アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~関税の影響を受けにくい銘柄群~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~関税の影響を受けにくい銘柄群~

投資情報部 榮 聡

2025/03/31

先週の米国株式市場は、トランプ関税に対する警戒が高まる中で、テクノロジー株への売り圧力が再燃、さらに週末にはインフレの高まりを示す指標も出て大幅反落となりました。今週の株価材料として、相互関税の発動、3月雇用統計、パウエルFRB議長の講演、などが注目されます。

今回はトランプ大統領による相互関税の発動を4/2(水)に控えることを勘案して、関税の影響を受けにくいと考えられるサービス業の銘柄から、ネットフリックス(NFLX)ウォルトディズニー(DIS)ブッキング ホールディングス(BKNG)モルガン スタンレー(MS)ビザ A(V)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数のローソク足(日足、3ヵ月)

200日移動平均線が上値抵抗となって大幅に反落しました。今週は重要な株価材料が多く、ボラティリティが高くなると想定されます。3/13(木)の直近安値5,504.65ポイントを維持できるか注目されるでしょう。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
生活必需品 1.6% -4.4% 2.9%
エネルギー 0.8% 2.6% 8.1%
不動産 0.4% -3.9% 1.8%
一般消費財・サービス 0.0% -8.9% -13.8%
金融 -0.2% -5.5% 1.8%
公益事業 -0.2% -1.0% 3.0%
素材 -0.3% -3.9% 1.2%
ヘルスケア -1.0% -2.7% 5.1%
資本財・サービス -1.3% -4.3% -1.2%
S&P500 -1.5% -6.3% -5.1%
コミュニケーションサービス -3.2% -8.6% -6.6%
情報技術 -3.7% -8.9% -12.8%
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騰落率上位(5日) 騰落率
テスラ 6.0%
モンデリーズ・インターナショナル 5.0%
フェデックス 4.9%
ギリアド・サイエンシズ 4.4%
AT&T 4.3%
騰落率下位(5日) 騰落率
ブロードコム -11.8%
オラクル -7.5%
ペイパル・ホールディングス -7.2%
ナイキ -6.8%
エヌビディア -6.8%
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注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.5%、ダウ平均は1.0%、ナスダック指数は2.6%の大幅反落でした。

トランプ関税に対する警戒が高まる中でテクノロジー株への売り圧力が再燃、さらに週末にはインフレの高まりを示す指標も出て大幅反落となりました。

3/24(月)にはトランプ政権関係者の話から4月2日(水)に発表される「相互関税」は市場で懸念されていたほど広範囲とならない可能性が出てきたとして上昇しました。一方、3/26(水)は関税の発表を控える中、テクノロジー株への売りが再開して大幅安となり、同日夕方にトランプ大統領が米国への輸入自動車に25%の関税をかけると発表して3/27(木)は続落でした。

3/28(金)に発表された2月個人消費支出物価指数のコア指数が前年比+2.8%と前月および市場予想の同+2.7%を上回って、インフレ再燃が警戒されました。さらに、2月個人支出が前月比+0.4%にとどまり、市場予想の同+0.5%を下回ったことで、景気に対する懸念も生じ、両指標によってスタグフレーションが警戒される形となりました。

業種指数では、ディフェンシブの生活必需品、原油価格が底入れをうかがう動きとなっていることを受けたエネルギーなどがプラスを確保の一方、テクノロジー株の影響が大きい情報技術、コミュニケーションは3%を超える大幅下落となりました。

個別銘柄で上昇トップのテスラ(TSLA)は、昨年末の480ドル辺りから先々週は250ドル割れまで、大幅な下落となっていましたが、大幅下落の反動もあり、先週は反発しました。トランプ政権に参加したマスクCEOの言動が一部の消費者に嫌気されて販売不振が懸念されています。一方、同社の米国販売車は米国生産車で賄っているため、トランプ関税の影響は比較的軽微です。

今週の米国株式市場

S&P500指数は200日移動平均線が上値抵抗となって反落、主要3指数が揃って直近安値を付けた3/13(木)の水準を維持できるかどうかが注目されるでしょう。この水準を下回ると新たな売り圧力が生じると懸念されます。

今週は4/2(水)に相互関税の発動、4/4(金)に3月雇用統計を控えることから、ボラティリティが高くなると想定されます。4/2(水)の発表後にはリリーフ・ラリーの可能性もありますが、持続的なものになるかは疑問です。引き続き慎重姿勢で臨む必要がありそうです。

今週の株価材料として、相互関税の発動、3月雇用統計、パウエルFRB議長の講演、などが注目されます。

トランプ政権は4/2(水)に相互関税を発表する予定です。先々週末には一律の相互関税を課すのは、約15ヵ国になるとの情報が政権関係者から出て、一旦市場の懸念は後退しました。しかし、先週の自動車関税が決まったいきさつを見ると、かならずしも政権関係者の話とトランプ大統領の決定がリンクしていない可能性があり、不透明感が強くなっています。

3月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比13.8万人増で雇用市場の緩やかな鈍化を示す見込みです。予想より強いとプラス、弱いと景気懸念に拍車をかけてマイナスの影響が大きそうです。また、雇用関係では、4/1(火)の2月求人件数も注目です。

4/4(金)の現地時間11時半からパウエルFRB議長が経済見通しについて講演します。3/19(水)のFOMC会見では、関税によるインフレに対する影響は“一時的(transitory)”で、リセッションのリスクは依然として低く、米国経済は健全とみられるとコメントして相場を支えました。

経済指標では上記のほか、4/1(火)に日本の1-3月期日銀短観(大企業製造業DIは前回の14から12に悪化の予想)、米国の3月ISM製造業景気指数(前月の50.3から49.5に悪化の予想)、4/2(水)に米国の 3月ADP雇用統計(前月比12.0万人増の予想)、米国の製造業受注(前月比+0.5%の予想)、4/3(木)に米国の3月ISM非製造業景気指数(前月の53.0から53.0に改善の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回はトランプ大統領による相互関税の発動を4/2(水)に控えることを勘案して、関税の影響を受けにくいと考えられるサービス業の銘柄をご紹介いたします。

【スクリーニング条件】

(1)関税の影響を受けにくいと考えられるサービス業の銘柄

(2)過去3ヵ月、過去4週の通期予想EPSの修正率がプラス。

(3)S&P100指数採用銘柄。

この条件で抽出された図表3の銘柄から、ネットフリックス(NFLX)、ウォルトディズニー(DIS)、ブッキング ホールディングス(BKNG)、モルガン スタンレー(MS)、ビザ A(V) を選んでご紹介いたします。

ただし、消費者心理は悪化していますが、消費のハードデータの悪化は限定的にとどまるとの前提です。消費者心理に沿って個人消費の減速が顕著になってくると、モルガンスタンレーを除く4銘柄とも消費関連であるため、その点は注意が必要です。

図表3 サービス業の業績好調銘柄

コード 銘柄名 業種 通期
予想EPS
修正率
(3ヵ月)
(%)
通期
予想EPS
修正率
(4週)
(%)
今期
予想EPS
増加率
(%)
来期
予想EPS
増加率
(%)
SCHW チャールズ・シュワブ 金融 7.98 0.57 33.4 23.0
JPM JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 金融 7.68 0.07 -1.4 7.5
MS モルガン・スタンレー 金融 6.76 0.17 14.1 10.3
BK バンク・オブ・ニューヨーク・メロン 金融 5.26 0.22 17.9 12.1
NFLX ネットフリックス コミュニケーション・サービス 4.18 0.07 5.1 22.7
COF キャピタル・ワン・ファイナンシャル 金融 2.53 0.01 15.2 20.5
DIS ウォルト・ディズニー・カンパニー コミュニケーション・サービス 1.39 0.57 0.1 11.7
V ビザ 金融 0.88 0.00 6.8 12.8
BKNG ブッキング・ホールディングス 一般消費財サービス 0.31 0.21 -15.7 16.6
INTU インテュイット 情報技術 0.27 0.21 10.5 14.9
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注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(3/28)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートネットフリックス(NFLX)933.85ドル37.6

【新規加入者増と値上げで業績拡大】

・1-3月期の業績ガイダンスは、売上が前年同期比11%増、EPSは同6%増で、前四半期から伸びが鈍化の見通しです。しかし、米国では平均13%の値上げを予定しているため、先行きの売上は再度加速すると期待されます。トランプ関税の影響を受けにくい成長銘柄として注目をあつめやすいと考えられます。

・10-12月期の新規加入者数が18.9百万人と市場予想の9.2百万人を大幅に上回りました。マイク・タイソンの復帰試合、NFL試合などライブイベントの配信、ドラマ「イカゲーム2」の投入などの施策が奏功したとみられます。

買付チャートウォルトディズニー(DIS)98.07ドル17.9

【トランプ関税の影響を受けにくい】 

・同社の主力事業は、テーマパーク、映画、動画配信などで、トランプ関税の影響を受けにくいと考えられます。テーマパークは前年同期が高水準であったため、足もとの比較は厳しいものの、下半期(2025年4-9月期)には改善する見通しです。

・10-12月期決算のEPSは市場予想を24%上回って、通期EPSの上方修正につながっています。動画配信、パーク事業、映画製作などのモメンタムが好調となっています。関税の影響は限定的とみられます。

買付チャートブッキング ホールディングス(BKNG)4,634.24ドル22.0

【堅調な需要が見込まれる】 

・新型コロナ後に盛り上がった状態に比べると減速の形ですが、引き続き旅行需要は堅調に推移すると見込まれます。また、年間70億ドル超の営業キャッシュフローを背景に、信用格付けを犠牲にすることなく、債券の発行による自社株買いの継続が期待されることにも注目できます。2024年末の自社株買い授権額は77億ドルに達しています。

・10-12月期決算は、売上が前年同期比14%増、調整後EPSは同30%増、予約総額が同17%増など好調でした。CEOは2025年について、生成AIに対する投資と生成AI利用によるサービスの差別化に務めるとコメントしています。

買付チャートモルガン スタンレー(MS)115.33ドル13.5

【事業環境は良好とみられる】

・同社は安定的な収益が期待できる資産運用事業へのシフトを進めており、2024年12月期の売上構成比は46%にまで高まっています。証券業界では、1-3月期の株式トレーディング収入が好調で、また、2025年12月期はM&AやIPOの活発化が見込まれており、事業環境は良好とみられます。

・10-12月期決算は、売上が前年同期比26%増、EPSは同97%増、それぞれ市場予想を8%、31%上回りました。1-3月期は、売上が同11%増、EPSが同13%増と堅調な予想です。

買付チャートビザ A(V)342.85ドル30.4

【電子決済の多様化にも対応】

・クレジット、デビットカードの電子決済ネットワーク提供でマスターカードとともに中国を除く世界市場を寡占しています。クレジット、デビットカードの決済市場が安定的に伸びるほか、電子決済の多様化にも対応できており、2024年から2026年にかけて10~12%の売上成長が期待されます。

・10-12月期決算は、売上が前年同期比10%増、調整後EPSが同14増で、市場予想を上回って好調でした。取引総額、クロスボーダー取引額、取扱件数とも改善のトレンドを示してます。

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注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、ウォルトディズニーが2025年9月期、その他は2025年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
31(月) ・日本鉱工業生産(2月)
・中国製造業・非製造業PMI(3月)
 
4月
1(火)
・日銀短観(1-3月期)
・米求人労働異動調査(2月)
・米ISM製造業景気指数(3月)
 
2(水) ・トランプ大統領の相互関税発動
・米ADP雇用統計(3月)
・米製造業受注(2月)
 
3(木) ・米新規失業保険申請件数(3月29日に終わる週)
・米ISM非製造業景気指数(3月)
・ジェファーソンFRB副議長が講演
 
4(金) ・米雇用統計(3月)
・パウエルFRB議長が講演
・マイクロソフト創立50周年記念行事
7(月) ・米消費者信用残高(2月)  
8(火) ・米FIB中小企業楽観指数(3月)
・3年国債入札
 
9(水) ・FOMC議事要旨(3月18日、19日開催分)
・リッチモンド連銀バーキン総裁が講演
・10年国債入札
 
10(木) ・米消費者物価指数(3月)
・米新規失業保険申請件数(4月5日に終わる週)
・30年国債入札
・シカゴ連銀グールズビー総裁が講演
JPモルガンチェース、ウェルズファーゴ
モルガンスタンレー
11(金) ・米生産者物価指数(3月)
・米ミシガン大学消費者信頼感指数(4月、速報値)
 
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注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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