悪材料が重なり急落した日経平均!下落のめどは?

投資情報部 淺井 一郎

2024/04/19

4/19(金)の東京株式市場は大幅安の展開。日経平均株価は一時1,000円以上下落する場面もありました。取引の序盤で下げを主導したのは東京エレクトロンやアドバンテストといった値がさ株です。その後、イスラエルがイランに向けてミサイルを発射したと伝わると、中東情勢の緊迫化で地政学リスクが高まって、一段と株安が進行しました。

まず、値がさハイテク株が下落した背景には、昨日(4/18)に発表された半導体大手TSMCの2024年第1四半期決算において、同社がメモリー半導体を除く市場見通しを引き下げたことが嫌気されたことが挙げられます。更にその前日(4/17)には半導体製造装置大手の蘭ASMLHDの24年第1四半期決算において、新規受注額が市場予想を下回ったことが嫌気されており、半導体関連においてネガティブな材料が相次いでいます。

もっとも、現状のハイテク株の下落は、より本質的な動きとして米国金利の上昇が影響しているように考えられます。米国10年国債利回りは、年初の4%割れの水準から足元では4.6%台へ上昇しています。米国長期金利の上昇がグロース株(成長株)にとって逆風になり始めたようです。ハイテク株はPERなどのバリュエーションが高い銘柄が多く、一旦、調整局面に入ると下げ幅も大きくなっていると考えられます。

そして、米国金利が上昇する背景には、市場において米国の利下げ観測が急激に後退していることが挙げられます。今年3月のFOMCではドットチャートにおいて、2024年に3回(0.25%pt×3回)の利下げが予想されていますが、それに対し、FFレート先物市場などによると、市場が予想する利下げ回数は2回程度とFOMCの見方よりも少ない予想となっています。そればかりではなく、最近ではFRBが年内に利下げを見送るとか、逆に次の一手は利上げと予想する声も高まっており、タカ派的となっています。ただし、2022年の利上げ開始以降、政策金利の見通しに対する市場の予想は、FOMCに比べて一貫してハト派的だっただけに、現状の市場の見方はやや行き過ぎているように思えます。

市場のタカ派的な見方に歯止めがかかり、米国長期金利の上昇が一服するようであれば、ハイテク株売りの動きは一旦、収まることが期待できるのではないでしょうか。ただ、市場にとってはもう1つ、見過ごすことが出来ない懸念材料が、為替介入の可能性でしょう。円相場は現状、1ドル=154円台と34年ぶりの円安圏で推移しており、いつ円買い介入が行われてもおかしくはない状況です。為替介入については、225の『ココがPOINT!』株価急落・円安進展~為替介入はあるか?をご覧いただきたいのですが、休日前の金曜日(つまり4/19)の夕方以降が、介入の可能性が高いと考えられます。

当面の日経平均の下げ目途ですが、まず為替介入が実施された場合、円高誘導により輸出株が売られるため、日経平均は一段安となる可能性があります。その場合、日経平均の短期的な下値目途は、36,000円か、あるいは26週移動平均線レベルである35,590円(4/17時点)が想定されます。一方、為替介入が実施されない場合は、介入警戒感が一旦収まることが予想されます。また、ハイテク株についても、前述のとおり、米金融政策に対するタカ派的な見解はやや行き過ぎの感があり、それが修正されて米国金利の上昇が一服するならば、ハイテク株についても下げ止まりが期待できるでしょう。日経平均についても反発局面に入ると考えられます。

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