「トランプ関税」懸念で急落。下値メドは?
投資情報部 鈴木 英之
2025/03/31
3/31(月)午前の東京株式市場では、日経平均株価が一時、前週末比1,545円安の水準となる35,574円まで下落しました。
日経平均株価が大幅安した直接の原因は、前週末3/28(金)の米国株安とみられます。代表的な株価指数のひとつであるS&P500は3営業日続落となり、前日比2%弱下げました。この日発表された2月の米個人支出が予想を下回るとともに、コアのPCEデフレータは予想を上回り、米国経済がスタグフレーション(インフレと経済悪化の同時進行)に陥る可能性が意識されました。
米国は3月に入り、メキシコ、カナダ、中国に対する関税政策を強化し、鉄鋼・アルミニウム関税も導入しました。これを受け、3月からのインフレ加速が懸念される見込みです。しかし、2月からインフレ高進の兆候が意識されたことで、3月以降のインフレ加速がさらに心配される状況です。消費者のインフレ見通しも上昇し、米個人消費に心理面でも悪影響が出つつあります。
4/2(水)には米国による「相互関税」について発表が予定されています。トランプ米大統領は、欧州の付加価値税や日本の消費税は「関税と同様」であると述べており、これらに相互関税が賦課されると、日本からの輸入に10%程度の関税が賦課される可能性が残ります。また、4/3(木)には自動車関税が発効する予定です。東京株式市場はこれらをすべて織り込む形で下落しているように見受けられます。
米国への輸入品に対する関税は、米国の輸入業者が支払い、多くの場合、その関税分は消費者の負担となります。したがって、米国への輸入に幅広く関税が賦課されることで、多くの商品が値上がりすると想定されます。幅広い関税賦課は、米消費者にとっては消費税同様に打撃になりそうです。このため、関税によって得られる税収増加を減税の財源とし、近い将来減税政策を打ち出してくる可能性が大きいとみられます。
日本は米国と貿易戦争を長く戦ってきた経緯があり、自動車産業等でも現地生産を増やしてきました。2023年までの5年間、日本は米国への直接投資で世界第1位を続けています。言い換えれば、貿易戦争への備えを強化してきたということであり、今回の「トランプ関税」について、ある程度、打撃を和らげることが可能とみられます。
当面は4/2(水)の「相互関税」発表が注目点で、日本からの輸入に10%以上の関税が賦課されるような極端な政策にならなければ、アク抜けとなる可能性も大きそうです。引き続き下落が続いた場合、日経平均株価の当面の下値メドとしては
(1)35,247円・・・2024/9/9取引時間中安値
(2)35,000円・・・心理的節目
(3)34,800円・・・3/31時点でここまで下げると25日移動平均線からマイナス7%かい離
等が想定されます。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
新着記事(2025/03/31)

外国株式
1分でチェック!今週の米国株式「相互関税や自動車関税発動がポイント」
先週の米国株は週前半はしっかりも、後半は軟調な展開となりました。相互関税が限定的なものになるとの観測が生じて好感する場面もありましたが、その後トランプ大統領が米国産以外のすべての自動車への輸入関税賦課を命じる布告に署名したことでトランプ関税...
投資情報部 齊木 良
2025/03/31

外国株式
アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~関税の影響を受けにくい銘柄群~
先週の米国株式市場は、トランプ関税に対する警戒が高まる中で、テクノロジー株への売り圧力が再燃、さらに週末にはインフレの高まりを示す指標も出て大幅反落となりました。今週の株価材料として、相互関税の発動、3月雇用統計、パウエルFRB議長の講演、...
投資情報部 榮 聡
2025/03/31

投資信託
読売333 vs 日経225 日本株インデックスファンドは何を選ぶ?
3月18日の米メジャーリーグ日本開幕に続いて、28日には日本のプロ野球が開幕となりました。いよいよ本格的に球春到来です。 そのような中で24日、読売新聞社は読売株価指数(読売333)の公表を開始しました。読売333は国内株式市場に上場する...
投資情報部 川上雅人
2025/03/31
免責事項・注意事項
・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
【手数料及びリスク情報等】
SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。