連休明け後の東京株式市場~上昇?波乱?

投資情報部 鈴木 英之

2025/05/07

大型連休明けとなった5/7(水)の東京株式市場では、日経平均株価が一進一退の展開です。

日本の大型連休中、米国株式市場ではS&P500が5/1(木)終値5,604ポイントに対し、5/6(火)終値は5,606ポイントとほぼ横ばいで推移。トランプ政権の関税政策を巡り、米国と諸外国との交渉に期待が強まり4/22(火)~5/2(金)にS&P500は9営業日続伸しましたが、5/5(月)・5/6(火)は利益確定売りに押されました。

足元で発表された米経済指標(2025年4月分)については、ISM製造業景況指数、同非製造業景況指数、雇用統計における非農業部門雇用者数などが軒並み事前の市場予想を上回りました。このうち、5/2(金)発表の4月雇用統計では、非農業部門雇用者数が事前の市場予想13.8万人増を上回り17.7万人増でした。強い数字を示した経済指標が米株価を下支えした一面はありそうです。ただこれらは過渡期の数字であり、米関税政策の影響は今後次第に表面化してくるとみられます。上記の雇用統計については、過去2ヵ月の雇用者数は5.8万人下方修正されており、そもそも、見かけほど強い内容ではないと理解されます。

こうした中、米国では2025年1~3月期の決算発表が進捗中ですが、エネルギー、日用品、食料品、消費・サービス等の業種を中心に、通期利益見通しが事前の市場予想を下回るなど、先行き警戒感が強まっています。関税で守られるはずの自動車大手でも追加コストの発生が見込まれているようです。

一方、東京市場でも上場企業の決算発表が本格化しています。日経平均株価の予想1株利益(EPS)は、決算発表シーズン直前の4/18(金)2,468円から5/2(金)には2,483円と微増となっており、そこそこ堅調さが維持されていると見受けられます。ただ、決算発表を終えた3月決算企業の主力企業(時価総額1千億円超)のうち、多くの企業の会社予想純利益(2026年3月期)が事前予想を下回っており、先行きに対する警戒感は強まっています。

日経平均株価は昨年秋以降おおむね38,000~40,000円のボックス圏で推移し、2月下旬に同ボックス圏を下振れたという経緯があります。したがって、現在は38,000円が強い上値抵抗ラインになっているとみられます。ただ、3/28安値36,864円をいったんは回復し、チャート上の「窓埋め」が完了していること、トランプ関税の「緩和」が相当織り込まれた形になっているものの、現実の成果はいまだ乏しいこと等を考えると、日経平均株価の37,000円以上では戻り売りが増えてくる展開に注意したいと思われます。

当面は、日本時間5/8(木)早朝に結果が発表されるFOMC(米連邦公開市場委員会:今回は政策金利変更なしが市場コンセンサス)、5/13(火)発表の米消費者物価(市場コンセンサスは前年同月比2.4%増)が米国の重要スケジュールとなります。日本では、引き続き決算発表に要注目ですが、5/8(木)決算発表のトヨタ自動車(7203)で、米関税政策に対し、経営陣がどのような見方・対策を示してくるか関心が集まるとみられます。

なお、4/28(月)~5/2(金)に決算発表を行った企業のうち、2026年3月期の会社予想純利益が市場予想を上回った企業としては、電力・ガス等のエネルギー系企業、システム構築を収益頭とする企業があげられ、その多くで株価が堅調に推移しています。前者は原油安・円高、金利上昇一服が、後者は企業の旺盛なDX投資や生成AIの普及が追い風になりそうです。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

新着記事(2025/05/07)

免責事項・注意事項

・レポートおよびコラムの配信は、状況により遅延や中止、または中断させていただくことがございます。あらかじめご了承ください。

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。