新NISAのリターンランキング オルカン・S&P500 超え 好成績ファンドは?

投資情報部 川上雅人
2024/06/17
新NISA(6ヵ月)のリターンランキングは?
今日は6月17日。このコラムを書いているの13日(現地12日)にロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、レンジャーズ戦で背番号「17」と並ぶ17号ホームランを放ちました。これが6月3本目のホームランとなりましたが、2023年は6月に15本塁打、2021年の6月も13本塁打を記録しています。過去好調だった6月に今年もホームランの量産体制に入るのかが注目されます。
さて話は変わって、新NISAがスタートしてまもなく半年となります。新NISAは受渡日(ファンドごとに異なり、約定日から2~5営業日後など)が2024年1月以降となる取引を対象としているため、最も早いケースでは2023年12月下旬に取引された分から新NISAの対象となっています。
そこで今回は、2024年5月末から遡っての半年間、大部分が新NISAの期間といえる新NISA対象ファンドの6ヵ月リターンをチェックします。
新NISAで人気のファンドは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)やeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500)などです。これらの3ファンドは揃ってカテゴリー内での運用効率の相対評価を示すウエルスアドバイザーのファンドレーティングが最上位の5ツ星(5月末基準)となっています。そのため、これらの3ファンドは運用効率に優れたファンドといえますが、これらの3ファンドよりも6ヵ月リターンが上位となっている好成績かつ5ツ星ファンドの一覧(SBI証券取り扱い)が図表1となります。そのファンド数は13本となっており、カテゴリー別では国際株式・北米が7本、国際株式・グローバル(含む日本)が3本、国内株式が3本となっています。
6ヵ月リターンだけで評価してしまうと一時点だけのリターンがたまたま良かったファンドを取り上げてしまう可能性があります。そのため、中長期のデータに基づく評価といえるファンドレーティングを併せてチェックすること(例えば、5ツ星または4ツ星以上でファンドを絞り込むこと等)が、優良ファンドを発掘する1つの方法と考えます。
加えて、新NISA対象ファンドは、運用期間が長く、償還される可能性が低い中長期投資に適したファンド群といえるため、新NISA対象ファンドでの絞り込みも有効といえます。
なお、5ツ星ファンドとは、カテゴリー内の上位10%のグループを指します。ファンドレーティングの詳細はこちらをご参照ください。
図表1 新NISA対象の6ヵ月好成績・5ツ星ファンド一覧
順位 | ファンド名 | 特徴 (投資対象) |
6ヵ月 リターン |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
1年 標準偏差 |
ファンド レーティング |
新NISA 対象 |
1 | 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) | 世界各国の半導体関連企業の株式を投資対象 | 65.22% | 90.40% | 44.05% | 24.75 | ★★★★★ | 成長 |
2 | iFreeNEXT FANG+インデックス | NYSE FANG+指数の動きに連動した投資成果をめざす | 33.74% | 60.23% | 30.04% | 17.14 | ★★★★★ | 成長+つみたて |
3 | フィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし) | 新しい時代を切り開く企業、移り行く時代の中で最も成功できる企業を発掘し選別投資 | 33.38% | 56.44% | 23.36% | 14.08 | ★★★★★ | 成長 |
4 | 米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし) | 米国のNASDAQ上場株式を投資対象 | 32.82% | 58.77% | 24.33% | 17.08 | ★★★★★ | 成長 |
5 | SMT MIRAIndex 宇宙 | FactSet Global Space Economy Indexに連動する投資成果をめざす | 32.50% | 56.84% | 26.47% | 13.44 | ★★★★★ | 成長 |
6 | 三菱UFJ NASDAQオープン Bコース | NASDAQ銘柄の中で、新技術・開発力、ビジネスモデル等から成長が期待できる企業 | 30.81% | 52.28% | 22.91% | 16.73 | ★★★★★ | 成長 |
7 | フィデリティ・米国優良株・ファンド | 個別企業分析により、国際的な優良企業や将来の優良企業に投資 | 27.40% | 46.08% | 23.29% | 13.04 | ★★★★★ | 成長+つみたて |
8 | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし) | 成長の可能性が高いと判断される米国株式に投資 | 26.70% | 45.03% | 21.25% | 13.83 | ★★★★★ | 成長 |
9 | 新経済成長ジャパン | 業績動向、財務内容、バリュエーション、業種別比率等を勘案して銘柄を選定 | 25.21% | 42.35% | 19.21% | 14.82 | ★★★★★ | 成長 |
10 | 野村インデックスファンド・先進国ESG株式(愛称:Funds-i 先進国ESG株式) | FTSE4Good Developed 100 Indexの動きをとらえる投資成果をめざす | 24.87% | 43.27% | 25.14% | 12.46 | ★★★★★ | 成長 |
11 | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | NASDAQ100指数の動きに連動した投資成果をめざす | 23.69% | 45.10% | 24.83% | 13.40 | ★★★★★ | 成長+つみたて |
12 | 情報エレクトロニクスファンド | エレクトロニクスに関連する企業群や情報通信に関連する企業群の株式 | 23.47% | 38.45% | 15.42% | 19.80 | ★★★★★ | 成長 |
13 | 日本ニューテクノロジー・オープン(愛称:地球視点) | 世界が注目する次世代産業を担うニューテクノロジーにより収益の拡大が期待される銘柄 | 23.39% | 34.29% | 13.32% | 18.34 | ★★★★★ | 成長 |
参考 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500インデックスファンド | 23.34% | 41.37% | 22.70% | 12.91 | ★★★★★ | 成長+つみたて |
参考 | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500) | S&P500インデックスファンド | 23.24% | 41.20% | 22.56% | 12.81 | ★★★★★ | 成長+つみたて |
参考 | eMAXIS Slim 米国株式(オール・カントリー) | 日本を含む全世界株式インデックスファンド | 21.39% | 36.73% | 18.29% | 11.80 | ★★★★★ | 成長+つみたて |
- ※NISAで買えるSBI証券取り扱いファンドでファンドレーティング5ツ星に絞って6カ月リターン順に表示(2024年5月末基準)
- ※参考としてNISAで人気のインデックスファンド3本を6ヵ月リターン順に表示
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
オルカン・S&P500超えの好成績ファンドはどう使う?
S&P500インデックスファンド(以下、S&P500)またはオルカン超えの6ヵ月好成績・5ツ星ファンド13本のうち、それぞれのカテゴリーの最上位ファンドが、野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)、iFreeNEXT FANG+インデックス、新経済成長ジャパンとなります。これらの3ファンドとS&P500とオルカンの2021年末からのパフォーマンスを比較したものが、図表2となります。
S&P500やオルカンは同一カテゴリーの中で相対的に価格変動が小さく安定的にパフォーマンスを上げているファンドといえますが、野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)、iFreeNEXT FANG+インデックスは標準偏差(1年)の値が大きいため価格変動が大きいものの、上昇局面でのパフォーマンスが特に良好です。S&P500やオルカンに加えて、高いリターンを狙うならリスク(値動きの振れ幅)が大きくなるものの、個別株に投資の感覚でこれらのファンドを組み合わせるのが有効と考えます。
新NISA「個別株感覚で買える」ファンドの詳細は、1月22日のコラムもご参照ください。
一方で、国内株式に投資している新経済成長ジャパンは、S&P500やオルカンの2022年の下落局面でも安定した実績を上げています。そのため、S&P500+国内株式ファンドまたはオルカン+国内株式ファンドといったように値動きが異なるファンドを組み合わせて投資することで、リスク(値動きの振れ幅)を抑える効果が期待できます。
有望な国内株式ファンドの例としては、6月10日のコラム(1年好成績+高レーティング)も併せてご覧ください。
オルカン・S&P500超えの好成績ファンドは、①高いリターンを狙うため、または②リスクを抑えるため、という2つの視点で、ニーズに応じてそれぞれのファンドを活用することが有効といえます。
また、高いリターンを狙うファンドへの投資は、価格変動が大きいため、毎月一定額による積立投資や基準価額の下落局面での追加購入が、パフォーマンスの向上と安定化を図る上で効果的な方法となります。
図表2 好成績・5ツ星ファンドのパフォーマンス比較 (2021年12月末~2024年6月12日 2021年12月末=100)

- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は一部略称)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
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