。両国との交渉を有利に進めるための材料としてぶち上げているとの見方がありますが、期限が近づくにつれ、市場の警戒が高まりそうです。
1/28(火)~1/29(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利据え置きの確率が99.5%となっています(FedWatch、日本時間1/27(月)午前8時半)。ただ、ダボス会議に向けた演説でトランプ大統領は、「金利は引き下げるべき」と発言しており、パウエルFRB議長による今後の見通しに関するコメントも含めて、どのような影響が出てくるか注目されます。
経済指標では上記のほか、米国の12月新築住宅販売件数(前月比+2.4%の予想)、1/28(火)に米国の12月耐久財受注(前月比+0.5%の予想)、米国の1月コンファレンスボード消費者信頼感(前月の104.7から105.6に改善の予想)、米国の12月個人消費支出物価指数(総合指数は前年比+2.5%の予想、前月は同+2.4%、コア指数は前年比+2.8%の予想、前月は同+2.8%)、などの発表が予定されています。
今週の5銘柄
今回は先週の好決算銘柄から、ネットフリックス(NFLX) シーゲイト テクノロジー(STX) アンフェノール A(APH)を、今週・来週の決算発表銘柄から、メタ プラットフォームズ A(META) アルファベット A(GOOGL)を選んでご紹介いたします。
図表3 米10年国債利回りのチャート(日足、3ヵ月)

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作
今週の注目銘柄
取引 | チャート | 銘柄 | 株価 (1/24) |
予想PER (倍) |
ポイント |
---|---|---|---|---|---|
買付 | ネットフリックス(NFLX) | 977.59ドル | 40.1 | 【新規加入者が予想を大幅に上回った】 ・10-12月期の新規加入者数が18.9百万人と市場予想の9.2百万人を大幅に上回りました。マイク・タイソンの復帰試合、NFL試合などライブイベントの配信、ドラマ「イカゲーム2」の投入などの施策が奏功したとみられます。 ・1-3月期のガイダンスは、売上が前年同期比11%増、EPSは同6%増で、前四半期から伸びが鈍化の見通しです。ただ、米国では平均13%の値上げを予定しているため、先行きの売上は再度加速すると期待されます。 | |
買付 | シーゲイト テクノロジー(STX) | 108.19ドル | 14.6 | 【業況改善にはずみ】 ・HDD(ハードディスクドライブ)大手。2023年6月期、2024年6月期と製品需要が落ち込みましたが、2024年4-6月期から売上の回復が顕著となっています。 ・10-12月期は、売上が前年同期比50%増、EPSは同17倍、調整後営業利益率は23.1%へ、前年同期の8.2%から大幅に上昇しました。企業向け需要が改善しつつある中で、過去2年で進めたコスト削減策が効いています。 | |
買付 | アンフェノール A(APH) | 77.19ドル | 33.9 | 【主要市場が堅調な増加】 ・コネクターで世界首位級。日本の同業はヒロセ電機です。10-12月期決算は、売上が前年同期比30%増、EPSが同34%増、市場予想をそれぞれ6%、9%上回りました。 ・売上増は、買収効果に加え、データ通信、航空機、スマホ、防衛などの分野で力強い成長となったことによります。1-3月期は、市場環境の継続を想定して、売上は前年同期比23~26%増を見込みます。 | |
買付 | メタ プラットフォームズ A(META) | 647.49ドル | 23.9 | 【TikTokの不透明感から恩恵の可能性】 ・10-12月期決算は、売上が前年同期比17%増、EPSが同29%増と予想されています。通期予想EPS修正率は過去3ヵ月で+9.3%、過去4週でも+4.4%となっており、業績モメンタムは好調と考えられます。 ・TikTokの米国での禁止にまつわる不透明感から、広告価格、エンゲージメントとも恩恵を受けている可能性があります。また、AI機能の付加はSnap、Pinterestなど規模が小さい競合社に対して優位性を発揮すると期待されます。 | |
買付 | アルファベット A(GOOGL) | 200.21ドル | 21.9 | 【「Vertex AI」の寄与に注目】 ・10-12月期決算は、売上が前年同期比13%増、EPSが同28%増と予想されています。通期予想EPS修正率は過去3ヵ月で+2.7%、過去4週は+0.2%となっており、業績モメンタムは好調と考えられます。 ・クラウド事業は、「Vertex AI」(AIを活用したアプリケーションをカスタマイズできるプラットフォーム)の展開によって堅調な伸びが期待される。2025年の設備投資額が注目されます。 |
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期はシーゲイト テクノロジーは2025年6月期、その他は2025年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
主要イベントの予定
経済指標・イベント | 企業決算・イベント | |
27(月) | ・中国製造業・非製造業PMI(1月) ・ドイツIFO企業景況感(1月) ・シカゴ連銀全米活動指数(12月) ・米新築住宅販売件数(12月) ・米2年国債、5年国債入札 |
AT&T |
28(火) | ・米耐久財受注(12月) ・S&PコアロジックCS住宅価格(11月) ・コンファレンスボード消費者信頼感(1月) ・米7年国債入札 |
スターバックス、ボーイング、ゼネラルモーターズ ロッキードマーチン |
29(水) | ・FOMC政策金利 | IBM、メタプラットフォームズ、マイクロソフト テスラ、スーパーマイクロコンピュータ(E) サービスナウ、コーニング、TモバイルUS |
30(木) | ・ユーロ圏実質GDP(10-12月期) ・ECB政策金利 ・米新規失業保険申請件数(1月25日に終わる週) ・米中古住宅販売制約(12月) |
アップル、インテル、ビザ、マスターカード |
31(金) | ・日本鉱工業生産(12月) ・米個人所得・個人支出(12月) ・米個人消費支出物価指数(12月) |
アッヴィ、アルトリア エクソンモービル、シェブロン |
2月 3(月) |
・米建設支出(12月) ・米ISM製造業景気指数(1月) |
パランティアテクノロジーズ |
4(火) | ・米求人労働異動調査(12月) ・米製造業受注(12月) |
アルファベット、アドバンストマイクロデバイセズ ファイザー、ペイパルホールディングス、アムジェン メルク、ペプシコ |
5(水) | ・米ADP雇用統計(1月) ・米貿易統計(12月) ・米ISM非製造業景気指数(1月) |
アームホールディングス、ウォルトディズニー ウーバーテクノロジーズ、ボストンサイエンティフィック |
6(木) | ・米チャレンジャー人員削減数(1月) ・米新規失業保険申請件数(2月1日に終わる週) |
アマゾンドットコム、イーライリリィ フィリップモリスインターナショナル、マイクロストラテジー エアープロダクツアンドケミカルズ |
7(金) | ・米雇用統計(1月) ・米ミシガン大学消費者信頼感(2月、速報値) |
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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