波乱が続く東京市場、しかし反発の芽も?

投資情報部 鈴木 英之

2026/03/23

波乱が続く東京市場、しかし反発の芽も?

東京株式市場では、3/19(木)に日経平均株価が1,866円安となり、3/23(月)も大きく売りが先行する展開となっています。米国とイスラエルによる対イラン戦争が長期化の様相を見せており、原油価格には上昇圧力がかかっています。これにより、世界的にインフレ再燃への懸念が強まっています。

こうした中、現地時間3/18(水)まで開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金融政策の据え置き自体は市場の予想通りでした。ただし、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言が「利下げに慎重」と受け止められたことで、年内の米利下げ観測が後退し、株価下落につながりました。

日本時間3/23(月)午前10時時点における、米金融政策の織り込み状況を示す「フェドウォッチ」を見ると、年内に米政策金利が据え置かれる確率は55.7%に達しています。さらに、少なくとも1回の利上げが実施される確率は31.8%となりました。1週間前までは利上げの確率が0%だったことを踏まえると、金融政策を巡る市場の見方は、短期間で「一変」したと言えるでしょう。

米金融緩和期待の後退を受け、米国では長期金利が上昇しました。金利面での米国の魅力が回復方向に向かったこともあり、安全資産とされてきた金先物価格は急落するなど、金融市場は全体として波乱含みの動きとなっています。

イラン情勢については、現時点で明確な好転材料が確認できていないため、市場参加者の間では、当面はリスクオフ姿勢が続くとの見方が優勢です。その結果、株価の下値支持ラインはやや後退してしまった印象は否めません。

もっとも、下落局面が続いた場合には、テクニカル面からは徐々に「下値の目安」が意識され始める水準にも近づいてきます。日経平均株価がさらに下押しした場合、以下のような重要な支持ラインに到達する可能性があります。

・(1)51,230円
日経平均株価が25日移動平均線に対してマイナス8%乖離する水準。一般に25日移動平均線から±7~8%程度が反転の目安とされます。

・(2)50,339円
2025年の大納会終値に相当します。

・(3)50,000円
心理的な節目となる水準です。

短期的には不安定な値動きが続いていますが、売られ過ぎ感が意識されやすい水準が徐々に視野に入りつつある点は見逃せません。

また、株価急落の陰に隠れた形ではありますが、現地時間3/19(木)に米国で行われた日米首脳会談については、日米関係を後退させることなく、艦船のペルシャ湾派遣を回避できた点を評価する声が多く聞かれます。結果として、軍事的な緊張が一段と高まる最悪のシナリオは回避されました。

時をほぼ同じくして、日本は欧州主要国(イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、のちに欧州以外も含め参加国は増加)とともに、ペルシャ湾における安全航行を目指す共同声明を発表しています。欧州や日本にとって、イランと積極的に対立する必要性は乏しく、外交的な立場からは、今後何らかの妥協点が見いだされる可能性も残されています。

現状は不透明感が強く、投資家心理も慎重にならざるを得ませんが、地政学リスクが一定程度織り込まれつつあることや、テクニカル面での下値意識の高まり、さらには外交面での緊張緩和余地を考慮すると、市場の先行きに対して「反発の芽」が完全に失われたわけではありません。荒れた相場環境の中でも、冷静に状況を見極める局面に入りつつあると言えそうです。

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