米「相互関税」発動へ。日経平均の見通しは?
投資情報部 鈴木 英之
2025/04/09
4/9(水)の東京株式市場では大きく売りが先行しています。本日の日本時間13時1分に米国の「相互関税」が発動し、日本から米国への輸入には24%、中国からの輸入には104%の関税が賦課されるはこびになっています。米国経済や世界経済への悪影響が懸念され、NYダウが4日続落した流れを引き継いだ形です。
日経平均は今後どうなるでしょうか。メインシナリオとしては、過去3番目の大幅下落となった4/7(月)の安値・終値が意識され、31,000円前後が1番底とみられ、そこが強い下値支持ラインとなりそうです。
石破首相とトランプ大統領の電話会談がもたれ、日本は関税引き下げを巡る交渉で「優先交渉権」が与えられ、担当閣僚を決めて交渉が始まっています。日本にとっては24%の関税賦課が決まったタイミングが「最悪」とみられ、それを嫌気して急落した4/7(月)安値の意味は大きいとみられます。
注意すべきは、中国から米国への「輸入関税104%」です。中国は、米国の輸入の11%(2024年)を占め、世界で4番目(2024年米商務省データ)に大きい輸入先です。おもな輸入品は①電子機器(スマホ、テレビ他)、②機械・設備、③衣類・靴、④家電、⑤玩具(ゲーム機)等です。今後、スマホやゲーム機、衣類等の大幅値上げが危惧され、米国の消費に大きな影響が出そうです。また、機械や生産設備の高騰により、米国を生産拠点として復活させたいトランプ大統領にとって、逆効果になる可能性が大きいとみられます。
テスラのイーロン・マスク氏が関税への反対を唱え始めているように、関税政策は米政権内部でのあつれきを表面化させ、反対デモが全米で拡大しつつあります。2026年秋の中間選挙を控え、支持率を維持したいならば、トランプ政権にとっては、①関税政策の軟着陸、②減税政策の推進、が中心的な選択肢になると思われます。
当面、株式市場の乱高下は続きそうですが、いまがもっとも暗いところかもしれません。上述したように、日本株はすでに底値を打っている可能性があると思います。
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