日経平均株価が一時再び3万8千円回復、今後は?

投資情報部 鈴木 英之

2025/05/28

5/28(水)の東京株式市場では、日経平均株価が4営業日続伸でスタートし、取引時間中に5/14(水)以来の38,000円台を回復しました。現地時間5/27(火)の米国株式市場で主要株価指数が上昇したことが背景です。米株高の背景としては以下の諸点が指摘されます。

(1)EUから米国への関税(50%)が7/9まで延期

(2)米長期金利が低下~日本の財務省が市場関係者に国債発行額についてアンケート調査を実施。日米の金利上昇懸念が後退

(3)米コンファレンスボード信頼感指数(5月)が市場予想を上回り、前月比で4年ぶりの大幅上昇

(4)AI(人工知能)向け半導体大手エヌビディア株が上昇し、ハイテク株の上昇をけん引

もっとも(1)については、東京株式市場ではすでに織り込み済みの材料になっています。(2)についても、日米で財政支出拡大による金利上昇への懸念は解消した訳ではないように思われます。(3)については、信頼感指数の調査が、米中関税の引き下げが伝えられたことによる心理の改善を織り込んでいるようです。ただし、こうした改善も一時的との厳しい見方も少なくないようです。

そうした中、当面は(4)にも関係し、米エヌビディア(NVDA)の動向が注目を集めそうです。同社は日本時間5/29(木)早朝に、25年2~4月期の決算を発表し、今後のガイダンスを発表する見込みです。注目点としては

・売上高増加の見通し(25年5~7月期)が前年同期比50%程度を大きく超えてくるか否か

・中国向け半導体の輸出規制による影響が長引く見通しであるか否か

・ブラックウェルや、中国向けに単価を下げた半導体の詳細や見通し

等であるとみられます。なお、5/28(水)付朝日新聞では、日米通商交渉において、日本側がエヌビディア製を念頭に、米国の半導体を数十億ドル購入する案を提示していることが報じられています。日米で「半導体」が国策の一角を形成していることが示された形になっています。

日経平均株価の38,000円前後の水準は、2月末まで続いたボックス相場の下限であり、そこを超える水準では引き続き戻り売り圧力が強まりそうです。ただし、日経平均株価への寄与度が大きい半導体関連株の動きが安定化しつつあることは、前向きな材料であるとみられます。

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